写真:堺 俊克

有機撮像デバイスの高解像度化技術

撮像・記録デバイス研究部 堺 俊克

一般的に、現在のカメラは、プリズムやカラーフィルターを用いて、入射した光を青、緑、赤の3色(光の3原色)の光に分解することで、カラーの映像を生成しています。しかし、プリズムを使用するとカメラを小さくできない、カラーフィルターを用いると感度などの画質が劣化するという問題があり、カメラの小型化と高画質化の両立が困難でした。技研では、この問題を解決するため、光の3原色のうち、1つの色の光のみを吸収して電荷に変換し、他の色の光は透過する3種類の有機光電変換膜と、各有機膜で生成された電荷を読み出す透明な回路とを交互に積層した有機撮像デバイスの開発に取り組んでいます。本デバイスを用いることで、プリズムやカラーフィルターが不要になるため、小型で高画質なカラーカメラを実現することができます。

これまでの開発では、3つのガラス板のそれぞれに、光の3原色のうち1つの色の光にのみ感度を持つ有機膜と透明回路とを形成した3種類(青、緑、赤)の素子を試作し、これらを積層した原理検証用の有機撮像デバイスでカラー撮像が可能であることを確認しました(図1)。しかし、この構造では、各有機膜がガラス板の厚み分(0.7mm)だけ離れているため、レンズを介して投影された光学像の焦点が1つの有機膜にしか合わず、解像度が低下するという問題がありました。

図1:(a) 原理検証用有機撮像デバイスの構造 (b) 出力画像

そこで、1つのガラス板上に3種類の有機膜と透明回路とを層間絶縁膜を挟んで交互に積層することで、3種類の有機膜を1/100mm以内に近づけることのできる直接積層型有機撮像デバイス(図2)の開発に着手しました。本デバイスの実現に向けては、有機膜が高温に弱いことから、透明回路や層間絶縁膜の作製温度の低減に取り組み、材料や作製法を見直すことで、現状300℃の作製温度を150℃以下まで下げることに成功しました。

図2:直接積層型有機撮像デバイスの構造

今後は、透明回路の微細高集積化などを進め、高解像度な直接積層型有機撮像デバイスの早期実現を目指します。