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2019年9月30日(月)

五輪新種目の「3x3」って?読み方から魅力まで佐々木クリスが解説

2020年東京オリンピックからバスケットボール競技に正式採用された新種目「3x3」。まるで算数のような名前です。「そもそもなんて読むの?」「5人制のバスケットボールとの違いは?」「見どころは?」そんな疑問をバスケットボールアナリストの佐々木クリスさんにぶつけてみました。

3x3、読み方は???

3x3の読み方についてクリスさんは、「木材の2x4や4WD車の4x4と同じように、『x』部分を『バイ』と読み、『スリー・バイ・スリー』と国内では言われていました」と説明します。しかし海外では、「昨年あたりから『スリー・エックス・スリー』と呼ぶ人もいます」とその呼び方が統一されていなかったことも、誕生まもない新しい種目であることを物語っています。

この問題に対し、JBA(日本バスケットボール協会)がFIBA(国際バスケットボール連盟)に確認し、9月18日に決着。東京オリンピックより新種目として採用される3人制バスケットボールの名は、「3x3(スリー・エックス・スリー)」に確定しました。

バスケの魅力が凝縮された3x3

まずは、5人制のバスケットボールと比較したルールの違いから見ていきましょう。

「通常のバスケ(以下5人制)は1回の攻撃で24秒以内にシュートを打たなければなりません。しかし、ハーフコートの3x3では12秒に半減します。12秒以内に必ずシュートが放たれるのであっという間に攻守が切り替わり、どんどん点数が入っていきます。攻めと守りの切り替えの速さがバスケの魅力と言えますが、よりスピード感を高めることでバスケの魅力を凝縮したルールになっているので、とてもエキサイティングです。また、選手たちは短い時間の中で瞬時に判断し、プレーしていかなければならない。駆け引きもすごくおもしろいスポーツです」

コート内の人数が少なく、止まることなく常に攻守が切り替わるので、「5人制よりも疲れます」という感想は、多くの選手たちからも聞かれるそうです。元プロバスケ選手のクリスさんも、「僕も体験したことがありますが、これほどノドがカラカラになった経験はこれまでのバスケ人生ではないというほど、プレーが止まりません」と、そのハードさを語ります。

「3x3は10分間という試合時間のほかに、先に21点を獲ったチームがノックアウト勝利できるのもおもしろいルールです」

5人制のトップレベルになれば1日1試合しか行われませんが、3x3は2〜3試合と続きます。「ハードなスポーツだからこそ、10分間戦い続けることなくノックアウト勝利をすることができれば体力面で有利になります」とクリスさんが言うのも納得です。

求められる選手も5人制とは違う!?

5人制ではチーム単位で順位を争いますが、3x3は個人ランキングもある点が大きな違いです。すでに開催国枠としてオリンピックへの出場を決めている日本の選手たちにとって、個人に付与されるポイントが重要になるとクリスさんは説明します。

「オリンピックの代表選手になるには、まず来年6月末の段階で国内トップ50に入っているとともに、それまでの1年間で男子は54,000ポイント、女子は36,000ポイント以上であることが絶対条件となります。さらに、1チーム4人で構成される日本代表のうち、2人は国内個人ランキングのトップ10から選ばれます。日本代表を狙うのであれば、ポイントを稼ぎ、ランキングを上げるためにも国内外の大会にどんどん出なければなりません」

3x3向きの選手について、「5人制はディフェンダーやシューターなど、何かに特化した専門職でも生きることができます。しかし3x3では、よりオールラウンドに活躍できる選手が求められます」というのがクリスさんの見解です。

「3x3では、5人制でいう3ポイントシュートが2点となり、そのラインの内側は1点なので倍の価値があります。リングから遠ざかるほど身長のハンディがなくなっていくので、世界の中では小さい日本人選手でも十分活躍できるということになります。それも3x3の魅力です。しかしその一方で、5人制以上にオールラウンドになんでもできる選手が3x3では求められています。世界の強豪国は2m台の選手を3人揃えてきます。いわゆるガードが180cm、センターが210cm、その間にフォワードがいるようなチーム編成ではなく、いずれも高身長ながら誰もがどこからでもシュートを打ち、ドリブルやパスもできて起動力ある選手をそろえるのが一番有効です」

現在、国内ランキングトップの落合知也選手も、「日本の中では長身の195cmあるオールラウンダーであり、長らく日本の3x3をけん引する選手です。落合選手以上に完成された選手が出てくることが、日本の競技力を高めていくためにも大事になります」とクリスさんは期待を込めていました。

日々順位が入れ替わる個人ランキング。9月17日現在、日本男子のトップを走るのが落合知也選手

日本は世界についていけるか!?

世界における日本の現在地はランキングを見れば一目瞭然です。2019年9月現在で男子は9位、女子は8位といずれもトップ10内にランクインしています。5人制の男子の世界ランキングが38位(女子は10位)である現状を考えれば、3x3への期待が感じられます。男女モンゴルや女子のルーマニアのように5人制の世界ランクでは下位にいたり、そもそも名を連ねていない国が台頭している現実を踏まえ、「これからどれだけ本腰を入れて参加する国が増えるかによって、3x3の勢力図も大きく変わってくると思います」とクリスさんは考えています。

1年前、男子日本代表は世界4位でした。

FIBA(国際バスケットボール連盟)は、昨年11月からの1年間で世界ランキング上位4か国にオリンピックへの出場権を与えることを明言しています。クリスさんが懸念するように、アメリカをはじめとしたバスケ大国が本腰を入れてきたことで、日本の順位は下降していきました。

「ただし、日本にとって良かったのは、3x3が誕生する以前から、同じく3人制の3on3のリーグがあり、日本各地で狭いスペースでも魅力的にバスケを見せていく土壌があったこと。このような文化的背景があったことが、日本にとっては追い風になっています。3x3として国際基準が整備され、より自分を表現できる舞台が増えたことをチャンスに捉える選手が、オリンピック種目として決まる前から多くおり、その点で日本は先行できています。すでに出場は決まっている日本ですが、オリンピックに出られるのは8チームしかなく、ランキングだけで見れば当落線上にいると言えます。ここから浮上できるかどうかを見ていかなければいけないですし、急に割り込んでくる国や5人制のランキングとは違う国の台頭など、本当に今は混沌としています」

国別ランキングで男子1位のセルビア。ワールドカップを2016年から3連覇した

現在進行形で歴史が動いている3×3は今こそ注目です。

「オリンピック種目に採用されたことで身近になると思いますし、目にする機会も格段に増えると思います。実際、日本でも3x3の大会が行われており、その会場はアクセスしやすい商業施設などで開催されています。僕の中では、良い意味で草の根でバスケを普及させるためにも大事な役割を担っていると感じています」

さらにクリスさんは、「育成年代の若い選手たちが3x3を通じていろんなプレーをできるようになれば、5人制の強化にも必ずつながっていきます。ここは良い循環が生まれると期待しています」と話しており、3x3だけにとどまらない大きな可能性を秘めています。

佐々木クリス

バスケットボールアナリスト。2017-18シーズンよりB.LEAGUE公認アナリスト。1980年、アメリカ・ニューヨーク生まれ、東京育ち。14歳のときに観たNBAに魅了され、自身もバスケットボール選手として活躍。大学時代にはインカレ優勝を経験し、千葉ジェッツの一員としてbjリーグでもプレー。2017年からNHK BS1の番組『熱血解剖!Bリーグ』に出演し、プレー解説を手がける。3年目の今年、番組は『熱血バスケ」(9月30日放送開始)にリニューアル。Bリーグをはじめ、日本代表など幅広くバスケットボールの魅力を伝えていく。

                   
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