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2020年3月8日(日)

東京へのキーワード"やるべきことをやる"陸上 サニブラウン

開幕まで5か月を切った東京オリンピック。
期待の新星のひとりが、陸上男子短距離のサニブラウン アブデル・ハキーム選手だ。去年100mで9秒97の日本記録を打ち立てるなど大きく飛躍したが、見据えるのはそのはるか上。まもなく始まるオリンピックシーズンを、どのように過ごすつもりなのか、アメリカでトレーニング中のサニブラウン選手に聞いた。(敬称略)

サニブラウンが描く2020

サニブラウン選手

9秒97だと、まだ誤差レベルの9秒台かなと。もうちょっと、ちゃんと9秒出たぞくらいの見えを張れるタイムを出したい。

日本記録保持者になった昨シーズンを振り返り「8割から9割くらいはできた」と話したサニブラウン。みずからの日本記録を「誤差レベル」と表現したところに、改めて見据えるレベルの高さを感じた。

いよいよ始まるオリンピックシーズンで、調子をどう上げていくイメージなのかという問いに、みずからグラフを書いて答えてくれた。

迷うことなくスラスラと書いてくれたのは、東京オリンピックをピークとした右肩上がりの線。
気になったのは、オリンピック1か月前のことし6月に行われる日本選手権。
日本代表の選考レースとなる大一番だが、ここでは60%ほどでいいと言う。

サニブラウン選手

日本選手権の時は、まだ模索している感じ。そのあとの1か月でしっかりと上げる。

そこには、昨シーズンの教訓があった。
去年6月の全米大学選手権。サニブラウンは1日3本のレースというハードなスケジュールをこなしながら、100メートルで9秒97、200メートルで20秒08とそれぞれ自己ベストを更新。
その勢いのまま、3週間後の日本選手権で100メートルと200メートルの2冠を達成したが、本人は調子のピークを維持することの難しさを感じたという。

サニブラウン選手

全米学生の時に、ほぼ100%で臨んで、日本選手権では100に近かったけど実際状態は少し落ちた。100%の維持はけっこうつらいので、自分には上がっていく形が向いているのかなと。

確かに、サニブラウンの書いたグラフでは、日本選手権からオリンピックまでの1か月で、状態は急激な伸びを見せる。
オリンピックの参加標準記録を突破しているサニブラウンにとって、あくまで日本選手権は通過点。そこから一気に、オリンピックに向けて100%に仕上げるつもりなのだ。ならば、60%の状態で臨む日本選手権ではどういう走りを見せるつもりなのか。その設定タイムは、やはり強気だった。

サニブラウン選手

本当に5月、6月あたりで今の自分の自己ベスト(9秒97)くらいで走れるようになっておきたい。

大きな「教訓」得たレース

昨シーズン、サニブラウンには大きな教訓を得た大会がもう1つあった。
9月から10月にかけてカタールのドーハで行われた世界選手権だ。
東京オリンピックの前哨戦とも言えるビッグゲーム、その100メートル準決勝のレースで、端っこの9レーンだったサニブラウンはスタートで大きく出遅れた。

後半巻き返したものの10秒15の5位。
10秒12までが決勝に進めたレースで、本来の力を発揮していれば問題なく通過していたはずだったが、力を出しきれなかったのは「(スタートの)音が小さくて全然聞こえなかった」というまさかの理由からだった。
一方で、フロリダ大のチームメートでアメリカのホープ、グラント・ホロウェイは、110メートルハードルで金メダルを獲得。
世界を制したチームメートと自分との違いは何なのか、サニブラウンは自問自答を続けた。

サニブラウン選手

確かに(スタートの)音聞こえなかった。でも練習でたまに音が鳴らない時もある。例えばグラント(ホロウェイ)だったら練習でスタートやってる時、普通に音が鳴らなくても出るけど、自分は出なかったりする。日々の練習の積み重ねの違いがああいうところで出るのかなというのは感じた。

やるべきことをやる1年に

現在、シーズン直前の練習を行っているサニブラウンは、これまで以上に日々の1本1本の走りに集中して練習している。
大きなミスを経験した今、大一番で「やるべきことをやる」ための集中力を培うのは、ふだんの練習にあると身をもって経験したからだ。

マイク・ホロウェイコーチ

疲れてても、雑にやらない。どれだけ遅くてもいいからちゃんと技術的な面でしっかり走り込みをしたり、より一層細かい面で集中して練習するようになった。

マイク・ホロウェイコーチ

練習に臨む集中力は格段に違うし、すべての面において進化していると思う。今の彼は、目の色を変えてハードにトレーニングするようになった。

ミスを経験して一回りも二回りも成長したサニブラウン。
勝負のオリンピックへ、やるべきことをやってシーズンに臨む覚悟だ。

サニブラウン選手

明確な目標でいうとやっぱり金メダルを取りたいというのがある。しかし、オリンピックの舞台で、いつもどおりやっていることをちゃんとできるか、そういう本当に一つ一つ小さなところをちゃんとできるようにしたいという目標のほうが、今はもっと大きくなってきている。

(取材:スポーツニュース部 記者 山本脩太)

                   
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