BS4K特集「沖縄の海 幻のジュゴンを追う」に画像超解像技術で協力

沖縄で5年間にわたり公式確認のないジュゴンの姿を追う番組(2023年1月28日放送)で、ジュゴンのような生物が写った空撮画像の高画質化に、当所開発の画像超解像技術が使用されました。

今回処理した画像内の対象の大きさは、僅か約150画素。専門家の鑑定に先立って見やすく画像を処理することが求められました。そこで用いたのが超解像技術、デジタル処理で解像度を高める技術です。昨今のAI(人工知能)技術を使えば想像を超える高画質化が可能ですが、学習に用いたデータの偏りにより本来存在しない模様を生じる可能性があります。そこで、当所が開発した超解像技術の中から、このような問題を生じない非学習型の「非線形ウェーブレット超解像」(図1)を選定し、高画質化処理を行いました(図2)*1。この処理は、入力画像に対する非線形処理により輪郭を補強する情報を生成し、これを入力画像に合成することで鮮鋭感を高める技術です。

専門家による画像の鑑定の結果、ジュゴンである可能性が示唆され、本番組の制作に至りました。番組制作にあたり、当所の研究員が対象画像の処理について説明を行いました。

今後も、当所の研究成果とノウハウを番組制作に活用し、豊かな番組提供に貢献していきます。

図1 非線形ウェーブレット超解像による高画質化処理のイメージ
図2 ジュゴンのような生物の空撮画像
  1. 解像度変換に関わらない前処理(JPEGひずみ除去)には、既成AIを使用