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2019年9月11日(水)

青学・原晋監督 猛暑の東京マラソン"気温の地の利"をいかせ

日本のトップマラソン選手、男子31名、女子12名が出場し、東京オリンピック日本代表の内定者を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。真夏の東京を走る東京五輪の前哨戦とされるこの大会で勝利をつかむには、何が必要なのでしょうか。オリンピック本番と同じように選手を苦しめると見られているのが、暑さです。オリンピックが行われる8月上旬に比べればかなり気温も落ち着いてきているとは言え、厳しい残暑に見舞われる可能性もあります。そこで、青山学院大学陸上競技部の原晋監督に、暑さを攻略する方法を聞きました。

9月15日のMGC当日は、気温30度を超える真夏日になる可能性があります。選手が最も暑さの影響を受けるのは、コースのどのあたりでしょうか。

32km 皇居前付近

32km付近の皇居二重橋のところに折り返すポイントがあるんですが、あの辺りは日ざしを遮る大きな建物がないので非常に厳しいレースになるでしょうね。大きな建物がなく、直射日光が選手にあたります。マラソンは30km以降が勝負だと言われますが、体力が残り少ない状態で、直射日光を浴びれば選手は大きく疲労します。また、道路幅が広いので沿道からの応援の声援も届きにくい。とてもしんどいところですね。

40km 富久町付近

あとはゴールの手前、40km付近の富久町の坂ですね。かなりの傾斜を上ります。非常にきつい。前半に飛ばした選手は、30kmを過ぎてガクンとタイムが落ちているはずですが、ふらふらになってバテている状態でここに差し掛かるようなら、ドラマが生まれるのではないでしょうか。

マラソン選手にとって、夏の直射日光というのは大敵なのですか。

直射日光は非常にきついですよ。マラソンランナーにとっては過酷な条件です。ボクシングで例えるなら、ボディブローのようにきいてジワジワと体力を奪い、いつのまにか、ふわーっと気が遠くなってきます。直射日光はダメージになるので、遮るものがないと本当に過酷だと思います。

マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)のコース

冬場の寒い時期に行われるような高速レースなら、先行した選手がそのままゴールすることもあるでしょう。でも今回は違います。速さよりも、強さが求められるレースになります。先行する選手がいたとしても、終盤には暑さの影響でガクンとタイムが落ちます。前半で3分も4分も差が開くことはないでしょうから、30kmを通過した時点でトップとの差が1分半くらいにいるなら、チャンスです。

日本人選手は、日本の高温多湿の夏に慣れていると思うのですが、いかがですか。

青山学院大学陸上競技部 原晋監督

“気温の地の利”はあるでしょうね。夏の暑さといっても、国によって湿度や温度、風など、暑さの質が違います。同じ30度でもこれは涼しいなと感じることもあるでしょう。東京の夏の気温の上がり方や、日ざしがどう変化するのか、私たちは日本の夏を経験してきたからこそわかります。2時間10分ほどのレースの中で、東京の街の気温や天気がどう変化するのか、日本人選手ならより鮮明にイメージできますので、大きなメリットになると思います。

日本の夏を肌で知っている日本人のマラソン選手は、暑さにどう備えたらいいのでしょうか。

私は暑さ対策だからといって、暑いところでトレーニングすることには反対です。体にダメージが残ってしまうからです。トレーニングは涼しいところでやるべきです。ただ、暑さに慣れることは必要です。先日も神野大地選手のトレーナーと暑さ対策について話をしたのですが、私は日中の暑い時間帯に銀座や渋谷などの街に買い物に行きなさいと言いました。走るのではなく、買い物をしながら、普通に歩くので構いません。トレーニングの一環として歩けと。それで十分、暑さ対策になります。夏の暑さを肌で感じることで、体は順応します。

東京オリンピック、その代表選考レースのMGCに、どんなレースを期待しますか。

東京オリンピック本番のマラソンレースの際に、中途半端に涼しいと日本はきっと、世界に太刀打ちできないと思います。男子の2時間1分台という世界記録を見てもらえれば、世界との差は明らかです。でも夏のオリンピックのような着順争いがメインのタフなレースでは、日本人にもチャンスがあります。けん制しあってスピードが上がってこないでしょうから、するとタイムが落ちます。日本人の勤勉さ、粘り強さが強みになります。

リオデジャネイロ五輪(2016年)

MGCでのレース展開、結果によって、オリンピックへの展望が見えてくると思います。MGCが行われる9月15日はまだ残暑が厳しい時期です。このタイミングで選考レースを行うのは、本番を想定してのことでしょう。タフなレースになると思いますが、どうせなら暑すぎるくらいの気候になる方が良いと思います。その上で、30kmからラップタイムがどれくらい落ちるのか。選手の体にどれくらいダメージが残るのか。選手は体感して欲しいですね。そして、本番でも戦えるような、タフな選手が出てきてくれることを期待しています。

                   
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