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2019年10月3日(木)

男女のエースがペアに!アーチェリー「男女混合団体」の見どころ

卓球やバドミントンの混合ダブルス、陸上や競泳の混合リレーなど、東京五輪では男女混合の新種目が目白押しです。そして、アーチェリーにも男女1名ずつのペアで行われる男女混合団体が加わります。一体どういう競技なのでしょう。見どころはどんなところにあるのでしょうか。2018年のアジア大会で“アーチェリー王国”の韓国をおさえてこの種目で金メダルを獲得した日本の古川高晴選手(1984年生まれ)と杉本智美選手(1994年生まれ)が男女混合団体の見どころを語ってくれました。

予選の結果次第で、ペアが変わる

古川高晴選手(2018年アジア大会)

卓球やバドミントンのペアはあらかじめ決まっていますが、アーチェリー男女混合団体のペアは予選が終わるまで決まりません。東京五輪のアーチェリー競技に出場するのは、男女それぞれ64人(開催国の日本はそれぞれ3人)。予選は全員が1人72射を放ち、合計点の多い方から順位が決まります。その予選の結果、同じ国で最上位の成績を収めた男女それぞれ1人が、自動的にペアを組むことになるのです。

杉本智美選手(2019年ワールドカップコロンビア大会)

ということで、予選が終わらないとペアは決まらないわけですが、東京五輪でペアを組む確率が高いとみられているのが、2018年のアジア大会の混合でペアを組み、金メダルに輝いた古川選手と杉本選手です。古川選手は、2004年のアテネ五輪から連続4回オリンピックに出場し、ロンドン五輪では銀メダルに輝いた日本男子のエース。杉本智美選手は、2019年のワールドカップコロンビア大会で銅メダル、上海大会で銀メダルを獲得するなどメキメキと頭角を現している日本女子の若きエースです。この二人が組めば、アジア大会のような金メダルの獲得シーンが、東京で見られるかも知れません。

勝負のカギは、女子が握っている

金メダルを獲得した古川・杉本ペア(2018年アジア大会)

オリンピックのアーチェリーは、屋外の会場で70m離れた場所から直径122㎝の的に向かって矢を放ち、どれだけ中心に近い位置を射ぬけたのかを競う競技です。男女とも同じ条件で行われるため、男女混合団体の勝負のカギを握っているのは女子の選手だと言われています。一体なぜでしょうか。

アーチェリーの弓の重さはおよそ2㎏。それを片手で持ち、もう一方の腕で弦を引くわけですが、その力は、男子のトップ選手の場合50ポンド(約22.5kg)前後、女子選手は40ポンド(約18kg)前後で、およそ10ポンド(4.5kg)ほどの違いがあります。強い力で引けば矢の速度が上がるため、一直線に飛んで風などの影響を受けにくくなります。一方、弱い力で引くと矢のスピードが遅くなるため、放物線のような軌道で飛んでいき、風などの影響を受けやすくなります。男子に比べて弱い力で引く女子選手の方が風などの影響を受けやすく、得点に差が出やすいため、女子が勝負を分けると言われているのです。

2016年リオ五輪の予選ラウンドの男女の優勝得点をみると、満点の720点に対して、男子は700点、女子は669点で、31点の差があります。出場選手64人の平均得点も、男子の645点に対して女子は624点で、21点の差があります。

古川高晴選手

古川高晴選手

男女混合団体は、女子選手の勝負だと思って自分の気持ちをリラックスさせています。男子が的の中心を射ぬく10点か9点の勝負になるのに対し、女子は10点もあるけど、8点、7点に点を落とすこともあって、どうしても女子は得点差がつきます。反対に言えば女子選手の得点によっては、挽回も可能になります。ですから、男女混合団体では、男子よりも女子選手の方が強いプレッシャーを感じるかも知れません。

杉本智美選手

杉本智美選手

古川さんから男女混合団体は、女子選手が重要だと良く言われているので、個人戦以上に緊張します。古川さんと組むときは私が先に打たせてもらうんですが、対戦相手のことよりまず自分の射に集中するようにしています。もちろん対戦相手が外せば楽になりますが、気にしていると自分の射ができなくなりますからね。でも、相手ペアの女子の矢がどれくらい流れているかは気にしています。

作戦タイムは、矢を的から外しながら

男女混合団体に出場できるのは、予選の上位16の国と地域です。チーム対抗のマッチ戦でトーナメントを行います。片方のチームが2射(男女それぞれ1射ずつ)した後、交替して対戦相手のチームが同じように2射、これを繰り返して各チーム4射を終えると1セット終了です。このセットを最大4セット行います。

矢を取りに行く古川・杉本ペア(2019年READY STEADY TOKYO)

予選と大きく違うのは、待ち時間の長さです。1射を終えて次に順番が来るのは、3人の選手が矢を放ち終えた後になるため、その間に風の向きや強さが変わってしまう可能性があるのです。古川選手と杉本選手のペアにとっては、1セットを終えて的に矢を取りに行くときが、大切な作戦タイムの時間、自分たちの矢を抜きながら風の状況などを話し合うそうです。

杉本智美選手

団体戦の場合は、チームのコミュニケーションがとても重要になってきます。風の吹き方、強さなどを話し合って情報交換するのですが、アジア大会では経験豊富な古川さんが風の状態や影響を的確に助言してくれたので、金メダルという結果つながりました。打つ前に矢がどれくらい風で流れるのかを予測できてすごく助かりました。

古川・杉本ペア(2018年アジア大会)

杉本智美選手

古川さんは、私が話した情報を整理して、自分の役に立つものにしてしまう調整力がすごいんです。男子と女子では、弓を引く重さの設定が違うので、私の感覚で風の情報を伝えても、そのままでは古川さんの役には立ちません。でも古川さんは、私の情報を自分用にさっと変換して、すぐに自分の射にいかしてしまうんです。私もぜひ学びたいと思っています。

互いのアドバイスをどういかすか、風や自然環境の変化の情報をどう共有するか、プレッシャーとの戦いをチームの力でどう乗り越えるか、これらはすべて団体戦の見どころですが、矢の速度や軌道が男女で異なる男女混合団体では、さらに、互いが持ち寄る情報を自分の射のスタイルに変換する力も必要となります。新種目の男女混合団体、アーチェリー競技に新たな楽しみ方が加わりました。

                   
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