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2019年9月26日(木)

水球・日本代表の守護神 超攻撃的ゴールキーパー棚村克行

東京五輪で初のメダル獲得を目指す男子ポセイドンジャパンの正ゴールキーパー、棚村克行選手(1989年沖縄県生まれ)。2012年のロンドン五輪後、23歳の若さで正ゴールキーパーに抜擢され、その座を守ってきました。棚村選手は日本独自のディフェンスシステムの要として日本代表の勝利に貢献しているキーマンです。ポセイドンジャパンに欠かせない棚村選手の真価を徹底解剖します。

世界トップレベルを誇る1対1の「セーブ力」

深さ2m以上のプールに設けられたフィールドで、7人のチーム同士がゴールを奪い合う競技、それが水球です。縦30m、横20mの狭いフィールドで14人の選手が体を張った攻防を繰り広げるため、ゴールキーパーがボールを扱う回数も多く、キーパーが試合の行方に大きな影響を及ぼすスポーツです。

棚村選手は、身長184cm。世界の強豪国のゴールキーパーと比べると小柄です。しかし、ペナルティースローや1対1となったときの勝負など、ゴール付近からのシュートのセーブ率は、世界トップクラス。日本代表の大本洋嗣監督も太鼓判を押す “ポセイドンジャパンの守護神”です。

水球日本代表(ポセイドンジャパン)大本洋嗣監督

大本洋嗣監督

ゴールキーパーとしての守備能力は天下一品です。1対1に強く、シュートを止める技術も高いです。前に飛び出してボールを奪う動きにたけているので、守備の時は、7対6の数的に有利な状態が作れるんです。気持ちが強いというのも大きいですね。

「攻撃的なディフェンス」を支える鉄壁の守護神

2016年のリオ五輪以降、急速に世界で頭角を現している日本代表、原動力となっているのは、大本洋嗣監督が打ち出した「攻撃的なディフェンス」です。水球の一般的な守備は、体を張って攻撃側の選手の進路を妨害するマンツーマンが基本ですが、日本代表は泳力とスピードを生かして攻撃側のパスをカットする位置にポジションを取ります。パスのコースをふさいでボールを奪い、すぐに攻撃に転じる戦法です。しかし、この戦法は、パスが通ってしまうとゴールキーパーと1対1の勝負に持ち込まれる危険のあるリスクの高い戦法でもあります。そんなピンチの局面できっちりと仕事をするのが、1対1に強い鉄壁の守護神、棚村選手なのです。

棚村克行選手

相手選手との1対1、近距離からのシュートへの守備は、世界のどの選手よりも得意だと自負しています。他国のGKから見れば体のサイズは小さい方になりますが、一瞬でシュートコースを見極める判断力と、瞬時にシュートに反応する瞬発力を高めるトレーニングをしてきました。泳ぎながら水を蹴るように跳ぶ水球では、筋肉のばねを使って跳ぶ技術を身に着けるのに、かなりの時間がかかりました。

“超攻撃型戦法”の起点となる司令塔

「攻撃的なディフェンス」でボールを手にしたら、即座に攻撃に転じるポセイドンジャパン。棚村選手は、この「スピーディーな攻撃」のキーマンでもあります。攻撃の起点となって前の選手にロングパスを送り、動きを指示するコーチングも行います。フィールド全体を見渡せるゴールキーパーの位置から細かく指示を出す棚村選手、その声がフィールドに響き渡ります。

棚村克行選手

以前は、攻撃時に声を出す必要はほとんどありませんでした。チームとしての攻撃のパターンがいくつかあって、その選択肢を選びながらパスを回していたからです。しかし、ポセイドンジャパンは、「攻撃的なディフェンス」から「スピーディーな攻撃」に即座に転じて、臨機応変に点を取りに行く“超攻撃型戦法”に変わりました。守備から攻撃に切り換わった時に、前の選手が素早く動けるよう、相手選手のポジションや空いているスペースを伝える役割を担うようになったんです。

フィールドが狭い水球では、一本のパスでゴール前に迫ることができます。棚村選手のパスがゴールに近い選手に通ってアシストになるケースも少なくありません。日本代表は、守備の間も次の攻撃の陣形を予想して泳ぎ、棚村選手がボールを持つと、素早く攻撃の体制に入ります。
チーム最年長で、長年、棚村選手と一緒に戦ってきた志水祐介選手は、ゴールキーパーを起点にした「スピーディーな攻撃」がポセイドンジャパンの勝ちパターンになってきていると手ごたえを感じています。

志水選手

志水祐介選手

“超攻撃型戦法”を実現するには、泳ぎのスピード以上に瞬間的な判断力が必要です。競泳と違って、よーいドンではないですからね。ゴールキーパーと意思の疎通ができていてパスが来る位置があらかじめわかっているからこそ、我々は相手のディフェンスより一足先に動き出すことができるんです。

棚村克行選手

味方と相手ディフェンスとの位置関係を見て、空いたスペースにボールを投げ入れるには、瞬間的な判断力と感性が重要です。一方、パスを受ける側も相手ディフェンスと味方の動きを見て瞬時に判断して動く感覚を共有している必要があります。このような瞬間的な対応は、練習のための練習では習得できません。本番を想定した実戦形式の練習を日ごろから繰り返し行って、選手同士の連携を高めていくしかないと思っています。

大本監督が掲げる“超攻撃型戦法”が真価を発揮するには、選手一人ひとりのフィジカルな能力以上に、強固なチームワークが欠かせません。初のメダルを目指すポセイドンジャパン、その命運は司令塔を務める棚村克行選手の双肩にかかっていると言っても過言ではありません。

                   
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