14 フロンティアサイエンス 中長期

自然な3次元映像を再現する
ホログラフィックディスプレー

視域拡大に向けた高密度空間光変調器の開発

展示概要

特別な眼鏡なしで自然な3次元映像を再現するホログラフィックディスプレー※1の視域※2拡大に向けて、磁気光学式空間光変調器(MOSLM)※3の研究を進めています。超微小な磁石で光の偏光方向を制御する高密度MOSLMを開発し、3次元画像の表示に成功しました。

開発した高密度空間光変調器

画素ピッチ1μmの高密度MOSLM

ホログラフィックディスプレーでは、視域は画素ピッチに依存するため、従来の低密度な空間光変調器(SLM)では、狭い範囲でしか像を見ることができませんでした。ホログラフィックディスプレーの視域拡大に向けて、今回、世界最小画素サイズ(1μm×4μm)の電流誘起磁壁移動※4を利用したMOSLM(10K×5K画素)を開発しました。

広視域な3次元画像の表示

開発したMOSLMを用いることで、水平視域30度の3次元画像表示に成功し、書き換え可能な広視域ホログラフィックディスプレーを実証しました。このMOSLMは高密度化に適した構造であるため、狭ピッチ化を進めることでさらなる視域拡大も期待できます。

【今後の予定】

2025年頃までに高い回折効率と高速な動画像表示を実現できる高密度SLMの要素技術開発に取り組み、2030年頃までに再生像の高品質化およびカラー動画表示を実現します。

【関連文献】

  • ホログラフィックディスプレー:干渉縞によって空間の光そのものを再現し、自然な3次元映像を再生することができるディスプレー
  • 視域:3次元映像を見ることができる範囲。
  • 磁気光学式空間光変調器(MOSLM):光の状態(強度、位相など)を制御できる微小な光変調素子(画素に相当)を2次元アレー配置したデバイス。MOSLMは、磁気光学効果によって光の偏光面を回転し、干渉縞を表現することで3次元映像を再生できる。
  • 電流誘起磁壁移動:磁界ではなく、パルス電流を流すことで、画素を構成する微小磁石の方向を反転(磁壁を移動)する技術。隣接画素へのクロストークがなく、1μm以下の高密度化に適している。