読み込み中です...

2020年6月15日(月)

技の"キレ"に"パワー"を加える大進化! 空手「形」清水希容

静寂の場内に響き渡る気合いの入った掛け声と道着の衣(きぬ)擦れの音。そんな緊迫した空気感が、空手「形」の大きな魅力です。東京オリンピックでは、沖縄の言葉が由来になっている102種類の「形」の中から、毎試合ひとつを選んで一人で演武します。試合は1対1のトーナメント形式で行われ、技の「正確さ」や「力強さ」などを競います。この空手「形」で、金メダルの期待が高まっているのが、女子の清水希容(しみず・きよう 1993年生まれ)選手です。

清水希容 選手

清水選手は大阪出身、空手を始めたのは小学3年生でした。中学生になると全国トップクラスの実力を身につけ、高校3年生でインターハイ優勝。2013年に全日本空手道選手権で史上最年少優勝を果たしました。以来、全日本7連覇中の日本女子のエースです。清水選手の特徴は、なんと言ってもスピードとキレのある美しい演武。20199月に行われた空手の「プレミアリーグ東京大会」で披露した「チャタンヤラ・クサークー」という演武の一部をご覧ください。

実は、「形」は一人で演武していますが、目の前に敵がいると仮想して攻撃と防御を繰り返しています。先程の清水選手の7秒間の演武に仮想敵の動きを重ねてみましょう。短い時間に数多くの仮想敵と対峙(じ)していることが分かります。

元世界王者で日本のナショナルコーチを務める宇佐美里香さんは、体の軸のブレのなさが、清水選手のスピードや技のキレにつながっているといいます。

日本代表コーチ 宇佐美里香さん

日本代表コーチ 宇佐美里香さん

「形」は、体の軸がブレないことが一番大事です。ブレない軸の中でスピードを生み出すわけです。清水選手は、「形」の最初から最後まで、スムーズでスピードのある流れとともに、すごく下半身が安定していて、軸のブレがない選手です。なので、スピードや技のキレがすごく目立っていると思いますね。

サンドラ・サンチェス選手 プレミアリーグ マドリード大会(2019年11月)

ところが清水選手は、2019年11月、スペインで行われた「プレミアリーグ」の決勝戦で手痛い敗北を喫しました。相手は、2019年の「プレミアリーグ」6大会すべての決勝戦で対戦した最大のライバル、スペイン代表のサンドラ・サンチェス選手。「スピード」と「正確さ」を持ち味としている清水選手に対して、サンチェス選手の武器は「パワー」と「力強さ」。技と技の間に間をとり、体全体を使って一つ一つの技を力強く見せるのが特徴です。

日本代表コーチ 宇佐美里香さん

宇佐美里香さん

サンチェス選手は、突き技、受け技の一つひとつが本当に相手を倒しているようです。全身の身体能力が高くて、力強さがあります。

清水選手とサンチェス選手の演武を動画で見比べてみましょう。二人は、同じ「形」を演じています。注目点は、もちろん清水選手の「スピード」とサンチャス選手の「パワー」。

宇佐美さんは、清水選手が東京オリンピックで金メダルをとる鍵は、サンチェス選手のようなパワー、「力強さ」を身につけることだと言います。

宇佐美里香さん

サンチェス選手の手先、指先まで力強さが伝わるような、真の力強さっていうのでしょうか。清水選手がサンチェス選手のような「パワー」を身につけて、「力強さ」を取り入れたら鬼に金棒ですね。清水選手は本当に強い選手になると思います。

サンチェス選手のような「力強さ」をどう身につけるか。東京オリンピックに向けて、清水選手が取り組んでいるのが、筋力トレーニングです。しかし、パワーを出そうと筋力アップだけを図ると「体の軸」がブレて「キレ」を失う可能性があります。

そこで、重さのあるボールを駆使するなど、体幹を鍛えるトレーニングを合わせて行うことで、「ブレずにパワーを出せる体」へと進化しようとしているのです。

清水希容選手

正しい筋肉をつけて、正しいフォームでパワーを出せるトレーニングを意識してやっています。オリンピックで一番いい状態に持っていけるようにしたいと思います。

清水希容選手

100年を超える長い歴史を持つ武道「空手」。その伝統が刻み込まれた「形」には、スピードや正確さのある「流れ」とともに、力強さのある「極め」も欠かせません。力強さを身につけて、更なる進化を目指す清水選手、その躍動する演武に期待が高まります。

この記事は「勝利の条件 スポーツイノベーション」(2019年12月29日放送)をもとに制作しました。
番組ホームページへ

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事