専門家からのアドバイス・メッセージ(2)
子どもの心のケアについて


2020年4月10日

新型コロナウイルスの影響で、外出もままならず、不安・イライラが募る⋯⋯ 子育て中のみなさんから、さまざまな不安の声が番組に寄せられています。こうした不安の声や質問について、「すくすく子育て」でおなじみの専門家の方たちから、回答やアドバイス、メッセージを寄せていただきました。

今回は、心のケアの専門家、倉石哲也さん(武庫川女子大学 教授/臨床福祉学)からです。子どもの心のケアについて役立つ情報を教えていただきました。


幼い子どもにどう伝えたらいい?

子どもにコロナのことを教えて、外出のときに注意するようにしたいのですが、あまり怖がらせてもいけないと思い、難しいです。幼い子どもにどう伝えたらいい?

回答:倉石哲也さん

「今は心配な状況である」ことを認めることが、感染の可能性を減らす行動につながります。パニックにならず現状を受け止め、それを子どもに伝えていくことになります。
ストレスがかかる状況へ反応するときに、子どもは大人の説明や態度などを頼りにします。大人が過剰に不安がっている様子を見せると、子どもの不安も高まります。ですので、大人は子どもに、医療機関やまわりの大人たちがみんなの健康を守ろうとがんばっていることなどを事実に基づいて伝え、安心感を与えてあげてください。
感染の危険度について伝えることもあるかとは思いますが、あくまでも、子どもの年齢・発達段階に応じた言葉を選びましょう。発達に合わない伝え方は、子どもの不安を増幅させてしまうおそれがあります。ですので、子どもが理解できる表現で危険度を伝えたうえで、適切な予防方法を教えて、「感染の危険は手洗いなどである程度コントロールすることが(対処することが)できる」「自分は無力ではない」などの感覚をもたせること。それが不安を減らすことにつながります。感染を防ぐためのうがい・手洗いの励行は年齢に応じた「遊び」や「歌」を使って習慣づけるのもよい方法のひとつと言えるでしょう。
また、子どもが「こわい」などの反応を示したときには、それを否定せず認めて、子どもに、こういった感情を表現させてください。そして、大人が対応について教えて、前向きな見方ができるようにしてあげられるといいと思います。

もっと詳しく知りたい方へ

*一般社団法人学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「新型コロナウイルス(COVID-19)について子どもに話す。」
http://www.gakkoushinrishi.jp/saigai/index.html#corona


生活の変化で、子どもの心に影響が出るのではないかと心配⋯⋯

新型コロナの影響で、外に出られない、お友達にも会えないなど、生活の変化が大きいです。子どもの心にも影響が出るのではないかと心配。どんなところに気をつけて、子どもの様子をみていたらいいでしょうか?

回答:倉石哲也さん

お子さんの中には、自分や家族が病気になってしまうのでは⋯と不安になって、いつもにはない反応や行動をみせることがあります。こうした反応や行動は、一般的なことですので、大人は不安になりすぎず受け止めてあげてください。

(参考)災害時のようなふだんと違うことが起こった時に、認知発達段階によって一般的に子どもが示すストレス反応 ※発達段階はあくまで目安です

0~3歳くらい

  • ふだんよりも、親にくっついて離れない
  • 赤ちゃん返りのような、より幼い行動に戻る
  • 睡眠や食事行動における変化がある
  • いつもより泣いている、イライラしている
  • 以前は怖がらなかったことを怖がる
  • 落ち着きと集中力がない/じっとしていることが多い
  • 遊びにおける変化がある
    ー遊びに対する関心が減る、もしくはなくなる。または、遊んだとしても短時間のみ、もしくは同じ遊びを繰り返す
    ー遊びにおいて攻撃的、暴力的になる
  • 以前よりも攻撃性と要求が強くなる
  • 他者の反応に対してとても敏感になる

4~6歳くらい

  • 親もしくは他の大人にくっついて離れない/だだをこねたりわがままになる
  • 指をかむなど、幼い行動に戻る
  • 口数が減る
  • 動きが少なくなる、もしくは逆に多動になる
  • 遊ばない、もしくは同じ遊びを繰り返す
  • 悪いことが起きるのではないかと不安になったり、心配したりする
  • 悪夢を見るなど、睡眠に問題が起きる
  • 食事生活における変化
  • すぐに混乱するようになる
  • 集中力がなくなる
  • イライラする、怒りっぽくなる など
もっと詳しく知りたい方へ

*セーブ・ザ・チルドレン「子どものための心理的応急処置」
https://www.savechildren.or.jp/lp/pfa/


不安を感じている様子の子どもに、どう関わったらいい?

不安やストレスを子どもが感じているような場合、どんなふうに子どもと関わったらいいのでしょうか?

回答:倉石哲也さん

子どもが不安やおそれなどを感じているような場合には、以下のようなポイントを中心に、関わり方を見直してみてください。

  • 子どもが何を心配しているのかを聞いてみましょう。
  • 子どもが話すことに耳を傾けましょう。
  • できるだけ規則正しく、決まった日課を守る生活をして、生活リズムを整えましょう。
  • 室内でもいいので、親子でストレッチなど、体を少し動かしてみましょう。
  • 手遊び、ふれあい遊びなど、子どもとのスキンシップを心がけてみましょう。
  • 子どもに、「自分はできる」という感覚をもってもらいましょう。おもちゃをどちらにするか選んでもらう、など簡単なことでかまいません。子ども自身が選んだり決めたりする機会を大切にしてみてください。
  • 子どもが、不安・怖さを増幅するような映像・情報に接触する時間をなるべく減らしましょう。

その他にも、「大人が子どもを守ることを伝える」「子どもにとって“いい思い”をする時間をつくる(子どもの好きなおかずにするなど)」「可能な範囲で子どもの希望をかなえる(会えなくなったお友達に手紙を書くなど)」などの関わりかたも、子どもの安心感につながります。

もっと詳しく知りたい方へ

*セーブ・ザ・チルドレン「子どものための心理的応急処置」
https://www.savechildren.or.jp/lp/pfa/

*一般社団法人 日本臨床心理士会「【子どもに関わるすべての方々へ】感染症対策下における子どもの安心・安全を高めるために」
http://www.jsccp.jp/userfiles/news/general/file/20200302174321_1583138601335720.pdf

*一般社団法人学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「新型コロナウイルス(COVID-19)について子どもに話す。」
http://www.gakkoushinrishi.jp/saigai/index.html#corona