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2019年10月18日(金)

海の泳ぎ方ってこんなに違う!?オープンウオータースイミング

海や川、湖などで長距離を泳ぐオープンウオータースイミング(Open water swimming =OWS)。東京五輪で行われるのは、「マラソンスイミング」とも呼ばれる10kmのレースです。馴染みが薄い方も多いと思いますが、実はオープンウオータースイミングの見どころの一つは、海ならではのユニークな泳ぎ方。知っているとレースを見るのが何倍も楽しくなります。日本水泳連盟・オープンウオータースイミング委員の原怜来さんに教えていただきました。

2時間におよぶ過酷なレース

2019年に行われたテストイベント

東京オリンピックの会場は、レインボーブリッジを間近に臨むお台場海浜公園、台場公園と旧防波堤に囲まれたエリアです。四隅をブイで囲った四角形のコースを25人の選手がおよそ2時間近くかけて泳ぎ切ります。

オリンピック会場の予想図

海で行われるため、選手は、波や風、暑さに対応する必要があります。また、プールと違ってコースにロープがないため、故意でなくても選手同士の手や足がぶつかってしまい、自分の泳ぎを邪魔されることもしばしばです。足のつかない海上で、自然環境とライバル選手の両方と2時間近く戦いを続けるのがオープンウオータースイミングなのです。
お台場の海は、波がほとんど立たないため泳ぎやすい会場と言われます。その一方で、高水温などがハードルになり、過酷なレースになる可能性もあると言われています。

日本水泳連盟 オープンウオータースイミング委員 原怜来さん

原怜来さん

2019年8月11日にお台場で行われたテストイベントでは、午前5時の時点で水温が29.9度でした。オープンウオータースイミングの競技実施は、水温16度以上31度以下と定められていますので、競技は予定通り行われたのですが、選手からは「暑かった」という声が数多く上がりました。水温が高いと体内の温度が上がり、パフォーマンスが低下します。皆同じ条件ですので、そこで各国がどのような対策を取り、どのように戦うかがキーとなります。

見る前に知りたい、海ならではのユニークな泳法①フォーム

世界水泳2019 クワンジュ大会 オープンウオーター 男子 10km

猛暑のお台場で繰り広げられる東京五輪のオープンウオータースイミング、そのユニークな泳ぎ方を見ていきましょう。
まずは、泳ぎのフォームです。オープンウオータースイミングの選手は、基本的にクロールで泳ぎますが、驚くのは腕を回す速さ。2時間近くも泳ぎ続けるのに、その速さはプールで行われる1500mの選手と同じくらいです。

クロールには、空中で腕をまっすぐに伸ばす「ストレートアーム」と、肘を曲げる「ハイエルボー」の2種類の泳ぎ方があります。オープンウオータースイミングでは、「ハイエルボー」で泳ぐ方が有利と言われています。

原怜来さん

オープンウオータースイミングは、競泳のようにコースが分かれていないので、腕を伸ばした「ストレートアーム」で泳ぐと、隣の選手にぶつかる可能性が高まります。体の接触は体力のロスにつながるので、避けたいんです。また、腕を伸ばして泳ぐと審判から隣の選手を「妨害した」と見なされ、イエローカードを出されてしまうこともあります。したがってオープンウオータースイミングでは「ハイエルボー」で泳ぐことが多いですね。

原怜来さん

また、オープンウオータースイミングでは、両サイドを泳いでいる選手を見ながら泳ぐため「両側呼吸」ができた方がいいですし、進行方向を確認するために上体を起こして前を見る「ヘッドアップクロール」という泳ぎ方も必要です。さらに、一流の選手になると、息継ぎの際に自分の後方を見る泳ぎ方もします。後方のブイの先にある、ビルや山などを目印にして、自分の進行方向や後続の選手との距離などを確認するんです。

見る前に知りたい、海ならではのユニークな泳法②テクニック

2つ目は、泳ぎのテクニックです。オープンウオータースイミングの選手は、体力のロスを抑えるため、自分の前を泳ぐ選手の後ろにぴたりと付いて泳ぐ「ドラフティング」という泳ぎ方をします。流れるプールを想像してみてください。水流に乗って泳ぐのはラクですよね。ドラフティングは、前の選手が作り出した水流に乗ることで体力を温存するスイムテクニックなのです。

原怜来さん

水流ができるのは、前の選手の斜め後ろか真後ろ、50cm~1mくらいの位置です。ドラフティングがうまい選手は、このポジションにぴったり張り付いてブレません。逆に下手な選手は、左右に蛇行します。前の選手の泳ぎのリズムと自分の泳ぎのリズムを合わせる難度の高いテクニックなので、とりあえず前の選手の後ろに付こうというような安易な感覚ではできない泳ぎ方です。

世界水泳選手権2019年7月 韓国・クワンジュ

最後も泳ぎのテクニックです。東京五輪では、ブイで囲われた四角形のコースを6周する予定です。ほかの競技の「コーナー」に相当するブイは、勝負を仕掛けるポイントにもなります。いかに早くブイにたどり着き、ブイを抜けた直後にどうスパートをかけるか、選手同士の激しい攻防は、オープンウオータースイミングの大きな見どころです。

原怜来さん

選手同士の攻防は、ブイの手前から始まります。外側の選手は、内側の選手をより内側に追い込んで泳ぎづらい状況にしようとします。一方、内側の選手は、それを避けるため、外側の選手よりも早くブイにたどり着こうとします。そしてブイを曲がる時は、鋭角に曲がったり、他の選手との接触を避けるために隙間を縫うような泳ぎ方をしたりと、その場の状況に合わせた泳法で、かつスピードを落とさずに泳ぐ必要があります。ブイ周りではどの選手も全力、「ハードイン・ハードアウト」で激しく泳ぐので、自然にペースもアップし、順位も入れ替わりやすいですね。

東京五輪のオープンウオータースイミング、女子は8月5日(水)、男子は8月6日(木)、いずれも午前7時のスタート予定です。日本人選手は男女それぞれ1名ずつ出場の見込みです。予選なしの一発勝負、プールで行われる競泳では見られない、海ならではのユニークな泳ぎをどうぞお見逃しなく。

                   
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