専門家からのアドバイス・メッセージ(9)
子どもとのコミュニケーション・関係づくりのために
~こんな時こそ メディアを上手に使ってみては?~


2020年4月20日

新型コロナウイルスの影響で、外出もままならず、不安・イライラが募る⋯⋯ 子育て中のみなさんから、さまざまな不安の声が番組に寄せられています。こうした不安の声や質問について、「すくすく子育て」でおなじみの専門家の方たちから、回答やアドバイス、メッセージを寄せていただきました。

今回は、子どもとのコミュニケーションやいい関係づくりについて。子どもの発達に詳しい久保山茂樹さん(国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員/臨床発達心理士)に伺いました。


イライラして、子どもに申し訳ない気持ちになってしまう⋯⋯

ずっと子どもと一緒にいると、イライラして、どんどん子どもとの関係が悪くなっているような気がします。「こんな親でごめんね」と、子どもにも申し訳ない気持ちになってしまいます。どうしたらいいでしょうか?

回答:久保山茂樹さん

まず最初に言いたいのは、「細かいことを気にしなくてだいじょうぶ!」。このむずかしい状況の中で、お母さん、お父さんが、いま一生懸命やっている「あなたなりの育児」は、だいじょうぶ!まちがってはいませんよ。だって、お子さんのことを考えて、このホームページを見てまで、少しでも良いかかわりをしようとしているのですから。
だから、細かいことをあまり気にしなくてだいじょうぶ!
こんな状況なので、まわりの人たちの中には、ちょっぴり心がとげとげしていて、心ないことを言ってくる人がいるかもしれません。でも、あんまり気にしないで。あなたなりの育児を続けたらよいのです。

天気の良い日は、外に行って親子でストレスを発散することも良いでしょう。もちろん、感染対策は必要ですから「3密(密閉空間・密集場所・密接場面)」をさけることや、遊具を使った後の手洗いや消毒は大切ですね。それと、いつもよりは時間は短めに。

「子どもの声がうるさい」って言われたらどうしようって心配かもしれませんね。言われるといやですもんね。でも、そんなふうに言う人ばかりではありません。こんな状況だからこそ「元気な子どもの声が聞こえてうれしい!」って言ってくれる人もきっといます(もちろん、私もその一人です)。
だから、だいじょうぶ!


長時間テレビや動画を見せてしまう。うまく子どもの相手をするには?

外出自粛期間でずっと家にいなくてはならず、つい長い時間、テレビや動画などを見せてしまいます。自分がうまく子どもの相手ができないせい? と自信がなくなってしまいます。どう考えたらいいのでしょうか?

回答:久保山茂樹さん

外遊びができないと、テレビやビデオ、ゲームに頼ってしまうことがあるかもしれません。それも、この状況ではしかたがないと思うのです。あまり気にしなくてだいじょうぶ!テレビやビデオなどをうまく使ったらいいのです。さまざまなメディアで親子向けの質のよいテレビ番組やオンラインのコンテンツが提供されています。中には親子で身体を動かすものもあって、外遊びの代わりにもできそうです(大人のダイエットにも役立ちそうです)。

そうは言っても、テレビなどは、いったん見始めるとやめさせるのは難しい! 際限がなくなってしまうのでは? という声が聞こえてきそうです。確かにそうですよね。「すくすく子育て」の対象のお子さんは、まだ時計が理解できませんし、そもそも時間の概念がありません。残念ながら「あと何分ね」は難しいです。
なので、お母さんやお父さんが「見せすぎたなぁ」と思ったら、切りのよいところでおわりにしたらいいのです。その時、少し前から子どもに「もうすぐ終わるよ」と予告をしておくとちょっぴり楽です。「うーたんがバイバイしたらおしまいね」とか「パプリカを1回おどったらおしまいね」という感じで伝えておくとうまくいくかもしれません。もしも、うまくいかないようだったら抱っこしてテレビから離れましょう。そして、「たかいたかい」とか「いっぽんばしこちょこちょ」をしたり、だっこのままぐるぐる回ったり⋯⋯身体をつかった遊びに持ち込んでしまいましょう。これならなんとかなるかも⋯⋯たぶん⋯⋯もしうまくいかなくても、だいじょうぶ! 子どもの相手をするのは、それだけ難しいことなんだ、と思ってくださいね!


子どもの発達に影響が出ないか心配⋯⋯

園にいったり、習いごとにいったりもできないし、じいじ・ばあばやお友だちとも会えない。こんな状態で、子どもの発達に影響が出るのではないかと心配です。何かできることはないでしょうか?

回答:久保山茂樹さん

子どもの発達についてご心配される気持ち、よくわかります。こんなときに提案したいのは、「このむずかしい状況を前向きにとらえてみませんか?」ということです。

さまざまに制約がある中で育児をしていると、ことばやコミュニケーションなど、お子さんの発達に遅れが出てしまうのではないかと心配になるかもしれませんね。
確かに、子どもの発達は、子どもが主体的に身体を使って、みずから心を動かすことで促されていきます。それが、いま、制限されているのですから、心配なのは無理もありません。
でも、だいじょうぶ!子どもには置かれた環境になじんでいく力もあります。心配しすぎず、この環境でできることを考えて、前向きにとらえてみませんか? この難しい状況は、お子さんにしてみたら、安心なおうちの中で、お母さんやお父さんとゆったりと過ごす時間ができたことにもなっているはずですから。

では、前向きにとらえてできることって何でしょうか?
私からのおすすめは3つです。

①お子さんと「ならぶこと」を楽しんじゃおう

いつも以上に、お子さんの横に「ならぶこと」を意識してみませんか。ならんで絵本を見る、テレビを見る、ごはんを食べるというように。
お子さんが何かに夢中になっているようだったら、その横に、そっとならんでみましょうか。ちょっと身体が触れあうくらいの感じですわって、お子さんの視線の先を一緒に見てみましょう。ことばをかけなくてもいいんです。ならんでいるだけで。
お子さんにしてみたら、自分のやっていることをお母さん、お父さんが気にかけてくれている、認めてくれている、自分のことを大事に思ってくれているって感じているはずです。これは、子どもの主体性に大人が寄り添い、応えることにもなりますね。
お母さんもお父さんも、自分の大切な人とならんで同じものを見たり聞いたりした時、うれしかったでしょう。ことばなどなくても⋯⋯それと同じです。

②親子コミュニケーションを楽しむのにデジタルツールを活用してみよう

1)こんな時だからこそ、スマホやタブレットなどのデジタルツールをうまく使って、コミュニケーションを楽しんじゃいましょう。おじいちゃん、おばあちゃんや遠くにいる友達などと、映像を使いながら話したら、実際のコミュニケーションと同じような体験ができます。おじいちゃんやおばあちゃんに映像で「いい子いい子」してもらって、こちらでは、お母さんかお父さんがそのかわりに頭をなでてあげたりしたら、お子さんも、おじいちゃんおばあちゃんもうれしいでしょう。
お子さんの絵を見せたり、ダンスを見せたりして、ほめてもらうのもいいですね。ことばだけではなく、表情や身振り手振りが見えると、お子さんに伝わりやすくなりますし、コミュニケーションが豊かになります。

2)お子さんとスマホやタブレットを使う時、ついつい動画を見てしまって、受け身な状態になってしまいますね。しかたがないことなのですが。でも、楽しい、アナログな遊びを紹介しているコンテンツもたくさんあります。例えば、歌に合わせて踊ったり、工作を楽しむような動画もあります(1)
おうちの中でも、受け身ではなく、親子で楽しめるものを探してみてください。お母さんやお父さんが子どものころに楽しんだ遊びも見つかるかもしれません。
こんなふうに、いまの状況を前向きにとらえてみませんか。同年代のともだちとのダイナミックな遊びはむずかしいかもしれませんが、安心できるおうちの中で、大人がじっくりとかかわってくれた経験はお子さんの心にしっかりと残ります。それは、大きくなって、集団の中で過ごすとき、「じぶんは、このじぶんで、だいじょうぶなんだ!」という自信、自己肯定感につながっていきます。

1) アプリ「NHKキッズ」では、「ノージーのひらめき工房」「おかあさんといっしょ」など、Eテレからセレクトした幼児・小学生向けの番組の動画が楽しめます。
https://www.nhk.or.jp/school/kids/


お母さん・お父さんへのメッセージ

久保山茂樹さん

このむずかしい状況の中で、「子育てをしている自分ってすごい!」ってことばにしてみませんか! もっと自分をほめてみませんか!

いま、このむずかしい状況の中で、子育てを続けていらっしゃることそのものが、すごいことだと思うのです。いろんな気がかりなことがあって、大変な毎日の連続で、育児を投げ出したくなってしまうことだってありますよね。それでも、投げ出さないで、お子さんとかかわり続けているって、ものすごいことなんです。それだけで、もうじゅうぶん!
そんな自分を、もっとほめてみませんか!
時には、大人同士でほめ合ってみませんか!

たとえば・・・・・・
♡毎朝、鏡の中の自分に向かって言ってみませんか?
私、毎日よくやってるじゃん! すごいよ! えらいよ!って
♡1日の終わりに、大人同士でことばにしませんか?
今日も1日よくやったね! おつかれさま!
明日も、がんばらないで、ぼちぼちでいいよね! って

もしも、ちょっぴり疲れたら、「いないいないばあっ!」のうーたん人形劇「だいじょうぶんぶん」でちょっと元気をもらいましょう!「悩みや困ったことがあっても、だいじょうぶ!」という気持ちを伝えたいと、私も制作に参加しました。