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2020年3月16日(月)

柔道・阿部詩「試練を乗り越えて東京五輪へ」

柔道女子52キロ級の阿部詩選手、19歳。世界選手権2連覇中の世界女王です。しかし、東京五輪の代表内定をつかみとるまで、大きな試練がありました。

持ち味は"豪快に一本を取る柔道"

阿部選手の得意技は内股や袖釣り込み腰など、キレ味鋭い投げ技です。「豪快に一本を取る」攻撃的な柔道を目指しています。

2019年世界選手権で優勝

去年8月の世界選手権では、リオデジャネイロ五輪の金メダリスト、コソボのケルメンディ選手に一本勝ちして2連覇を達成。「世界最強」の名を揺るぎないものにしました。

大きな試練とあふれた涙

ところが、去年11月、阿部選手は大きな壁に直面します。優勝すれば東京五輪代表が確実となる国際大会、グランドスラム大阪の決勝でした。 

相手は、フランスのブシャード選手。それまで4連勝中と相性がよく、阿部選手自身も「絶対勝てる」と優勝を疑いませんでした。しかし、試合は思いがけない展開になります。組み手争いで後れを取り、相手に両袖をつかまれて自由を奪われます。攻めの形を封じられ、得意の投げ技は何度も空を切りました。阿部選手の柔道は完璧に研究されていたのです。

ブシャード選手に負けて涙を流す阿部選手

延長の末技ありを奪われ敗戦。海外選手への連勝は「48」で止まりました。積みあげてきた自信は打ち砕かれ、試合後、人目をはばからず泣き続けました。

さらなる成長へ "攻撃的な柔道を取り戻す"

自分に何が足りなかったのか。敗戦の後、阿部選手はみずからに問い続けました。そして、練習を重ねる中でたどりついた一つの答えは、勝ち続けてきた実績が自分の弱さを覆い隠していたのではないかということでした。

阿部詩選手

“絶対に勝てるだろう”と思ってしまい、気持ちの部分で隙があった。自分が思うようにいかなかったら、焦ってしまって自分の柔道ができていなかった。自分が弱かったと思う。

阿部選手は「どんな状況でも前に出る」柔道を貫くと心に決めました。周りの選手が休んでいる間も練習を続け、課題の組み手の練習にもこれまで以上に力を入れるようになりました。どんなに研究をされても上を行く強さを身につけるためです。

阿部詩選手

みんな死ぬ気でかかってきてると思うので、それに勝ってこそが本当の強さだと思うのでその本当の強さを手に入れるために乗り越えて勝ちたいと思っています。


あの試合でわかった弱点を乗り越えたら、自分はまた一段と成長できるって信じている

再戦 敗戦を乗りこえられるか

2月、阿部選手は再び代表内定をかけ国際大会に挑みました。ドイツで行われたグランドスラムデュッセルドルフです。

決勝の相手は、11月に敗戦を喫した、あのブシャード選手でした。

阿部詩選手

どんな試合でも隙を見せずに勝つ。自分の柔道を100%出し切りたい。

再び両袖を取り、抑え込もうとするブシャード選手。しかし、阿部選手は組み手争いで成長を見せます。素早く相手の組み手を切ったり、持ち方を変えたりして対応、攻める形を作りました。そこから得意の袖釣り込み腰を使い、攻める姿勢を貫きます。

技によるポイントは奪えなかったものの、阿部選手は相手の反則負けで勝利。阿部選手は東京五輪の代表内定を勝ち取りました。

阿部詩選手

しっかり冷静に焦らず柔道ができた。前回より成長できたと思います。

目標の金メダルへ さらなる成長を

東京五輪女子52キロ級に代表内定

これまで、日本の柔道は五輪で全競技中最多の39個の金メダルを獲得してきました。しかし、女子52キロ級だけは金メダルを獲得できていません。目標とする金メダル獲得に向け、阿部選手はさらなる成長を誓っています。

阿部詩選手

東京五輪では自分の柔道をしっかり貫き、だれにも負けない強い自分で優勝したい。目標に向かって、今から準備していきます。

永井宏美

スポーツ情報番組部ディレクター。平成28年入局。柔道取材歴、およそ2年。阿部詩選手の取材は2017年の講道館杯から継続して行う。

                   
※NHKサイトを離れます

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