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2020年1月23日(木)

東京五輪へ"覚悟を持って"女子マラソン 鈴木亜由子

長く「低迷」と言われてきた女子マラソン。日本にとってオリンピックで4大会、16年ぶりのメダルを目指すひとりが鈴木亜由子選手だ。
ことし鈴木選手は、日本の女子マラソンの“聖地”ともいうべき場所で、自身の殻を破ろうとしていた。(※以下、敬称略)

初日の出の誓い

オリンピックイヤーの元日、鈴木が初日の出を見る場所に選んだのは、鹿児島県徳之島の「『金』見崎」。
厚く覆われた雲の隙間からきらりと見えたのは金メダルのような初日の出だった。

「始まったんだなという思いで、本当に気持ちが新たになる。最高の舞台で最高の走りがしたい」と鈴木。笑顔で誓った。

『越える』をテーマに

練習場所は“尚子ロード”。
あの金メダリスト、高橋尚子が去年亡くなった小出義雄監督とともに練習を積んだ日本の女子マラソンの聖地ともいえるコースだ。
その小出監督が生前「メダルが取れる」と太鼓判を押していた鈴木。
「メダルをかけた勝負をする」という強い覚悟をもってオリンピックイヤーを迎えていた。

鈴木亜由子選手

ことしは『越える』をテーマにやっていきたい。これまでの自分を乗り越えていかなければ、勝負できないと感じたので、日々、苦しいところで自分を越えていく。

突きつけられた限界

鈴木が「越えるべき自分」と考えているのが、去年9月に行われた代表選考レース、MGCでの走りだ。

これが2回目のマラソンだった鈴木は、優勝した前田穂南の予想以上のハイペースに20キロ以降ついていけなかった。最後は倒れ込むようにフィニッシュ。代表内定となる2位を守るのが精いっぱいだった。

私はMGCの前にも鈴木の練習に密着。その時を今改めて思い出すと「レースの本命」と言われる中で確実に代表をつかみ取ろうと、みずからにリミッターをかけながら慎重にトレーニングを行っていたという印象だった。
そしてMGCの2位。
自分の限界を突きつけられてしまったのだ。

鈴木亜由子選手

やっぱりMGCが終わって、弱いなって。練習不足でしたし、距離という点では、以前よりは踏めるようになりましたけど、その先に行くにはやはり質を高めていく必要があるなと感じました。

覚悟を決めた

オリンピックで、メダルをかけた勝負をしたい。
徳之島ではレース終盤まで勝負できる“脚”を作るトレーニングに取り組んでいた。
島のコースは坂道が多く起伏に富む。さらに強い風にもさらされ、フォームを崩さず走りきるのは簡単なことではない。

指導する高橋昌彦監督はMGCの直後に「2020年は勝負しよう。リスクも覚悟で厳しい練習をやっていこう」と鈴木に語りかけていた。

距離走のペースを速めることなど練習の質を高める提案を受け、鈴木はこの時期としては長い距離の30キロ走を、従来の設定より速いタイムで押していく厳しい練習をみずからに課していた。

けがの壁も乗り越える

一方で、追い込んだ練習は鈴木にとってはもろ刃の剣となりかねない。
中学生の時から天才ランナーと呼ばれてきた鈴木は、持ち味のスピードが足への大きな負担となって何度も足の故障に悩まされてきた。
前回のリオデジャネイロオリンピックでは、大会直前に疲労骨折した苦い経験もある。

3年前にトラックからマラソンに転向し、体のバランスの意識を高め足のケアにも時間を割いてきた鈴木。
「バランスの悪さに気づいていない中で(練習を)やってしまうとけがにつながると思うので、そこは自分の判断で回避できるのかなと」ということばからは、故障につながる前に原因に気づくことで、けがの壁も乗り越えようという決意も伝わったきた。

覚悟をもって自分を『越える』

東京オリンピックのマラソンは、涼しく平たんな札幌に会場が移った。
高速レースが予想されるなかで、鈴木は徳之島合宿で養った強じんな足腰をもとに、今は海外でスピードを磨く練習に移っている。

鈴木亜由子選手

2020年は“覚悟”を持って、練習でしっかりとつけた自信を武器に、メダルを目指して本番を走りたいと思っています。

大言壮語をしない鈴木は、じっくりと自分の思いを確かめながら、覚悟を持ってメダルへの思いを語った。
これまでの自分の限界を越えた先に夢のメダルがあると信じて。
(スポーツニュース部 記者 本間由紀則)

                   
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