【報道資料】 2021年6月28日

オブジェクトベース音響対応のライブ音声卓を開発

~番組音声をカスタマイズできる次世代音声サービスに向けて~

NHK放送技術研究所(技研)は、次世代の音声サービス技術として、オブジェクトベース音響方式(OBA)の研究を進めています。今回、OBAのライブ制作に対応した音声卓を世界で初めて開発しました。

OBAでは、番組音声を構成する音声素材とメタデータ(ナレーションや音楽などの音声素材の組み合わせや再生位置、音量などの付属情報)を放送し、受信機で番組音声を再構成(レンダリング)することで、視聴者の好みや視聴環境に合わせて番組音声をカスタマイズできる音声サービスが実現できます。

従来のOBA制作機器では、メタデータをファイル形式で出力するだけでしたが、今回開発した音声卓では、メタデータ*1)をストリーム形式*2)で出力することで、ライブ制作に対応できるようになりました。

さらに、受信機で再構成される音声をリアルタイムにモニターできるレンダリング機能3)と、既存のデジタル音声回線でメタデータを伝送できる機能4)も開発しました。これらの機能により、従来の番組制作における品質管理や設備、ワークフローに大きな影響を与えずに、OBAの番組を制作できます。

開発した音声卓に用いたメタデータのストリーム形式や伝送方式は、技研の提案を基に国際標準化されました。技研では、OBAを用いた次世代の音声サービスの実現に向けて研究開発を進めていきます。

*1) ITU-R勧告BS.2076:Audio Definition Model

*2) ITU-R勧告BS.2125:A serial representation of the Audio Definition Model

*3) ITU-R勧告BS.2127:Audio Definition Model renderer for advanced sound system

*4) SMPTE ST 2116:Format for Non-PCM Audio and Data in AES3 — Carriage of Metadata of Serial ADM (Audio Definition Model)

図1:オブジェクトベース音響と音声サービス例
図2:音声卓の外観
図3:音声卓の構成、信号の流れ
表1 音声卓の主な仕様
入力音声信号チャンネル数最大192チャンネル
入力音響メタデータADM*1)
伝送用音声信号出力最大64チャンネル(音響メタデータ込み)
モニター用音声信号出力最大24チャンネル(22.2マルチチャンネル音響対応)
音響メタデータ信号出力S-ADM*4)