ハイブリッドキャスト関連ソフトウェア

NHK技研は、ハイブリッドキャストの標準化や普及促進に貢献してきました。ここでは、技術規格策定や技術検証に向けて当所で開発したソフトウェアを研究成果として公開します。

ハイブリッドキャストビデオ

ハイブリッドキャストビデオとは?

(一社)IPTVフォーラムのハイブリッドキャスト運用規定2.0版で導入されたVOD(ビデオオンデマンド)技術方式に準拠したテレビ向けの動画配信サービスの呼称です。国際標準の動画配信方式であるMPEG-DASH(MPEG Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)を採用し、インターネット回線の混雑状況に応じた途切れにくい映像の提供や、放送映像と同期した4K動画配信、地域に合わせたコンテンツ差し替えなどのサービスが実現可能です(図1-1)。さらに、ハイブリッドキャスト運用規定の2.9版では、メディアデータをより細かい単位で伝送可能なファイル形式であるCMAF(Common Media Application Format)が新たに導入されたことにより、ライブ動画やイベント信号(Webコンテンツの同期や情報提示などに用いられるトリガー信号)の低遅延配信が可能となりました。

図1-1:ハイブリッドキャストビデオにより実現可能なサービス例

NHK技研では、ハイブリッドキャストビデオに対応し、メモリー容量が小さいテレビ受信機でも安定に動作するMPEG-DASH動画視聴プレーヤーを開発し、dashNXという名称でIPTVフォーラムのMPEG-DASH相互運用性検討会の会員向けにリファレンスモデルとして公開しております。また、ハイブリッドキャストビデオの仕様策定や、同仕様への受信機の適合性を判定するための検証コンテンツの整備に貢献しております。

オープンソースソフトウェア

dashNXは、HTML5の動画再生機能であるMSE(Media Source Extensions) / EME(Encrypted Media Extensions)を利用したJavaScriptベースの再生制御ライブラリ(図1-2)です。拡張アプリケーションによるサービス要件に合わせた視聴動作のカスタマイズや、テレビに限らず PC やスマートフォンなど、HTML5 ブラウザを搭載した端末で共通な動画再生環境の構築が可能です(図1-3)。

図1-2:dashNXによるMPEG-DASH動画視聴プレーヤーの全体構成
図1-3:マルチデバイスでの再生状況

これまで、IPTVフォーラム会員の複数の放送事業者によるハイブリッドキャストを起点とした4K動画配信の実証実験等に活用されてきました。

また、CMAFライブストリームに任意のタイミングでイベント信号を挿入可能なイベント信号挿入ツール、およびHTTP Chunked Transfer Encoding(1つのHTTPリクエストに対して複数回に分けて任意のタイミングでレスポンスを伝送する手法)による低遅延配信が可能な動画配信ツールからなるCMAF-ULL(Ultra Low Latency)検証アプリケーションを開発し、W3C(World Wide Web Consortium)の会合や技研公開2021などで紹介してきました。

これまで開発したソフトウェアやサンプルアプリを広く開発者に利用していただけるよう、以下のソフトウェアをオープンソースソフトウェア(OSS)として本ページ、およびGiHub.comで公開します。

  • basjoo: dashNXをOSS版として再設計したMPEG-DASH動画視聴プレーヤー
  • reley-miffe: CMAF-ULL対応イベント信号挿入ツール
  • delivery-miffe:  CMAF-ULL対応動画配信ツール

これらのOSSは3条項BSDライセンス、またはMITライセンスにより公開されており、それらのライセンスを遵守いただければ誰でも閲覧・利用が可能です。(詳細はzipファイル内のライセンス情報をご確認ください。)

ダウンロード

MPEG-DASH動画視聴プレーヤー basjoo.js

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MPEG-DASH動画視聴プレーヤー basjoo.js

ハイブリッドキャストビデオに対応し、メモリー容量が小さいテレビ受信機でも安定に動作するMPEG-DASH動画視聴プレーヤーです。

CMAF-ULL対応イベント信号挿入ツール relay-miffe

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CMAF-ULL対応イベント信号挿入ツール relay-miffe

CMAFライブストリームにWebAPIによりイベント信号を挿入するツールです。イベント信号の挿入方法として、MPEG-DASHのinband(mp4のemsg box)と、out-of-band(mpd)に対応しています。

CMAF-ULL対応動画配信ツール

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CMAF-ULL対応動画配信ツール

HTTPのChunked Transfer Encoding伝送に対応した動画配信ツールです。CMAF-ULLによるMPEG-DASHおよびHLSの動画ストリームの低遅延配信が可能です。

ハイブリッドキャストコネクト

ハイブリッドキャストコネクトとは?

日々の生活行動と放送サービスをより簡単に結びつけるために、視聴者が日常利用しているスマホやIoT機器を起点としてテレビ上のハイブリッドキャストアプリケーションと連携するハイブリッドキャストコネクトの開発を進めています。
日常利用しているスマホアプリや通知機能を起点に放送サービスとの連携ができるハイブリッドキャストコネクトの機能により、新しいユーザー体験を提供するサービスの実現に向けた取り組みが可能となります。
NHK技研では、テレビとIoT機器間の接続を行う端末連携プロトコル(図2-1)の開発に取り組み、(一社)IPTVフォーラムの標準技術規格策定に貢献しました。

図2-1:テレビとIoT機器間の接続を行う端末連携プロトコル開発の取り組み

オープンソースソフトウェア

本ハイブリッドキャストコネクトに内包される本プロトコルを容易にスマホアプリやIoT機器に実装可能とするソフトウェア「ハイブリッドキャストコネクト・ライブラリ(ハイコネ・ライブラリ)」や、プロトコル動作を確認するテストツールを開発し、技研公開2018、Inter BEE 2018などでの展⽰を行うとともに、IPTVフォーラムでのワークショップ実施などに貢献し普及活動を推進しています。
これまで開発した本ライブラリおよびサンプルアプリ等を広く開発者に利用していただけるよう、オープンソースソフトウェア(OSS)として本ページ、およびGitHub.comで公開します。 これらのOSSはMITライセンスにより公開しており、それを遵守いただければ誰でも閲覧・利用が可能です。(詳細はzipファイル内のライセンス情報をご確認ください。)
いずれも規格として公開されている箇所のみをサンプル実装したオープンソースソフトウェアです。

ダウンロード

ハイブリッドキャストのプロトコル機能確認のためのクライアントSDK(ハイコネライブラリ)

Update: 2021/9/28

Java版

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JavaScript版

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Node-RED用プラグイン

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クライアントSDK hyconet4j

(一社)IPTVフォーラムJapanにて規格化されたハイブリッドキャストの端末連携サービス(ハイコネサービス)に利用される「連携端末通信プロトコル」(ハイコネプロトコル)を、ハイブリッドキャスト受信機外で動作するモバイルアプリ等へ組み込むためのソフトウェアモジュール(SDK)です。(ハイコネライブラリに相当)
Java版(hyconet4j)とJavaScript版(hyconet.js)があります。Node-RED用プラグイン(node-red-contrib-hyconet)は、hyconet.jsをNode-REDのノードとして用いるためのプラグインです。

ハイブリッドキャストの連携端末通信プロトコル機能確認のためのモバイルクライアントサンプル

Update: 2021/9/28

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モバイルサンプルアプリ hyconet-android-sample

(一社)IPTVフォーラムJapanにて規格化されたハイブリッドキャストの端末連携サービス(ハイコネサービス)に利用される「連携端末通信プロトコル」(ハイコネプロトコル)のモバイルアプリサンプルです。

ハイブリッドキャストの連携端末通信プロトコル機能エミュレーター

Update: 2021/9/28

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エミュレーター antwapp4hc

ハイブリッドキャストの端末連携サービス(ハイコネサービス)に利用される「連携端末通信プロトコル」(ハイコネプロトコル)を搭載した受信機側のミドルウェアに相当する機能をもつエミュレーターソフトウェアです。