【報道資料】 2024年5月8日

技研公開2024の開催について

NHK放送技術研究所(技研)は、最新の研究開発成果を一般に公開する「技研公開2024」を、5月30日(木)から6月2日(日)まで開催します。
放送技術研究所は日本唯一の放送技術分野を専門とする研究機関です。未来を見据え、放送技術分野の基礎から応用まで幅広く取り組んだ研究開発の成果を紹介します。

今回は「技術でひらくメディアのシンカ」をテーマに、技研が目指す『Future Vision 2030-2040(2024年度版)』の3つの重点領域や、直近の課題解決に貢献しメディアを支える研究成果などを29項目の展示で紹介します。
放送メディアの「真価」を高める、技術の「深化」と「進化」をぜひご覧ください。

見どころ

Future Vision 2030-2040(2024年度版)

研究の進捗や放送メディアを取り巻く環境の変化、デジタル技術の急速な発展などを考慮して改訂した「Future Vision 2030-2040」2024年度版を紹介します。

メディアを支える~メディアの直近の課題解決に貢献~

映像の説明テキスト生成技術

  • 文字認識、顔認識など複数の要素技術を組み合わせて映像の内容を説明するテキスト(メタデータ)をAIで自動生成する技術を紹介します。
  • 取材映像の検索や番組解説文の生成など番組制作の効率化に活用します。

イマーシブメディア ~その場にいるような世界を体感~

ARグラス型ニュース提示システム

  • ARグラス越しに見えるユーザー周辺の空間に、多くのニュースを一覧性高く配置して、記事を探索・閲覧するシステムを体験していただけます。
  • 関連性の高いニュース同士が近くに配置され、複数のユーザーに同じ場所で同じ情報が見えるように提示される様子を、ご覧いただけます。

体験展示:体感!できるかな2030

  • 懐かしの造形教育番組「できるかな」をモチーフに、イマーシブメディアが実現する未来の番組視聴を体験していただけます。

ユニバーサルサービス ~いつでも・どこでも・誰にでも~

コンテンツの信頼性を高める来歴情報提示技術

  • 偽情報・誤情報の対策として、コンテンツの出どころや制作過程を表す「来歴情報」を記録・提示する技術を紹介します。
  • コンテンツの出どころや認証に関する国際標準化団体C2PA*が策定する技術仕様に準拠した動画視聴プレーヤーを展示します。

* C2PA: Coalition for Content Provenance and Authenticity

フロンティアサイエンス ~基礎研究により未来のメディアを創造~

自由に変形できるディフォーマブルディスプレー

  • ゴム基板上に伸縮配線とLEDを形成したディフォーマブル(変形可能)ディスプレーを展示します。
  • 昨年は単色のディスプレーを展示しましたが、今回はカラー化し、鮮やかになったディスプレーをお手に取ってご覧いただけます。

技研講堂では、2024年度版として改訂した『Future Vision 2030-2040』に関する基調講演と、3つの重点領域の研究紹介を5月30日(木)・31日(金)で上映するほか、6月1日(土)・2日(日)にはファミリー向けのイベントも開催します。

技研公開2024 「技術でひらくメディアのシンカ」

  • 開催期間: 5月30日(木)~6月2日(日) 午前10:00~午後5:00
  • 会場: NHK放送技術研究所 (東京都世田谷区砧1-10-11)
  • 入場: 自由(事前予約なしでどなたでもお越しいただけます)
  • Webサイト: https://www.nhk.or.jp/strl/open2024/

展示項目

  • メディアを支える
  • イマーシブメディア
  • ユニバーサルサービス
  • フロンティアサイエンス
エントランス展示 『Future Vision 2030-2040』
E1 メディアを支える(AIへの取り組み)
E2 イマーシブメディア
E3 ユニバーサルサービス
E4 フロンティアサイエンス
研究成果展示 実現時期
1 ARグラス型ニュース提示システム 短期
2 ニュースを対象とした手話CG生成技術 短期
3 放送とネットを統合したコンテンツ提供基盤 短期
4 データで広がるコンテンツ流通 短期
5 コンテンツの信頼性を高める来歴情報提示技術 短期
6 次世代地上放送の伝送技術 短期
7 放送番組中継用回線の伝送技術 短期
8 映像符号化方式と連携した衛星伝送技術 短期
9 ボリュメトリック映像制作支援技術 短期
10 イマーシブメディア用音響制作ツール 短期
11 8K映像切り出し制作システム 実用段階
12 映像の説明テキスト生成技術 短期
13 音楽の可視化による新しいコンテンツ表現 短期
14 周辺視野の知覚感度特性 短期
15 光源アレーを用いた3次元ディスプレー 中長期
16 自由に変形できるディフォーマブルディスプレー 中長期
17 薄くて曲げられるシリコン撮像デバイス 中長期
18 自然光でのホログラフィー撮影技術 中長期
体験型展示
T1 体感!できるかな2030
T2 体感!自由視点イマーシブライブ
関連展示
N1 もっと身近に4K8K/NHKプラス視聴体感コーナー
N2 NHK技術の活用と実用化開発((一財) NHK財団)
N3 NHK技研オープンイノベーション
N4 NHKの環境経営
N5 放送技術の1世紀と半世紀(放送博物館)
  • 実用段階:実用段階にある技術やその改善に向けた研究
  • 短期:5年以内に技術的に実用段階となる研究
  • 中長期:2030-2040年ごろの技術確立を目指した研究

基調講演・研究紹介

5月30日(木)・5月31日(金)の2日間、事前に収録した講演を上映します。

基調講演: Future Vision 2030-2040 (2024年度版)
講演者: 今井 亨 所長
概要: 技研が目指す未来ビジョンおよびそのビジョンの実現に必要な研究開発の重点領域を紹介
研究紹介: その場にいるような世界を体感するイマーシブメディア
講演者: 久富 健介(空間表現メディア研究部 シニアリード)
概要: 没入感あふれるメディア体験を提供できるイマーシブメディアの研究開発概要を紹介
研究紹介: あらゆる場面に信頼できる情報を届けるWebベース放送メディア
講演者: 松村 欣司(ネットサービス基盤研究部 シニアリード)
概要: インターネットを活用した新しい放送システムの研究開発概要を紹介
研究紹介: 未来のメディアを創造するデバイス技術
講演者: 萩原 啓(新機能デバイス研究部 シニアリード)
概要: 広視野映像や3次元映像などの表示・撮像技術を紹介