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2019年11月18日(月)

羽生結弦の進化に注目!NHK杯フィギュアを本田武史さんが解説

11月22日から始まるNHK杯フィギュアスケート。なんといっても注目は日本が誇る絶対王者・羽生結弦選手の活躍! 10月に行われたグランプリシリーズ初戦のカナダ大会では圧倒的な力を見せつけ優勝をはたしました。1か月後となるNHK杯ではどのような演技を見せてくれるでしょうか? また、今回のNHK杯では若手選手の活躍からも目が離せません! 羽生選手を始めとするNHK杯出場予定の注目選手と、大会の見どころについて本田武史さんに解説してもらいました。

カナダ大会の結果から見る羽生結弦

グランプリシリーズ初戦のカナダ大会では圧巻の演技で優勝し、王者の風格をみせつけた羽生結弦選手。現地カナダで試合を見ていたという本田さん、羽生選手の演技は「全体的な完成度が非常に高かった」と話します。

10月のカナダ大会では2位と60点近い大差をつけて優勝した羽生選手

本田武史さん(以下、本田)「羽生選手は昨シーズンと同じプログラムで滑っていたのですが、さらに今シーズンからは、新たに4回転トーループ、シングルオイラー、トリプルフリップの3連続を取り入れた構成となっています。そのひとつひとつの要素の完成度が本当に高かったですね。ショートもフリーもノーミスで行くという目標があったと思うので、そういった意識がプログラムの細かい部分にも反映されていました。現地で見ていても、練習の時から調子がいいのが分かりました。4回転ループだけは念入りにチェックしていましたが、4回転サルコウと4回転トーループに関してはもう余裕がありましたね」

カナダ大会にて会見に臨む羽生選手

今大会で羽生選手はフリー・総合得点ともに今季最高得点を獲得、この点数は男子の今季最高得点でもあります。それでも、試合後のインタビューでは「このプログラムに関しても完成度はまだ20から30%くらい」と答えた羽生選手。

本田「細かいところのジャンプの流れやひとつひとつの動き、音を拾っていくということに対して、彼の中ではまだ課題があるのでしょう。NHK杯でもカナダ大会と同じ構成で挑むと思われますが、4回転ルッツや4回転アクセルは入れずに、その分課題となっていた細かい部分を修正して、より精度の高い仕上がりを目指してくるはず。それでカナダ大会のような演技ができたら、世界最高得点を越えられるだけの内容になってくるのではないでしょうか」

カナダ大会、フリーの演技を終えリンクを触る羽生選手

カナダ大会ですでにノーミスだったにもかかわらず、さらなる高みを目指す羽生選手。もちろんNHK杯でも優勝候補の筆頭にあげられています。

本田「羽生選手の演技は、特に後半にかけてのジャンプでのたたみかけが圧巻。他にも4回転を飛んで高得点を出す選手はいるのですが、プログラムの全体的な空気感やリンクに立った時のオーラは、やっぱりずば抜けています」

羽生選手のもつ圧倒的な王者感。それは、トレーニングだけで獲得できるものでもなければ、他人に教えてもらうことで得られるものでもない、と本田さんは話します。

本田「彼が『SEIMEI』で世界最高得点を出した時に僕も解説席にいたのですが、あの時の興奮や圧倒的な支配感というのは、本当に震えるものがありました。それは、これまでの彼の経験であったり、オリンピック2連覇で生まれてくる感情的なものだったり、そこから放たれるものかもしれませんね」

唯一無二の存在感で力の差を見せつける羽生選手。NHK杯ではどのような演技を見せてくれるのか、今から楽しみですね!

羽生選手だけじゃない!注目の日本選手

今回のNHK杯は10代の選手が多く出場するのも見どころ。次世代を担う若手選手の強みや持ち味とは? まずは注目の日本選手たちから見ていきましょう。

高い演技力が強み! 島田高志郎

本田「島田高志郎選手は高い演技力でジュニア時代から注目を集めていた選手です。特に見どころとなるのが、長い手足を使った体の動かし方や手の使い方。その表現力は非常に成長しているのがみられます。島田選手はスイスのステファン・ランビエールコーチのもとで練習しているのですが、彼から習った部分がすごく生かされているのではないでしょうか。課題としては、4回転とトリプルアクセルをどう成功させるかという点ですね。ジャンプの成功が彼の演技力をさらに引き上げてくれると思います。島田選手はいま18歳で今年がシニアデビューの年。今後、シニアの中でどう戦っていくのか…NHK杯を含め、今年一年でいろいろ学んでいけるといいですね」

スケーティングの質の高さが持ち味! 山本草太

本田「山本草太選手も19歳の若手選手です。山本選手の強みはなんといっても、無駄な力を使わずにトップスピードにもっていけるスケーティング技術の高さ。途切れることなく次の動きに入っていく滑らかさがあるので、全体的に一筆書きでプログラムが終わるような柔らかな印象です。このスケーティングの質の高さは、演技構成点のスケーティングスキルにおいてもポイントを得られる要素なんです。さらに、今シーズンからは2種類の4回転をプログラムに入れて戦っているので、全部決まってくると高得点が期待できます。表現力に関してもまだまだこれから伸びていくと思うので、今回のNHK杯では羽生選手のオーラや雰囲気を感じ取って欲しいですね」

海外からも魅力的なライバルたちが出場

次は島田選手や山本選手のライバルともいえる、注目の海外選手たちをご紹介します。

芸術性の高さは世界トップレベル! ジェイソン・ブラウン

ぜひチェックしておきたい海外の選手のひとりが、NHK杯には3度目の出場となるアメリカのジェイソン・ブラウン選手。プログラムの芸術性の高さから世界的にも高い評価を得ています。

本田「フィギュアのプログラムでは、ジャンプやスピンといったスケーティングの演技のひとつひとつが細切れになっていないことが大切なのですが、ジェイソン・ブラウン選手はそのつなぎであったり、順番や構成がスケーティングの中でひとつになっています。その音楽と一体化するような芸術性の高さから、まだ4回転ジャンプを飛んでいないにも関わらず高得点を出してきました。これで4回転ジャンプが入ったらさらに高い点数を狙えるかと思いますが、まずは彼のプログラムの密度の高さを見てほしいですね」

アクロバティックで独創的! ケビン・エイモズ

身体能力の高さで注目を集めているのがフランスのケビン・エイモズ選手。今年のグランプリシリーズ・フランス大会では3位に入っています。

本田「ケビン・エイモズ選手は、際立った身体能力の高さが持ち味です。彼のプログラムは全体的にアクロバティックで、ちょっと体操っぽい要素も入っています。プログラムの中で見せる側転や、体をひねった滑り、エッジではなく靴で滑走するところなど、独特な表現は観戦する側も見ていて楽しめるのではないでしょうか」

高いスキルと逆回転のジャンプ! 樋渡知樹

島田選手や山本選手と同年代となるアメリカ出身の樋渡知樹(ひわたし・ともき)選手。今年の世界ジュニアでチャンピオンとなった若手の中でも注目の選手です。

本田「樋渡選手は今回NHK杯に出場する選手の中で唯一、逆回転(時計回り)のジャンプを飛ぶ選手です。さらにスピンやステップも高いレベルで決めてくるので、非常にスキルの高い選手と言えるでしょう。今年シニアデビューで、今シーズンから4回転も成功しているので、今伸び盛りなんじゃないでしょうか。今後のさらなる活躍に期待ができますね」

NHK杯、どんな戦いになる?

例年と比べても、若手選手が多く出場している今回のNHK杯。「羽生選手を始めトップ選手と同じリンクに立つことで、若手の選手にとっては次につながる経験となる」と本田さんは言います。

本田「NHK杯のような試合の経験から若手が吸収できることってものすごく多いんです。同じリンクで滑ることはもちろん、トップレベルの選手の試合を目で見ることで次のステップに進む手掛かりとなる。今年シニアデビューの選手もたくさんいますから、ここから北京オリンピックに向けて新しい流れが出てくるといいですね」

もちろん、NHK杯の見どころは若手の選手だけではありません。

本田「やはり、優勝候補の羽生結弦選手がどれだけの結果を残すかというのが、最も注目を集めているところでしょう。そこに10代の選手がどう食らいついていくのか、さらに、ロシアのセルゲイ・ボロノフ選手やイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手といったベテラン勢がどのような演技を見せてくれるのか…。見どころは盛りだくさんです」

ロシアのセルゲイ・ボロノフ選手(左)とイスラエルのアレクセイ・ビチェンコ選手(右)

羽生選手の活躍はもちろん、若手選手の成長やベテラン勢の演技も楽しみなNHK杯。優勝候補である羽生選手の他は、実力が拮抗していて誰が表彰台に立つのかは予測が難しいとのこと。当日観戦を楽しむためにも、気になる選手がいたらみなさんもチェックしてみてくださいね!

本田武史(ほんだ・たけし)

1981年3月23日生まれ。
史上最年少の14歳で全日本選手権初優勝を飾るとともに、長野オリンピックへも史上最年少の16歳で出場を果たす。2002年ソルトレークシティーオリンピックで4位入賞。2002年、2003年の世界選手権では2年連続となる銅メダルを獲得。日本人として初めて競技会で4回転ジャンプを成功させたスケーターでもあり、2003年の四大陸選手権では、フリースケーティングで2種類の4回転ジャンプを3回成功という偉業を成し遂げた。

                   
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