読み込み中です...

2020年10月3日(土)

田中希実選手 日本記録保持者のプライド

陸上の日本選手権、女子1500メートルは田中希実(のぞみ)選手が悲願の初優勝を果たしました。

大胆さを見せつけた決勝レース

田中選手の持ち味は序盤からハイペースで飛ばし、レースを引っ張ること。ことし8月のゴールデングランプリでも、そのスタイルで日本記録を14年ぶりに更新しました。

しかし、日本選手権決勝のレースは最初の400メートル、日本記録を出したときより4秒ほど遅いペースで進みます。
田中選手は先頭に立つ同学年のライバル高松智美ムセンビ選手のすぐあとを走っていましたが、600メートルすぎに大胆な行動に出ました。まだ800メートル以上残した場面でロングスパートを仕掛けたのです。

そのまま独走で2位に5秒以上の差をつける、日本記録保持者の名に恥じない堂々としたレースでした。

過酷なトレーニングで自信

その背景には「自分の持ちタイムに恥じないレースをしたい」という、日本記録保持者としてのプライドとそれを支える過酷なトレーニングがありました。
田中選手は、ことし春からスピードとスタミナを両立させようと、「レースを想定したタイム設定で全力疾走し、ジョギングでつないでまた全力で走る」という練習を繰り返してきました。

それまで行っていた、「設定したタイムで数本走り、間に休憩を挟む」という練習スタイルと比べると、ギアが1段も2段も上がった過酷な練習でしたが、黙々とこなしてきました。
日本選手権という大舞台で周りをあっと言わせたあのロングスパートは確かな自信に裏打ちされた作戦だったのです。

休憩の過ごし方も大胆?

そしてもうひとつ、日本選手権では田中選手らしいエピソードがありました。
実はこの日、まず800mの予選レースがあり、疲労が抜けきらない4時間後に1500m決勝レースがありました。
田中選手は、大事な決勝レースの前に大学のオンライン授業を受けていたというのです。ここでもまた大胆な行動に驚かされましたが、その理由を聞いて納得しました。

田中希実選手

「授業でメモを取る作業が気分転換になって、決勝への不安を忘れさせてくれるから」

真面目な大学生らしい側面を見て田中選手らしいなと思わずにはいられませんでした。
女子1500メートルでは、まだ日本選手がオリンピックに出場したことはありませんが、自分を信じて愚直に前に進む田中選手には新しい道を切り開く可能性を感じずにはいられません。

今村亜由美

平成21年NHK入局 兵庫県出身。
和歌山、福井、名古屋を経て、大阪局でスポーツ担当。高校時代は野球部マネージャー。

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事