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2020年2月3日(月)

「松田瑞生、ここにありや!」 母と娘の大阪国際女子マラソン

1月26日に行われた大阪国際女子マラソン。東京オリンピック・マラソン代表の最後の1枠を争うレースで、「2時間22分22秒以内」という設定記録を破る2時間21分47秒のタイムで松田瑞生選手が優勝、代表入りに大きく前進しました。

このレースを前に、カメラは松田選手の母・明美さんに密着。娘の走りを支え続けてきた母は、松田選手のレースをどのように迎えたのか。母と娘の思いに迫りました。


自己ベストが五輪への大前提

去年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で、前田穂南と鈴木亜由子が代表に内定した東京オリンピック女子マラソン代表。

レースを前にした会見での小原、松田、福士

残り1枠を争う選考レースのひとつ、大阪国際女子マラソンには、オリンピック5大会連続出場を狙う福士加代子や、MGC3位の小原怜など有力選手が揃った。
中でも注目を集めたのが松田瑞生、24歳。代表入りへの前提条件となる設定記録「2時間22分22秒」は、松田が2018年のベルリンマラソンで記録した自己ベスト2時間22分23秒を1秒上回るもの。松田にとっては地元でもある大阪で自己ベストを塗り替えることが、オリンピックへ近づくための大前提だった。

MGC敗退のショックから

去年のMGCで優勝候補に挙げられていた松田。しかし序盤のハイペースについていけず、結果はまさかの4位。レース直後のインタビューでは、「気持ちの整理がまだ付かない」と悔し涙にくれた。

一時は引退まで考えるほど松田の受けたショックは大きく、なかなか立ち直ることができなかった。その背中を押したのは、中学生で陸上を始めた時から支え続けてくれた母・明美さんだった。

MGCの後、大阪の実家に帰ってきた娘に、明美さんは声をかけた。

「『お前まだ再起不能になってないんやから!』『日本新記録とれや!とことんやれ!』って言うてね。」

明るい調子でハッパをかける母。その言葉は娘にとって何よりの励ましになった。

大阪の実家には、明美さんが用意したまだ空っぽの棚がある。

「ここはオリンピックの分ね」。

半年後のオリンピックに向けて、娘のメダルを飾る準備は早くもできていた。


1月26日、大阪国際女子マラソンの朝。

「いよいよ来たで!イエーイ」

応援に向かう明美さんは朝から明るい。車で会場へ向かう途中、明美さんがある物を見せてくれた。

「ひじきのおにぎり。瑞生が一番好きなやつなんや。」

中学生のころから、大事なレースの時はいつも食べさせてきた「勝負メシ」。東京オリンピックへの大一番に、思いを込めてにぎった。

「必ず勝ち取れ!」
母の思いと共に、松田瑞生はスタートラインに立った。

ハイペースのレースを走り切れ

12時10分。スタートの号砲が鳴った。

レースは予想以上のハイペースで幕を開けた。「2時間22分22秒以内」というハイレベルなタイムを目指す先頭集団には松田、福士、小原ら有力選手が揃い、設定記録を大幅に上回る1キロ3分20秒を切る速いペースが続く。

松田はハイペースに対応。海外選手も振り切る。

17キロ過ぎに小原が失速。さらに福士も20キロ付近で集団から遅れ始め、25キロ過ぎで自ら棄権した。ライバルが脱落する中、松田は海外選手と共にハイペースを維持。31キロ付近でスパートをかけトップを独走する。

あとは設定記録「2時間22分22秒」との勝負。松田も「30キロからが長かった」と終盤にかけて徐々にペースが落ち始めるが、この日の彼女には粘りがあった。このレースに向けた1か月間で1300キロを走り込み、「今までで一番走った」と振り返るほどの猛練習が、走りに自信を与えていた。

そして最終盤、松田に力を与えたのが、母の明美さん。沿道の明美さんからの声援に、松田は笑顔とガッツポーズでこたえた。

フィニッシュタイムは設定記録より30秒以上速い、2時間21分47秒。日本歴代6位となる好タイムを記録し、夢のオリンピック代表へ大きく前進した。

レース後、母と娘は

派手なガッツポーズでゴールテープを切った松田を迎えたのは、沿道からフィニッシュ地点に移動してきた母の明美さん。

「やったなぁ!『松田瑞生、ここにあり!』みたいな走りや。やっぱりみーちゃんや!」

大勢のメディアに囲まれ、笑顔の母と娘。フラッシュの嵐の中で、母・明美さんは娘に声をかけた。

「おいしいもの、食べような。」





「沢山の温かい言葉をもらったことが、一番大きかった。」

レース後の会見。結果には安堵しつつ、松田の口から出たのは意外にも反省の言葉だった。

「日本記録を出さないと世界のトップには勝てない。後半にペースが落ちてしまったことが課題なので、強化していけばもっといいタイムが出せると思う。自信をもってスタートラインに立てるように、一からトレーニングしたい。

東京オリンピック女子マラソン代表の選考レースは、残りひとつ。3月の名古屋ウィメンズマラソンで今回の松田の記録を上回る選手が出なければ、松田が代表に内定する。

オリンピックの舞台で走る姿をイメージしながら、母と娘は3月の名古屋の結果を待つ。

                   
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