ごあいさつ

ごあいさつ

日頃より、NHKにご理解とご支援をいただき、厚く御礼申し上げます。

NHK放送技術研究所(技研)は、1930年に世田谷区砧の地に誕生し、放送技術専門の研究拠点としての活動を開始しました。1953年の日本でのテレビジョン放送開始をはじめ、衛星放送、ハイビジョン、デジタル放送、新4K8K衛星放送などの研究開発・実用化を推進し、豊かな放送・サービスを視聴者のみなさまにお届けすべく、放送技術の発展に貢献してきました。

こうした研究成果を視聴者や専門家のみなさまに公開する技研公開を、開所記念日にあたる6月1日の前後に毎年開催しています。昨年の技研公開2021は、コロナ禍のためオンラインのみでの開催となりましたが、技研公開2022はオンラインに加えて、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底し、技研内で5月26日から29日までリアル開催を実施し、7,000名を超えるみなさまにご来場いただきました。オンラインページでは期間中に14,000以上のユニークアクセスがあり、6月以降も引き続き展示内容をご覧いただけます。

技研は、研究所の目指す目標と方向性を描いた「Future Vision 2030–2040」を昨年公表し、この実現に向けて「イマーシブメディア」、「ユニバーサルサービス」、「フロンティアサイエンス」の3つの柱を中心に研究開発を推進しています。技研公開2022では、「技術が紡ぐ未来のメディア」をテーマに、多様な伝送路や視聴端末に対応する技術、新たな体験をもたらすコンテンツ制作・サービス技術、アクセシビリティー技術やデバイス技術など、最新の研究開発成果をご紹介しました。来場者からは「将来のメディア技術を体感できる展示にワクワクした」などの声をいただき、3年ぶりのリアル開催に手応えを感じました。

放送メディアを取り巻く環境は、ネット動画配信の普及などによって急激に変化しています。こうした時代に、技研は未来の新たな放送メディアを創造するための研究と、直近の放送現場の課題解決に資する研究にバランスよく取り組んでまいります。今後ともより一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2022年6月
NHK放送技術研究所長  今井 亨