地上放送高度化に向けた野外実験

地上波放送によるスーパーハイビジョンの実現に向け、新しい伝送方式(地上放送高度化方式)を開発し性能評価を進めています。昨年度は、総務省から「放送用周波数を有効活用する技術方策に関する調査検討」の委託を受けた一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)のもと、実際の地上波の送信局と同等規模の実験試験局が設置された東京と名古屋において野外実験を行いました。東京では主に都市部や郊外の環境で、名古屋では2つの実験試験局から同じ周波数の電波が到来する環境(SFN*環境)で、住宅や移動車両での受信を想定した測定を行い、安定受信に必要な電波の強さや、建物などに反射して到来する電波(反射波)が及ぼす影響を評価しました。

加えて、山間地など反射波が多い地域や海上伝搬など電波の受信強度が時間とともに変化する環境での実験もできるように、大阪と福岡に実験試験局を追加する準備を進め、福岡では今年2月から、大阪では3月から電波発射を開始しました。今年度はこれらの地区でも野外実験を行い、地上放送高度化方式の評価に取り組んでいきます。

* Single Frequency Network : 隣接局同士で同じ周波数での放送が可能となり、周波数の利用効率を向上させる環境

電波測定車を用いた野外実験の様子
測定中の車内の様子