専門家からのアドバイス・メッセージ(4)
産前産後のママ、その周囲のみなさまへ


2020年4月13日

新型コロナウイルスの影響で、外出もままならず、不安・イライラが募る⋯⋯ 子育て中のみなさんから、さまざまな不安の声が番組に寄せられています。こうした不安の声や質問について、「すくすく子育て」でおなじみの専門家の方たちから、回答やアドバイス、メッセージを寄せていただきました。

今回は、妊産婦の気持ちのケアや支援などに詳しい産婦人科医の笠井靖代さん(日本赤十字社医療センター 第二産婦人科 部長/産婦人科医)です。


定期検診に行って感染してしまうのではないかと心配⋯⋯

新型コロナウイルスが流行しているので、病院で感染してしまうのではないかと、定期検診に行くのが怖くなってしまいました。自分でできることはあるのでしょうか?

回答:笠井靖代さん

体重測定や血圧など自宅でも測定できるものがあります。ご自身の体の様子を、できる範囲で日々チェックしてみましょう。また毎日、決まった時間に体温を測定して、体調も含めて日記につけておくと良いでしょう。何かあったときに、医師に相談するときに役立ちます。
妊娠20週すぎると胎動が感じられるようになるので、夜寝る前や食後などに胎動を意識してみるのも良いと思います。
出血や、休んでも取れないおなかの痛みなどがある場合には、受診している産科施設に相談してみましょう。


母乳で感染するリスクはありますか?

母乳で育てているのですが、新型コロナへの感染のリスクが心配です。注意することがあれば教えてください。

回答:笠井靖代さん

このような時だからこそ、母乳育児をされている方であれば、無理な卒乳はせずに、続けてください。お子さんにもママにも精神的な安心が得られるとともに、お子さんには、母乳は免疫物質として働きます。
ミルク栄養の方も、だっこして親子のスキンシップを持つことで、お子さんもママも精神的な安心が得られますので、是非ともだっこしてミルクを与えましょう。母乳が出ないからと悲観することはありません。授乳で大切なのは、子どもにとって必要な栄養を与え、親子の情緒的つながりを感じる、ということです。

ママが新型コロナウイルス感染症が疑われる状況でなければ、乳首の消毒は不要です。
ママが安心して授乳を続けていくためには、ママ自身の体調管理と体温測定、3密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避けること、パパや同居のご家族もママと同様の注意をすることが必要です。


妊娠中で不安なのに、ますます不安やストレスを感じます⋯⋯

妊娠中、ただでさえ不安なのに、新型コロナウイルスでますます不安やストレスを感じています。どんなふうに過ごしたらいいでしょうか?

回答:笠井靖代さん

妊娠中、もしもコロナウイルスに怖さを感じるようであれば、あまり過剰にコロナウイルス関連の報道をみるのではなく、クラッシック音楽をきく、本を読む、好きなアロマの香りを楽しむなどの時間を持ち、気分転換を図ってみてはいかがでしょうか。
またこのような時こそ、電話あるいはオンラインのかたちにはなりますが、パートナーや気持ちが通じる親友とゆっくりと話す時間が取れるのではないでしょうか。出産後は育児で忙しくなり、長期的な子育てや人生のことを考える時間が取りにくくなります。信頼できる人と話をしながら、出産に向けてのこと、出産後のことなどを考えてみてはいかがでしょう。


妊娠中、産後のみなさんへ

笠井靖代さん

新型コロナウイルス緊急事態宣言が出された中で、今子育てをしている皆様の不安な気持ちはどれほどのものかと思わずにいられません。
特に妊娠中、産後の方は、抵抗力を維持するために十分な睡眠とバランスの良い食事をとっていただきたいと思います。そしてご家族を含め禁煙をすることをおすすめします。
授乳中の方は、スキンシップを大切にしてください。お子さんにもママにも精神的な安心が得られます。またこのような時こそ、お子さんに絵本を読んであげる、一緒に音楽を聴く、時には公園に出て体を動かすなどの親子の時間を大切に過ごしてください。


妊婦さん、産後のママの周囲のみなさんへ

笠井靖代さん

妊婦さんや産後のママの周囲の方たちにも、同じように感染に注意していただきたいと思います。家族で未洗浄の食器の使い回しをしない、公共の場でATMなどのタッチパネルに触れた後や電車のつり革、手すりに触れた後も手洗いやアルコール消毒をすることなどを心がけていただければと思います。
感染症と立ち向かうためには、「自分だけが、り患しなければよい」では立ち行きません。自分と自分の大切な人の命を守るためには、3密を避ける。できることはセルフケアでしのぎ、本当に医療を必要としている人が医療を受けられるように限られた医療資源を共有するという意識を持つことも、現段階では求められています。
私自身も含めて、社会の一員という自覚を持ち、周りの人への気遣い・感謝を忘れずにありたいです。