NHKの特許

~研究成果の社会還元に向けて~

展示ブースの様子

NHKでは、新しい放送サービスの実現に向けて放送技術の研究を進めています。NHKの研究は受信料を基に行われているため、研究成果は特許などの知的財産として権利を確保し、公平かつ適正な対価で広く一般の皆さまにご利用いただいています。今回は、NHKが保有する技術の権利化に向けた「発明推進活動」の状況と、IoTなどの最先端技術の総合展示会「CEATEC 2019」での研究成果の社会還元へ向けた取り組みを紹介します。

発明推進活動

NHKは、国内外で年間300件以上の特許出願を行っています。特許保有数は堅調に増加しており、2017年度に2,000件を超えました。「NHK技研3か年計画(2018-2020年度)」を公表した2018年度からは、研究の3つの柱である、より臨場感や実物感の高いコンテンツを視聴者に届けるための技術「リアリティーイメージング」、インターネットを活用してユーザーの視聴体験を向上させる技術「コネクテッドメディア」、AIにより効率的に番組を制作する技術「スマートプロダクション」を中心とした特許出願を推進しています。また、NHKの標準化活動と連携し、標準化された技術の必須特許をパテントプール*1を活用して公平公正に多くの企業にライセンスすることで、技術の普及促進にも取り組んでいます。

*1 パテントプール:複数の特許権者が保有する複数の必須特許を、合理的かつ公平な条件で一括ライセンスする仕組み

CEATEC 2019の技術展示

 NHKは、(一財)NHKエンジニアリングシステム(NHK-ES)と連携して、研究成果の社会還元を進めています。その一環として、昨年10月に幕張メッセで開催された「CEATEC 2019」のNHK-ESブースにおいて、人工知能を活用して生放送番組で自動的に字幕を制作する「音声認識技術」と、選手の動きをストロボ写真のように重ねて表現する「マルチモーション」の技術を実機の展示とともに紹介しました。

会場では、技術展示のほか、技術移転可能なNHKの技術を掲載した「NHK技術カタログ」も配布し、研究成果の活用促進を図りました。

コネクテッドメディアの研究では、IPネットワークを活用し、より柔軟で効率的に番組制作システムを構築するIPリモート制作の研究開発を推進しました。また、NHKの番組制作技術部門やメーカーと連携し、IPリモート制作システムの安定性や運用性などを検証する大規模な実証実験にも取り組んでいます。今後は、制作現場でのIPリモート制作設備や、2025年から運用開始予定の新放送センターの設備に活用していくことを目指して研究開発を加速します。

音声認識技術の展示