NHKラジオ第2放送の気象通報 自動放送化

気象通報自動放送システムの音声合成方法

4月1日から、ラジオ第2で放送されている気象通報が、音声合成による自動放送に変わりました。NHKの気象通報は、ラジオ体操とならび、日本の放送の黎明期である昭和3年(1928年)から現在まで続く、最も歴史のある番組の一つです。気象庁から発表された国内および近隣諸国の気象観測点データと、漁業船舶からの情報で構成されています。技研では、気象庁からの電文に基づいて原稿を自動で作成し、これをアナウンサーとほぼ同等の品質の合成音で読み上げる、気象通報自動放送システムの基盤技術を開発しました。

発話データベースを用いた高品質な音声合成

放送サービスに音声合成を用いるためには、読み間違いが無いことはもちろん、アクセントの正確さや発話の明瞭性など、高い品質が求められます。気象通報では、風向き、風力、天気、気圧、気温など、情報が定型化されていることに着目して、定型の文書パターン(テンプレート)で表現する方法を考案しました。テンプレートの組み合わせをすべてカバーできるように発話のデータベースを構築し、合成する際にその中から適切な組み合わせを選択することで、アナウンサーが話すような高品質な合成音声を実現しました。

話速変換技術による音声送出

放送では、全ての情報を番組時間内に秒単位の精度で読み終える必要があります。アナウンサーにとっては熟練を要する高度な技術ですが、開発したシステムでは、発話速度とポーズの時間を逐次調整する話速変換技術を用いて、自動で実現します。さらに、番組を開始してからの終了時刻の変更にも柔軟に対応することができます。放送現場への導入に際しては、2010年から自動放送の実績がある株式市況の自動放送システムと送出装置を共有化し、シンプルな構成で運用性を高めました。

気象通報の自動放送は、4月1日から毎日1回(16時から20分間)、ラジオ第2で放送されます。今後も新たな番組への音声合成利用を目指し、研究開発を進めていきます。

気象通報自動放送システム