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2020年10月5日(月)

男子110H 金井大旺選手 挫折を乗り越えて掴んだ日本一陸上日本選手権から

陸上日本選手権の男子110メートルハードルは、金井大旺選手が、高山峻野選手との新旧日本記録保持者対決を制して2大会ぶりに優勝。金井選手が「目標」と公言してきた、この日本一のタイトルは、ある挫折を糧に、たどり着いたものでした。

男子110Hは激動の時代

男子110メートルハードルは、ここ2年で日本記録が3回更新される激動の時代に入っています。その先駆けが金井選手です。大学生だったおととしの日本選手権、持ち味のスタートダッシュからスピードに乗り13秒36の日本記録で初優勝。実に14年ぶりの日本記録更新でした。その後、日本記録を塗り替えたのが1学年上の高山選手。去年、次々と好タイムを出し、8月の大会で日本記録を一気に13秒25まで縮めました。リオデジャネイロオリンピックの銅メダリストのタイムが13秒24だったことを考えると、この2人が日本の110メートルハードルを世界レベルに引き上げたことが分かります。

去年の日本選手権で大きな挫折

ライバルと競い合うなか、金井選手は去年の日本選手権で大きな挫折を経験しました。連覇をかけて臨んだ大会の準決勝で、まさかのフライングを犯し失格となったのです。スタートからのとび出しが持ち味の金井選手にとって痛恨のミス。決勝の舞台にさえ上がれなかった1年前のことを「ショックが大きすぎて立ち直れなかった」と振り返ります。

ミスは日本選手権で取り返す

そう誓った大会は新型コロナウイルスの影響で延期が決定。金井選手は開催を信じてトレーニングに励むしかありませんでした。ようやく大会が開かれ始めた8月、日本一奪回に向けてステップを踏んでいきます。下旬の大会で日本記録まで100分の2秒に迫る歴代2位の13秒27をマーク、調子を上げていきました。

決勝では隣のレーンにライバル

迎えた日本選手権、順当に進んだ決勝。隣のレーンには高山選手がいます。静寂の中、8人の選手たちが一直線に並び迎えるスタート。会場にピストルの音が響き渡り一斉にとび出した次の瞬間、もう一度ピストルが鳴りました。スタートのやり直しを知らせる2回目のピストル音。金井選手に1年前のフライングの悪夢がよみがえりました。リプレイ映像では金井選手の体が微妙に動いているように見えました。結果が出るまでの50秒間を、金井選手は「絶望感しかなかった」と振り返ります。判定はフライングなし。金井選手は再びスタートラインにつきました。

やり直しのスタートで

やり直しのスタート。金井選手は臆することなく自分のスタートを切ることだけを考え集中していました。ピストルの音とともに持ち味の鋭いスタートを決め一気に前に出ると、その後もどんどん加速し、食い下がる高山選手に0点1秒以上の差をつける会心の勝利を手にしたのです。タイムはおととしの優勝と同じ13秒36ですが、金井選手の中では全く違うものとなりました。

金井大旺 選手

「120パーセントの力が出た2年前とは違い、さらに上を目指せるという感覚がある。もっと底上げして力をつけたい」。

まっすぐ前を見据えながらそう話した金井選手。挫折を乗り越えつかんだ日本一のタイトルが、集大成と位置づける来年の東京オリンピックへの確かな自信となったことは間違いありません。

横山悠 記者

平成28年NHK入局。前橋局を経て
去年8月から長野局松本支局勤務。
学生時代は野球を続け、ポジションは投手(サウスポー)。

                   
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