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2019年12月13日(金)

廃部からの復活 クレインズは進み続ける

8日まで行われた、アイスホッケーの全日本選手権。今年、新たに生まれ変わり戦ったチームがあります。

釧路市を本拠地とする、「ひがし北海道クレインズ」。
前身の日本製紙クレインズが昨シーズン終了後に廃部・そこからわずか半年で新たなチームを作り、クラブチームとして復活を果たしました。

強い思いで臨んだ全日本選手権。そして、そこに至るまでのチーム再建の物語を追いました。

町のシンボル、突然の廃部

昭和24年の創部以来、地元釧路市のファンに愛されてきたクレインズ。全日本選手権では優勝7回の名門。街のシンボルのような存在でした。

しかし昨年12月。親会社の日本製紙の収益悪化を理由に、突如廃部が決定。存続のためには、チーム登録の期日までのわずか20日間で、1億5000万円もの運営資金を集める必要がありました。

そのキーマンとなったのがキャプテンの上野拓紀選手、33歳です。

高校時代を釧路で過ごした上野選手。早稲田大学から韓国、栃木のチームを経て、2015-2016シーズンにクレインズに移籍。全日本選手権では過去にMVPを獲得したリーグを代表するフォワードです。

突然の廃部の知らせには「頭が真っ白になった」という上野選手。それでも、他のチームへの移籍は全く考えませんでした。上野選手は記者会見でチーム存続を訴え、選手たち自らスポンサー企業探しを始めました。その時、上野選手を突き動かしていた思いは。

上野拓紀選手

「アイスホッケーが好きだという気持ち、そして釧路にアイスホッケーを残したいという気持ちだけでした。」

釧路とアイスホッケーの結びつきは古く、その始まりは戦前までさかのぼると言われています。戦争で一度チームが消滅したあと、終戦後に再び製紙会社の社員たちが作ったチームが、今日のクレインズまでつながっています。


上野選手たちが訪問した企業の数は、およそ200社。「僅かな金額でも構わないから」と、体当たりで釧路にクレインズを存続させる意義を伝えてきました。

そんな上野選手たちの動きを、ファンも後押しします。クレインズ存続を願う署名は10万人にも及びました。この署名活動には、プロ野球の日本ハムやJリーグの北海道コンサドーレ札幌など、同じ北海道を拠点とするチームも協力。

そして、わずかな期間で180もの企業が支援に応じ、運営資金の確保に成功。特定の企業に頼らない「クラブチーム」として、クレインズは再出発を果たしたのです。

ヘルメットのステッカーに思いがこもる

親会社に頼らないクラブチームとなったクレインズ。その運営の助けとなり、同時に選手たちを奮起させるものがあります。

選手がプレー中につけるヘルメットに貼ってあるステッカー。書かれているのは、地元の商店や医院の名前、中には個人名もあります。1枚10万円で好きな選手に投資できる「個人スポンサー制度」。ファンにとってはチームだけでなく選手を応援する証であり、選手にとっては自分の人気のバロメーター。ヘルメットのステッカーの存在が大きなモチベーションになっています。これまで、この制度で800万円以上の出資がありました。

多くの困難を乗り越えて迎えた、今年の全日本選手権。キャプテンの上野選手は、チームのこれからにとって大きな意味があると考えています

上野選手

「こうやってまたクレインズとして大会に参戦していることは、奇跡かもしれないですね。全力で、見ている人を感動させるようなプレーをする事を、選手として約束したいと思います。」

ファンの声援を背に戦えクレインズ

そして開幕した全日本選手権。クレインズらアジアリーグ所属チームに加え、大学の上位チームなど8チームで争います。東京の会場には、熱い声援を送るクレインズのファンたちの姿がありました。廃部が決まった1年前、「この舞台で再び戦う日は来ないのではないか」と考えたといいます。生まれ変わったクレインズを今年も応援できる喜びを、かみしめていました。

クレインズのファン

「ずっと毎年見ていたので、クレインズはなくてはならない自分の人生の糧です」。

「またこうして彼らがリンクで戦えている。すごく感慨深いなと思います」。

クレインズは1回戦で関西大学を破り、準決勝で同じアジアリーグ所属のH.C.栃木日光アイスバックスと対戦。キャプテンの上野選手にとっては古巣との対戦です。
2点ビハインドから同点に追いつくものの、第3ピリオドに決勝点を奪われ3対4で敗れました。

大会最終日、3位決定戦の相手は全日本選手権37回優勝の強豪、王子イーグルス。この試合も第1ピリオドで先制を許します。ここでキャプテンの上野選手が、積極的なプレーでチームを鼓舞。

上野選手

「ファンの方々のためにも、最後までハードにプレーしなければならない」。


第2ピリオド終盤には立て続けにシュートを放ちますが、点を奪えません。格上の相手に向かって、最後までパックを追い続けましたが、0対3で敗れ、4位で大会を終えました。

廃部という「どん底」から這い上がり、生まれ変わってまだ1年。これからも釧路の町にアイスホッケーを残していくためのクレインズの戦いは、まだまだこれからです。

上野選手

「やっぱりファンと共に作ったチームなので、一緒になってこれからも戦っていきたいです。試合をまた見に来たいと思ってもらえるチームに、成長していきたいなと思います」。

                   
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