写真:今村 弘毅 研究員

有機撮像デバイス

小型で高精細なカラーカメラの実現に向けて

新機能デバイス研究部 今村 弘毅 研究員

2019年NHK入局。同年より放送技術研究所に所属。以降、有機撮像デバイスの研究開発に従事。最近の趣味は自転車の手入れと散歩。

当所では、小型で高精細なカラーカメラの実現を目指して、有機光電変換膜(有機膜)を用いたカラー撮像デバイスの研究を進めています。

有機撮像デバイスの特長

一般的な小型カメラ用の撮像デバイスでは、光を吸収して電気信号に変換する際に、カラーフィルターを用いて光を三原色(赤、緑、青)に分け、色情報を取得しています(図1a)。この方式ではカラーフィルターを1画素に1色ずつモザイク状に配置するため、解像度や光の利用効率が低下することが課題です。一方、当所で開発を進めている有機撮像デバイスは、特定の色の光だけを吸収して電気信号に変換し、その他の色の光を透過するという有機膜の性質を利用することで、原理的に従来の方式よりも高精細化・高効率化が可能です(図1b)。

図1 撮像デバイスの構造

高画質化に向けた課題と取り組み

有機撮像デバイスでは、有機膜からの電気信号を読み出すために、透明な薄膜トランジスタ(TFT)回路を適用しています。これまでのTFT回路では、1つの画素内に1つのTFTを配置し、有機膜で発生した微小な電気信号を直接読み出していたため、外部ノイズの影響を受けやすいという課題がありました。この課題を解決するためには、微細な画素内に3つのTFTを用いた増幅器を設け、信号を増幅してから読み出す必要があります。今回、TFT回路の微細化技術を開発し、信号読み出し動作の基礎検証用に、50µmの画素内に3つのTFTを用いた増幅器を作製しました(図2)。 実験の結果、有機膜で発生した電気信号を増幅後、光の明るさに応じた信号として読み出すことに成功しました(図3)。

今後も、さらなる低ノイズ化や画素微細化を進め、高画質な有機撮像デバイスの早期実現を目指します。

図2 1画素に3つのTFTを用いた信号増幅型TFT回路の顕微鏡写真
図3 光の明るさに対する出力信号値