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2019年11月22日(金)

トランポリン・森ひかる 高難度の技「トリフィス」で世界に挑む

男子は8m、女子は5m。動物のキリンの背の高さを超える空中で、アクロバティックな演技を行い、その美しさや難しさ、高さを競う競技、トランポリン。そのトランポリンに日本女子チームを引っ張る若きエースが現れました。東京出身で金沢学院大学に通う森ひかる選手(1999年7月7日生まれ)です。子どもの頃から憧れてきたオリンピックに向けて着実に進化を遂げてきた森選手、2019年8月からは、世界のトップクラスの選手にしかできない大技「トリフィス」を2回行う演技に挑戦しています。東京五輪に照準を合わせて大技に挑み続ける森選手を追いました。

世界のトップレベルの技「トリフィス」

森ひかる選手の強みは、高さのあるジャンプと空中での美しい姿勢です。トランポリンの強い反発力を受けて跳ぶジャンプの高さや、空中で頭からつま先までが一直線になる美しい姿勢は、世界から高い評価を受けています。

トランポリンは、畳で言えば5~6畳の広さのトランポリンの上で10回連続ジャンプし、その間に体を回転させたり、ひねったりする競技です。技の難しさ「難度点=Dスコア」、演技の美しさを「演技点=Eスコア」、着地の正確さ「移動点=Hスコア」、跳躍による滞空時間「跳躍時間点=Tスコア」の4つの合計点で争います。森選手は、「演技点」と「跳躍時間点」では世界トップクラスの実力者ですが、「難度点」では差をつけられていました。

そこで2019年8月、森選手は技の難易度を上げようと新たな大技の挑戦を始めました。ひねりを加えた3回宙返り「トリフィス」です。異なる演技を行う10回のジャンプの中に2回「トリフィス」を取り入れることにしたのです。1回はひざを曲げない「屈伸型」、2回目はひざを曲げて胸の前で抱え込む「かかえ込み型」。大技をこなす世界のトップ選手と互角に戦おうというのです。2019年11月、世界選手権を前にした公開練習で披露された森選手の「トリフィス」の映像をご覧ください。

森ひかる選手

ずっと低い難度でやってきましたが、自分の100%の力を出しても世界レベルでは、メダルが取れなかったんです。難度を下げて練習で良いものをやって本番で出すっていうのも大事ですが、それでは世界には通用しないので、オリンピックに向けて3回宙返りを2本入れる演技構成に挑戦しようと思いました。私は、中学生の時3回宙返りを武器にしていたので、その時に戻ったっていうか、自分にとっては強みだと思うので、しっかり世界にもアピールできたらなと思います。

全日本選手権で痛感した「トリフィス」2回の難しさ

森ひかる選手

2019年11月3日に行われた全日本選手権。森選手は、2回の「トリフィス」を組み込んだ演技で挑みました。全日本の大舞台で披露するのは初めてでした。結果は、準決勝で敗退。
森選手は、1回目のジャンプで「屈伸型」、3回目で「かかえ込み型」の「トリフィス」を成功させました。しかし7回目の演技の後の着地に失敗、演技を途中でやめざるを得ませんでした。失敗の原因は1回目の「トリフィス」にありました。大技を決めようと高く跳びすぎたため、ジャンプや着地の感覚が少しずつずれ始め、ジャンプのタイミングが徐々に合わなくなっていったのです。

森ひかる選手

全日本選手権までは時間がなくて、自分の中では70%ぐらいの完成度でした。70%では一か八かの演技となってしまい、それがダメだったんです。本番でやはりミスが出てしまいました。たまたま失敗したのではありません。悪いところが本番で出てしまったんだと思います。

高さを抑えた「トリフィス」で演技全体の完成度を上げる

練習を公開した森ひかる選手(2019年11月7日)

森選手は11月28日~12月1日まで、世界選手権に出場することになりました。東京五輪の会場となる有明体操競技場で行われます。8人による決勝に進出し、日本選手の最上位になれば、東京五輪の代表に内定、森選手にとっては、東京五輪の出場をかけた戦いです。

世界選手権を前に練習を公開した森選手、演技をビデオカメラで撮影し、演技が終わるとその度に映像をチェック、ノートにメモを取っていました。森選手を指導する丸山章子コーチにジャンプの滞空時間を測定してもらい、その記録を取っていたのです。

森ひかる選手

タイムを記録する理由は、その日の調子を確かめるというのが一つですが、今はジャンプの高さを取り過ぎているので、高く跳び過ぎないように記録を取って調整しています。「トリフィス」を2回入れても、高い高さで安定して跳べればいいのですが、まだできていないので、丸山コーチから高さを下げた方が良いと言われています。世界選手権では、高さを少し抑えた、自分にとっては下の高さで、安定した演技をできればと思います。

有明体操競技場

東京五輪の代表内定がかかる世界選手権の大舞台、森選手は演技の安定性を高めるため、強みであるジャンプの高さをあえて抑えることにしたのです。ジャンプの高さを下げると、滞空時間が短くなり「跳躍時間点」が下がりますが、難度の高い「トリフィス」を2回とも成功させ、「トリフィス」を含めた10回の演技全体の完成度を上げることで、世界のトップに食い込む戦略です。

森ひかる選手

今までと同じように演技を作り上げた方が完成度が上がるなって思ったので、少し抑えて10本を決めに行く道を選びました。オリンピックに挑戦できるということをうれしく思って感謝して世界選手権までに100%の演技を作りあげます。本番では私が絶対にオリンピックの枠を取る、私が絶対メダルを取るという強い気持ちで世界選手権に臨みたいと思います。

森選手は、東京五輪の代表が内定したら、100%自分が思う演技ができるように再びジャンプの高さを上げたいと言います。東京オリンピックまで5年計画で森選手を指導している丸山コーチは「演技の構成やジャンプの高さは計画に沿って練習している。現在のところ、計画通りにきている」と話しています。大技「トリフィス」で世界のトップに挑む森選手、五輪のメダルをかけた挑戦が続きます。

金沢放送局 放送部・結川弥生(ゆいかわ・やよい)

担当は主に主婦目線を生かした生活情報。スポーツが好きで、トランポリンのほか卓球、高校野球、大相撲など、なんでも取材します。子育てを終えたスーパー主婦です。

                   
※NHKサイトを離れます

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