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2019年9月20日(金)

堀江翔太 父として ラガーマンとして

ラグビーワールドカップいよいよ開幕!

日本代表のフォワードの要、33歳の堀江翔太選手は今回のワールドカップを代表としての集大成とする覚悟で戦いに臨みます。厳しいリハビリを支えた家族、そしてチームメイトたちと堀江選手の1年間に密着しました。

W杯へ 命をかけて

6月の宮崎。
ラグビー日本代表は6週間に及ぶ長期合宿を行っていました。

特に力を入れるスクラム練習で仲間たちに声をかける、ひときわ目立つドレッドヘアー。
スクラムの最前線中央、フッカーを務める堀江翔太選手です。

堀江選手は日本でのワールドカップを、ラグビー人生の集大成にしようと考えていました。

堀江翔太選手

「このワールドカップが終われば、代表は多分終わりだと思ってるんで。大げさになるかもしれないけど、命懸けでやる大会だと思います。」

唯一無二のプレースタイル

フッカーはスクラムの頭脳といえる存在。相手に押し勝つために8人のフォワードの力を束ね、有利な体勢でスクラムを組むためにわずかな立ち位置を相手と駆け引き。確実にボールを確保し、味方の攻撃につなげます。

さらに堀江選手の持ち味は、従来のフッカー像を覆すトリッキーなパスさばき。相手選手を引き付けてからのパスで、何度もトライを生んできました。

10年以上の代表キャリアで築き上げてきた唯一無二のプレースタイル。長年の戦友、日本代表キャプテンのリーチ マイケル選手も絶大な信頼を寄せています。

リーチ選手

「自分は(堀江選手を)世界一のフッカーだと思っていますから。昔から、彼はオールブラックス(ニュージーランド代表)にもなれるぐらいの人間だと思っています。」

「過去最も厳しい」と言われた今年の宮崎合宿。連日朝から夜まで激しい練習が続いていました。

ある日の夕食後。グラウンドにフォワードの選手たちが出てきました。午後7時半からのスクラム練習です。すっかり日も暮れ、雨に打たれながら選手たちはスクラムを組み続けます。

世界の強豪国と比べると体格で劣る日本にとって、スクラムは長年の課題となっています。日本代表が行き着いた答えは、8人の力を漏らさない「結束力の高いスクラム」

試行錯誤を繰り返しながら、18本のスクラムを組み続けました。堀江選手はフォワードの要として、選手たちに声をかけ続けます。しかし1年前には、ワールドカップの出場が危ぶまれるほどの大ケガに苦しんでいました。

リハビリ生活と家族の絆

去年9月。

堀江選手は右足の違和感で検査を受けました。そして、足首内部の骨に疲労骨折が見つかります。日本代表として長年世界の舞台で戦ってきた結果、スクラムを組むたびに足首には大きな負担がかかっていたのです。

1年後に迫ったワールドカップの舞台に立つため、堀江選手は右足にねじを入れ、骨を固定する手術を受けることを決断しました。

この時、堀江選手を支えたもの。それは家族でした。妻の友加里さんに、長女・美乃(よしの)ちゃんと次女・香乃(かやの)ちゃん。手術当日、病室で堀江選手を見送ります。

手術の間、美乃ちゃんは堀江選手の絵を描き始めました。そこにはお父さんへのメッセージが。

「元気になってね。よしの」

手術を終えた堀江選手に寄り添う家族。娘たちはそのそばを離れようとしませんでした。

そして手術の2日後。堀江選手は上半身のトレーニングを再開しました。

父親として。ラグビー選手として。家族との絆を力に変えて、3か月間の地道なリハビリを乗り切りました。

8人がひとつになるスクラムを

再び堀江選手の声が響くようになった、日本代表の練習グラウンド。スクラム練習では、培ってきた経験と技術を後輩たちに伝えます。

スクラムの最前線で、長年共にプレーする稲垣啓太選手は、堀江選手の復帰を心強く思っていました。

稲垣選手

「(堀江さんが戻ってくると)チームの雰囲気とか、存在感も違います。堀江さんが経験した事を周りの人間に伝える事は、すごく大事な要素だと思っていますね。」

代表のフォワードたちと出かけた食事。この時も話題になるのはスクラムです。8人の力を一つに。それぞれが日本代表のスクラムの理想形を語り合い、確認し合っていました。

稲垣選手「エゴを出さないっていうのが、今のスクラムでは大事なところ。」

山下選手「前に行けるからって出しゃばっていっても、自分たちの形が崩れちゃう。」

堀江選手「うまいことつなげて、一つになってドンと持っていく」

いざ戦いの舞台へ

7月。釜石で強豪フィジーとのテストマッチが行われました。堀江選手にとって1年ぶりの代表戦です。

体格で上回るフィジーに対して、合宿で取り組んできたスクラムが生きます。
前半19分、敵陣深くでのマイボールスクラム。日本はフィジー相手に一歩も引きません。素早くボールが出ると、ボールがつながりゴール前でラックを形成。最後はウイングの松島選手がトライ。

安定したスクラムからの攻撃が、見事トライを生みました。

堀江選手はさらに躍動します。前半23分には、タッチライン際でボールを受けると相手を引き付けてオフロードパス。持ち味のパスさばきで攻撃のリズムを作り、ラファエレ選手のトライにつなげました。

その後も日本の結束力の高いスクラムは、フィジーにつけいる隙を与えず、格上から34-21で勝利。1年ぶりの代表復帰戦、堀江選手にとってワールドカップへの手ごたえを感じる試合となりました。

堀江選手

「自分には伸びしろがあると思うし、まだまだいける、成長している感覚を自分でも持っていますね。」

先月、網走で行われていた強化合宿。練習が休みの日、家族がやって来ました。

リスと遊ぶ娘たちを優しく眺める堀江選手。父として、家族と久しぶりに共に過ごす時間。この一時の休息が終われば、自身三度目のワールドカップへ。集大成となる大舞台が迫っています。

堀江選手

「ギリギリまでしっかりと自分を向上させることを忘れずに、出せるパワーを100%出せたらいいなと思います。」

最後に、ディレクターは堀江選手に尋ねました。

「W杯が終わったら一番何がしたいですか?」

その答えは。

「うーん・・・。旅行かな。旅行。家族で」。


                   
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