ミリ波8Kワイヤレスカメラを初めて番組で使用

当所で開発したミリ波8Kワイヤレスカメラ(42GHz帯電波を使用)が、2021年10月2日にBS8K、BS4K、BSプレミアムで生放送された「コスモス満喫! 秋の浜離宮 生中継」で初めて使用されました。

多くの中継番組において、中継車とカメラの間はカメラケーブルを接続して運用しています。しかし、ケーブルを敷設するには安全面や景観への配慮が必要であり、場合によっては非常に長い距離の敷設となります。そのため、ワイヤレスカメラを用いることは機動性の向上だけでなく、安全確保やケーブル敷設の労力削減にもつながります。

今回の番組では、浜離宮恩賜庭園内の高台から都心の高層ビルを背景に庭園を俯瞰ふかんするために、中継車から遠くケーブル敷設が困難な位置に8Kカメラを設置する必要がありました。そこで、開発した8Kワイヤレスカメラ送信機を使って庭園内の池をまたぐ約180mの距離を無線にしました。8Kカメラの映像は、HEVC*1の映像符号化方式を用いて185MbpsのTS*2信号に圧縮して80ms以下の低遅延で伝送しました。色調整やアイリス調整など、中継車からのカメラのリモート制御も、ケーブル接続した場合と同様に無線で実現しました。

浜離宮恩賜庭園の敷地はとても広く、8Kカメラから中継車までのケーブルの敷設に1,000m近い距離が必要になります。ワイヤレスカメラを使用することによって、一般の来場者の行き来が多いところにケーブルを敷設しないで済むため、安全確保の面でも番組に貢献することが出来ました。

今後は、カメラマンが自由に歩き回って撮影をするような番組での運用を通して、ワイヤレスカメラの特徴である機動性についても実証していきます。

撮影側に設置した8Kカメラとワイヤレスカメラ送信機の様子
受信側の様子
※パラボラアンテナは8K映像伝送とは別用途で使用
  1. HEVC(High Efficiency Video Coding):ISO/IECとITU-Tが共同で標準化した映像符号化方式。
  2. TS(Transport Stream):符号化された映像や音声の情報をパケットに分割し多重化する方式。