3,300万画素 小型イメージセンサーを開発

小型の裏面照射型イメージセンサー

NHKでは、より高品質で臨場感の高い8Kスーパーハイビジョンを実現するため、8K用撮像素子の研究開発を進めています。今回、国立大学法人静岡大学電子工学研究所と共同で、画素数が3,300万(水平7,680×垂直4,320画素)で、画素サイズが1.1µmのCMOSイメージセンサー*1を開発しました。

裏面照射画素構造による高感度化

これまでの撮像素子では、駆動回路などのある表面側にレンズを通した光が入射していたため、配線によって光の利用効率が低下してしまいました。開発した8K用撮像素子は、配線の無い裏面側に光が入射する「裏面照射画素構造」としたため、光の利用効率が改善され、画素の微細化による感度の低下を抑えられます。これにより、光学サイズ2/3インチに相当する、画素サイズ1.1µmの小型化を実現しました。

3次元積層構造による高フレーム周波数*2化を実現

画素部と信号処理部を別々に製造して積層する「3次元積層構造」としたことで、画素から出力されるアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換回路を画素部の直下に配置でき、全ての画素の信号を高速に出力できるようになりました。さらに、小型で高速なA/D変換回路を新たに開発したことで、A/D変換時間は従来の半分(0.92マイクロ秒)となり、フレーム周波数は最大で毎秒240フレームまで高速化できます。

最先端の半導体集積回路技術の研究成果が発表される国際会議IEEE*3 ISSCC2016(International Solid-State Circuits Conference)で成果を報告するとともに、この撮像素子で撮影した映像を展示することで高フレーム周波数撮影の有効性をご覧いただきました。今後は、カメラ化に必要となる感度特性や解像度の特性の改善に取り組んでいきます。

このイメージセンサーは5月26日から29日に開催する技研公開2016(東京都世田谷区)でご覧いただけます。

*1 CMOSイメージセンサー:相補性金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いた高速動作が可能なイメージセンサー
*2 フレーム周波数:1秒間あたりの画像の枚数
*3 IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers

開発した小型イメージセンサー