展示 7
ライトフィールドヘッドマウントディスプレー
自然な3次元映像を再現するVRデバイスの探求
展示概要
自然な3次元VR映像を視聴できるヘッドマウントディスプレー(HMD)の研究を進めています。ここでは、物体からの反射光などを実世界と同じように再現するライトフィールド技術※1を活用したHMDをご紹介します。
研究の目的
自然な3次元映像表示と視覚疲労の抑制による快適なVR視聴の実現に向けた研究です。
課題
ライトフィールドHMDでは、空間に再生された3次元映像を接眼レンズで拡大して視聴しますが、これを実現する光学系のサイズが一般的なHMDより大きくなってしまいます。また、表示に用いる要素画像※2の生成に時間がかかり、視線方向の動きに応じたリアルタイムのVR視聴が困難でした。
ライトフィールドヘッドマウントディスプレーとは?
詳しい解説
実世界で奥行きを感じる主な要因として、物体を両目で見た場合に左右の目が連動して視線を交差させる輻輳運動と、物体の位置に目の焦点を合わせる調節作用が挙げられます。
既存のHMDは、主にディスプレーと接眼レンズで構成されています。接眼レンズをのぞき、左目と右目に視差のある映像が提示されると輻輳運動が生じ、ユーザーは奥行きを知覚することができます。しかし、ディスプレーの拡大像から3次元映像までの奥行きの差が大きい場合、目の焦点を合わせているディスプレーの拡大像の奥行き位置と、輻輳運動で知覚する3次元映像の奥行き位置(輻輳点※3)は異なってしまいます。
ライトフィールドHMDは、物体の表面から出て目に届く光を再現することで、3次元映像を表示します。そのため、実世界と同様に目の焦点が合っている奥行き位置と輻輳運動で知覚する奥行き位置(輻輳点)が等しくなります。
自然な3次元映像を表示するために、ライトフィールド技術を活用したHMDを開発しました。ライトフィールドHMDの構成と表示原理について前田恭孝 研究員がご説明します。
今回、コンテンツを体験できるライトフィールドHMDを開発しました。顔の向きに応じて、ディスプレーに表示する要素画像をリアルタイムで生成しています。
今後も研究を進め、自然な3次元映像を見ることのできるHMDの実現を目指していきます。
関連文献
- 「自然な立体視ができるライトフィールドHMD」技研だより(2021年10月号)
- Yasutaka Maeda, Daiichi Koide, and Kensuke Hisatomi, “Improvement of Field of View in Light-Field Head-Mounted Display by Displacing Elemental Images, “Proc. of IDW'20 PRJ7/AIS7-4 (2020)(NHKサイトを離れます)
- Yasutaka Maeda, Daiichi Koide, Hisayuki Sasaki, and Kensuke Hisatomi, "Depth Reduction in Light-Field Head-Mounted Displays by Generating Intermediate Images as Virtual Images," 2022 IEEE Conference on VR and 3DUI Abstracts and Workshops (VRW), 746-747(2022)(NHKサイトを離れます)