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2020年2月13日(木)

楽天ヘルメットに伝統の"玉虫塗"

2020年、プロ野球の楽天は首脳陣も選手も大きく入れ替わりました。しかし一番変わったのは、ヘルメットかもしれません。一目瞭然、輝きが違います。

輝きの秘密は"玉虫塗"

今シーズン(左) 昨シーズン(右)

そのあでやかな光沢は、撮影しているカメラマンの姿が映り込んでしまうほど。深みのある色あいとともに、昨シーズンまでとは段違いです。その輝きの秘密は…仙台で生まれた宮城県の伝統的工芸品、「玉虫塗」の技術です。

球団は、地元の伝統を生かしながら新しい楽天のイメージを発信したいと採用を決めました。

楽天野球団 マーチャンダイジング部 渡辺誉志部長

石井一久ゼネラルマネージャーから“新しいチーム、強いチームをイメージできる色をつくっていこう”と言われていました。


このヘルメットで表現できると思いました。

玉虫塗の挑戦

玉虫塗は昭和初期、国の政策として開発された漆塗りの技法です。海外に輸出する花器や椀などを美しく彩り、その光沢が「玉虫」の羽根のようだとして名付けられました。

その技術は、90年近くたった今も国内外で高く評価され、ことしの東京オリンピック・パラリンピックの公式グッズにも玉虫塗の商品が選ばれています。その伝統の技で“玉虫塗のヘルメット”に挑戦したのが、仙台市青葉区の工房、「東北工芸製作所」です。

東北工芸製作所 佐浦康洋社長

楽天のチームカラーと玉虫塗のワインカラーが奇跡的にほとんど一致していて縁を感じています。


玉虫塗に限らず塗り物はふつう使用場所がインドアですが、野球のヘルメットはアウトドア。今までにない挑戦でした。

職人の技で生まれる美しさ

新しいヘルメットには、球団と製作所双方の強いこだわりが反映されています。たとえば去年11月、製作開始前の打ち合わせに立ち会わせて頂いた際にも、次の会話のように、色の濃さについて“最善”を追い求め、わずかな違いにもこだわっていました。

球団担当者

ユニフォームが濃くなるから、それに合わせることを考えると、試作品だとちょっと明るすぎる。もうワントーンぐらい深くしたい。

玉虫塗 開発担当者

玉虫塗は、銀の表面の上におよそ0.01ミリの薄い層があって、それが色を決めている。その層が0.011ミリなのか、0.012ミリなのか、0.013ミリなのかで色の濃さが変わる。


染料は、必ず色が薄くなっていくものなので、シーズン後半にちょっと薄くなる可能性はある。少し濃いめにしておくのはいいかもしれない。

このわずかな色の違いを表現できたのは、この道30年以上のベテラン塗師の匠の技です。そもそも、これまで手がけてきた花瓶や小物入れなどと比べ、ヘルメットはつばや耳当てがある複雑な形状で、均等に塗り上げること自体、難しいといいます。

塗料を吹きかける時間や回数を微妙に調整し、ヘルメットを1つ1つ、球団の要望に応える色に塗り上げていきました。選手やコーチが使用する240個のヘルメットを製作するのに、2か月かけたということです。

東北工芸製作所 佐浦康洋社長

通常の工芸品は1点1点仕上がりが違い、個性をもたせています。ただ、今回は、絶対に均質でなければいけません。


これは工芸品にとって難しいことですが、時間を多くいただけたのですべて同じ色に、均質に仕上げられました。

科学技術との融合で強さも

今回、最も懸念されたのは、たとえばデッドボールのように、プロならではの激しい衝撃や厳しい使用状況で、玉虫塗があっという間に傷ついてしまうのではないかという点でした。玉虫塗は本来、美しく見せる観賞用の技術で、強い衝撃を受けることは想定されていないからです。

そこで協力を求めたのが、仙台市にある国の研究機関、産業技術総合研究所です。最新の科学技術で、屋外でも使える衝撃に強い玉虫塗を目指したのです。

合成粘土を使った特殊な保護膜を共同開発。ナノテクノロジーを使って表面の硬度を上げたほか、長時間、紫外線を受けても色が落ちにくくなりました。

保護膜なし(左) 保護膜あり(右)

さらに、膜で玉虫塗の光沢が失われることがないよう、高い透明度も実現しました。

産業技術総合研究所 蛯名武雄首席研究員

激しい使用でも傷がつきにくい、強い玉虫塗になったのが今回の特徴です。


自信のある形で出せたと思いますが、頭部へのデッドボールはない方がいいんですけどね。

地域とともに戦う

強さと美しさを兼ね備えた新たなヘルメット。地域の誇りや伝統とともに7年ぶりの日本一を目指します。

新キャプテン 茂木栄五郎選手

かっこいいヘルメットです。頭を守るだけでなく、東北の人たちと一緒に戦い、地域を盛り上げていきたい気持ちが強く芽生えます。

並松康弘

平成26年入局。新潟局を経て仙台局で楽天担当。出身は群馬県。地元の伝統工芸「高崎だるま」のように「七転び八起き」の人生でありたいです。

                   
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