写真:吉野 数馬

AR/VRを活用した空間共有サービス

出演者や遠方の家族・友人と一緒に番組視聴

空間表現メディア研究部 吉野 数馬

技研ではAR/VR技術を活用し、メガネやゴーグルのような装着型ディスプレーに表示される映像を通じて、離れた場所にいる人が隣に存在するような空間を作りだし、自分の目の前に出演者が現れたり、あたかも別の場所にいるかのような感覚を共有したりできる空間共有サービスの研究に取り組んでいます。

ARを活用した空間共有サービス

ARによる空間共有サービスによって、番組放送時に等身大の出演者を目の前に表示し、出演者を身近に感じることができる演出が可能になります(図1)。また、視聴者同士がお互いのいる空間をつなぎ、遠く離れた場所で暮らす家族や友人が、あたかも同じ場所に集まって番組を視聴するような体験を提供することもできます。ARによる空間共有サービスによって、番組の表現の幅を広げるとともに、番組を複数人で楽しめる空間を提供することで、新たな空間共有体験を視聴者の皆さんに届けることができます。

図1 ARによる空間共有サービス

VRを活用した空間共有サービス

VRを活用してプラネタリウムのような全天球映像を表示することで、自分があたかも映像に映された場所にいるかのような高い没入感を与えることができます。しかし、一般的なVRを活用した全天球映像は、表示された映像のみが見えていて、自分の体や近くにいる人が見えないため、複数人で体験を共有することが困難でした(図2)。そこで、装着型ディスプレーに小型カメラを設置し、撮影した実空間映像の中から自分の体や近くにいる人物などの近距離の被写体を切り出して、全天球映像に合成して表示するシステムを開発しました。これにより、全天球映像と同時に隣で一緒に視聴している家族や友人の姿を見ながら、空間を共有できるようになりました。

より豊かな放送メディアの実現を目指して、今後も新しい視聴スタイルやサービスイメージの実現に向けた研究開発を進めていきます。

* AR/VR(Augmented Reality/Virtual Reality) : 拡張現実/仮想現実

図2 VRによる没入空間共有システム