読み込み中です...

2020年2月12日(水)

スケートボード・ 四十住さくら 教科書はスマホ?

東京オリンピックの新競技、スケートボード。若者から絶大な人気を誇るこの競技で、10代の日本選手が世界を席巻しています。

世界ランキング2位の四十住(よそずみ)さくら選手、17歳。東京オリンピック期待の星の練習に密着すると、ボードを降りてスマホをじっと見つめる姿が。果たしてその内容とは…?

目指すは「誰よりクールなパフォーマンス」

アメリカが発祥のスケートボード。東京オリンピックでは2つの種目が行われる。

ひとつ目はストリート。手すりや傾斜など、街の中を見立てたコースで技を繰り出しながら滑走し得点を競う。

ふたつ目はパーク。窪地がいくつも並んだような形状のコースで、決められた時間内に複数回滑走。一番高い得点で順位が決まる。採点項目はジャンプの高さ、技の難度、そしてオリジナリティーなど。この「オリジナリティー」が、スケートボードの競技としての独特なところだ。

冬季五輪スノーボード銀メダリスト平野歩夢選手 パークで代表入り目指す

他の選手と同じ技をやっても得点は伸びない。前の選手に予定していた技をやられた時には、急遽技を変更することも珍しくないという。大切なのは、「カッコいいこと」、「人がやらないことをやること」だ。

お兄ちゃんに褒められるのがうれしくて

パークで日本代表候補に挙げられるのが、四十住さくら、17歳だ。
四十住は和歌山県岩出市生まれ、現在も和歌山の実家に暮らしている。
スケートボードを始めたのは小学6年生と、他のトップスケーターに比べて遅かったが、その4年後には世界選手権で優勝している。驚きの急成長を遂げられたのは、四十住がスケートボードを始めるきっかけでもある家族の存在があった。

「私、お兄ちゃんがすごく大好きで。スケートボードを始めたのも、お兄ちゃんに古いスケボーをもらったのがきっかけでした、お兄ちゃんは私がちょっとでも技ができたら褒めてくれて、それがすごく好きでした。褒めてもらいたくて、すごく練習頑張りました!」

褒められて嬉しい。練習が楽しい。
スケートボードについて話す四十住はいつも笑顔で、ポジティブな言葉があふれてくる。

「新しい技ができるとすごく嬉しい。いくらやっても技はいっぱいあるので壁がない、終わりがないんです。それがすごく楽しい。初めて技をやるときには少し怖さはあるけど…“怖楽しい”感じです(笑)。」

スケボーを始めた原点

世界各地で行われる大会に参加するため、四十住の海外遠征の日数は年間100日近くに及ぶ。遠征には主に母親が帯同し、彼女をサポート。
遠征の合間、和歌山の自宅に帰れば、家族はみな温かく迎えてくれる。唯一、飼っているヤギの「やっくん(9歳)」だけはいっこうに懐いてくれず、四十住が声をかけてもいつも吠えてくるが…。

自宅に作られた練習場

自宅の敷地内には、両親が作ってくれた練習場がある。短い斜面や段差、そしてハーフパイプのシンプルな木製のコース。四十住はここで兄と共にスケートボードに熱中し、技を磨いてきた。

「すごく大事な場所です。原点ですね。」

取材に訪れた日は、四十住自らコースの釘を取り換えるメンテナンスを行っていた。

世界を舞台に活躍する今ではここで練習することは減ったが、今でも変わらず彼女にとって大切な場所だ。

練習のお供は「スマホ」

世界を舞台に戦うようになってからは、施設が充実した神戸の練習場に2時間かけて通っている。練習は平日でも5時間、休日には10時間に及ぶという「練習の虫」。

「私、ただスケボーが大好きで毎日乗っていたい。それだけです。だから練習大好きです!」

四十住の持ち味は、コースの「ふち」を使った多彩な技だ。レパートリーは100種類以上。世界でも数人しかできない技を武器に、世界トップレベルと渡り合ってきた。

専属のコーチを置かず一人で練習している四十住にとって、多彩な技を覚えるのに欠かせないもの、それがスマートフォンだ。
世界中の選手たちが動画投稿サイトやSNSにアップする動画が、四十住にとっての「教科書」。最新のトップ選手の技を分析し、アレンジを加えて新しい技にチャレンジしている。

今取り組んでいるのが、苦手な高いエアの習得。

その練習を撮影していると、突然四十住がカメラに近づいてきた。

「ここからは撮らないでください。」

「オリジナリティー」が勝負のポイントであるスケートボード選手にとって、新しい技の情報管理は必須。ネットに技の動画を投稿する半面、勝負をかける技は大会まで徹底して見せないのだと言う。
どんな技を練習するのか四十住に尋ねると、笑顔で一言だけ返ってきた

「オリンピックで、楽しみにしていてください。」

ライバルは13歳

現在世界ランキング2位の四十住にとってライバルとなるのが、現在世界ランキング1位の岡本碧優(みすぐ)、13歳。オリンピック出場へのポイントを獲得できる国際大会で、現在4連勝中。日本代表のイス、そしてオリンピックでの金メダルを争う相手だ。

岡本碧優選手 13歳

岡本の必殺技、「540(ファイブフォーティー)」は、空中に勢いよく飛び出し、1回転半する大技。女子選手でこの技を成功させられる選手は少なく、この高いエアで高得点をたたき出す。

スケートボード日本代表のヘッドコーチを務める西川隆は、13歳の女王・岡本とそれを追う四十住、それぞれの強みをこう分析する。

「岡本は、まず体が軽くてスピードが速い。その速さのおかげでエアに高さが出るし、そこで“540”のような横回転が入る技が、彼女の持ち味ですね。四十住はやはり技の引き出しがたくさんあること。相手の技に合わせ、色々な組み合わせができることが大きい。期待としては、この2人でオリンピックの1番と2番を取って頂けないかな…と思っています。」

初めてのオリンピックを前に高まる期待。その中でも四十住は自然体で、強い決意を語ってくれた。

「自分はスケートボードをこれだけ楽しくやれて、世界にも出られて、それがすごくうれしいです。東京オリンピックでは、今まで練習してきたことをすべて出して、金メダルを取れるように頑張りたいです。」



オリンピックに日本代表として出場できるのは、ストリート、パークそれぞれ男女最大3人ずつ。今年5月の世界選手権で3位以内に入るか、それまでの選考大会のポイントによって決定する。

オリンピックで初めて行われるスケートボード。日本の10代の選手たちの躍動に期待が高まっている。

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事