写真:永田 裕靖

Laboちゃんリサーチ

「MMT」って何?

新しい放送・通信連携サービスを実現する伝送方式

伝送システム研究部 永田 裕靖 研究員

イラスト:ラボちゃん

最近よく聞く、でも、いまひとつ分からない。これからの放送を支える「技術のキーワード」について、技研イメージキャラクターの「ラボちゃん」が、研究員に聞きました。

       

最近、放送の新しい伝送方式として、“MMT”という言葉を聞いたけど、どんな方式なの?

写真:永田 裕靖

MMT*1 は、映像、音声、データなどを1つの信号形式に多重して、衛星放送、地上放送、インターネットなど、さまざまな伝送路で送ることができる新しい伝送方式です。新4K8K衛星放送に採用され、次世代の地上放送への適用も検討されています。現在の地上デジタル放送などで用いられている信号形式と大きく異なる点は、IP*2 ベースの信号になっていることです。これにより、通信でも信号を扱いやすくなるため、放送と通信の連携サービスが容易になります。

また、MMTでは表示させたい時刻を指示するタイムスタンプを送信するため、異なる伝送路を経由して送るコンテンツを複数の端末間で同期して提示することも可能です。

*1 MMT (MPEG Media Transport):MPEG(映像・音声の国際的な標準化会議)で規格化されたメディア伝送方式
*2 IP(Internet protocol):インターネットなどのネットワークで使用される通信手順・規約

MMTによる信号伝送のイメージ

MMTを使うことで、放送と通信の連携サービスが、より簡単になるんだね。技研では、どのようなサービスを考えているの?

写真:永田 裕靖

MMTを活用した新しい放送・通信連携サービスとして、例えば、放送のスポーツ番組で競技場全体の映像を大画面テレビで視聴しながら、通信を経由して送られる好きな選手のクローズアップ映像を手元のタブレットで同期して見るなど、ユーザーの好みの視点でコンテンツを楽しむことが可能になります。

さらに将来は、あたかも競技場の中にいるかのような映像が楽しめるAR・VR*3 技術への応用も期待できます。これまでに、技研公開などで複数のタブレット端末に多視点映像を同期させて提示する技術を展示しました。

これからも、放送と通信を連携させた新しいサービスやコンテンツの実現に向け、伝送技術の研究に取り組んでいきます。

*3 AR・VR:Augmented Reality(拡張現実)・Virtual Reality(仮想現実)

複数端末間同期による多視点映像のデモ