【報道資料】 2022年2月15日

色域表現の新手法“Gamut Rings”が国際標準に

~ディスプレーの色再現範囲をより正確に、分かりやすく可視化~

写真1. 試作したディスプレー色域自動測定装置

NHK放送技術研究所(技研)が考案したディスプレーの色再現範囲(色域)を表現するための新たな手法“Gamut Rings(ガマットリングス)”が、国際電気標準会議(IEC)で2021年1月に、国際照明委員会(CIE)では2021年11月に国際標準として採用されました(図1)。今回、ディスプレーの色域を自動で測定し、この新手法で表示する装置も実現しました(写真1)。

リングの面積が大きいほど、色再現範囲が広い
図1. Gamut Ringsによる色域表現

従来、色域は、原色(赤、青、緑)の色度点で定義される、色度図上の三角形の領域で簡易的に表現していました(図2)。この色度図は、紙面上など2次元で表現するのに便利ですが、本来、ディスプレーの色域を正しく評価するには、明度も含めた3次元の“色域立体”で表現する必要があります(図3)。一方、色域立体は、その3次元形状を自由な角度から見る機能がある表示装置 (PCやタブレット等)でないと、正しく評価することができません。

三角形の面積が大きいほど、色再現範囲が広いとされていた
図2. 従来の色度図上の色域表現
体積が大きいほど、色再現範囲が広い
図3. 色域立体の例

このため、3次元の色域立体を適切に評価できる、新たな2次元表現手法の開発が課題となっていました。NHK技研が考案したGamut Ringsは、色域立体を以下のような方法により2次元投影することで、ディスプレーの色域を正しく表現することが可能になりました。

色域立体を一定の明度間隔で輪切りにして、明度の低い方から平面に引き延ばし、より高い明度の色域をその周辺にリング状に配置していきます。リングの面積は3次元の色域の体積に比例します。中心からの角度は赤、青、緑などの色相を表します。

Gamut Ringsは、色域を正しく評価できるため、ディスプレーの設計や性能評価をはじめ、放送用から家庭用までさまざまなディスプレーやテレビの性能比較や選定において役立つことが期待されます(図4)。

※ Gamut Ringsは、ディスプレーだけでなく、プリンターなどの色再現範囲の正しい評価にも有効です。Gamut Ringsの“Rings”は見た目が木の切り株の年輪 (annual growth rings)に似ていることに由来します。

従来の色度図では色再現範囲が同じに見える2つのディスプレーでも、Gamut Ringsでは差が大きいことが一目瞭然でわかります。(ディスプレーAの方が、色再現範囲が広い。ディスプレーBは特に明度が高い場合に高い彩度が表現できない。)
図4. ディスプレーの性能比較の例

追補

アニメーション — 色域立体からGamut Ringsへの変換

国際標準

  • IEC 62977-2-1:2021 Electronic displays - Part 2-1: Measurements of optical characteristics - Fundamental measurements.
  • Information Display Measurements Standard (IDMS), v1.1, 2021. [ICDM, a part of the Society for Information Display (SID), is the Definitions and Standards Committee charged with setting standards for display metrology.]
  • CIE 246:2021 Colour Gamuts for Output Media.

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