【報道資料】 2024年5月21日

伸縮可能なフルカラーディスプレーを開発

あらゆる所に設置可能なディスプレーを目指して

NHK放送技術研究所(技研)は、柔軟でさまざまな形状に変形できるディスプレーの研究を進めています。今回、柔軟なゴム基板上に液体金属を使った伸縮配線とマイクロLEDを形成したフルカラー伸縮ディスプレーを開発しました。この技術が実用化されれば、将来例えば映像に包み込まれるようなドーム型のディスプレーを作ることができ、没入感・臨場感ある映像体験を楽しむことができます。

従来の金属配線は、基板が変形すると電気抵抗の上昇や断線が発生するため、伸縮ディスプレーに適用することができませんでした。今回、金属配線の材料に液体金属※1を用いることで、伸縮させても断線することなく、低い電気抵抗を維持できる伸縮配線を開発しました。また、液体金属の粘度を調整することで、印刷技術による細い配線パターンの形成に成功しました(図1)。

ゴム基板上に赤、緑、青色に発光する微細なマイクロLEDを格子状に形成し※2、これら画素間を液体金属による伸縮配線で接続することで32×32画素のパッシブ駆動※3のフルカラーディスプレーを開発しました(図2、表1)。開発したディスプレーは自由に変形でき、1.5倍に伸張させても安定して表示できます。

この技術は、5月30日(木)~6月2日(日)に開催する「技研公開2024」で展示します。今後は、ディスプレーの高精細化・高画質化を進めたプロトタイプを試作し、2030年までの実用化を目指します。

※1 液体金属:室温で液体の状態になる金属。他の金属の微粒子を混合することで粘度を調整できる。

※2 マイクロLEDを使った発光素子の形成は、信越化学工業(株)、SAL(株)と共同で進めています。

※3 パッシブ駆動:ディスプレー駆動方式の一つ。格子状に並んだ画素の発光を、各配線の信号走査のタイミングで水平ラインごとに制御する。

図1. 液体金属を使って格子状にパターン形成した伸縮配線
図2. 開発したパッシブ駆動のフルカラー伸縮ディスプレー
表1. 開発したパッシブ駆動のフルカラー伸縮ディスプレーの諸元
項目 値・仕様
発光素子 マイクロLED
画素数 32×32(カラー)
画素ピッチ 2mm
画面サイズ 64mm×64mm
ディスプレー駆動方式 パッシブ駆動