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2019年8月29日(木)

ホッケー日本代表・清水美並の"超絶ドリブルテクニック"

女子ホッケー日本代表「さくらジャパン」には、世界屈指のテクニックを持った選手がいます。フォワードの清水美並選手(1993年生まれ)です。その凄ワザとは、スティックの上でボールを弾ませたり、ボールをバウンドさせたりしながら相手の守備をかわす、空間を使った3D(次元)ドリブルです。
安全面の理由から、ボールを膝の上の高さに上げることが禁止されてきたホッケーでは、ボールを左右に転がす平面の2D(次元)ドリブルが一般的でした。ところが、2016年、国際ルールが緩和され、空間を使った3Dドリブルが可能となったのです。今や「さくらジャパン」の武器となった清水選手の3Dドリブルのテクニックに迫ります。

相手の守備を巧みにかわす「空中技」=3Dドリブル

ホッケーは、1チーム11人の選手がスティックでボールを操り、ゴール得点を競う競技です。最大の特徴は、シューティングサークル(図のオレンジのエリア・半径14.63m)と呼ばれるゴール前の半円の中から放ったシュートのみが得点と認められることです。何人もの選手が守りを固めているシューティングサークルの中で守備をかわすのは至難の業、そこで真価を発揮するのが清水選手の3D(次元)ドリブルなのです。まずは、実際の試合で清水選手がみせた妙技をご覧ください。

強豪国のオランダなど欧米の選手は背が高く手足が長いため、守備範囲が広いのが特徴です。小柄な日本人選手がその選手をドリブルでかわそうとする場合、ボールを左右に動かすだけの平面的な2Dドリブルでは、大回りをしなければならず苦戦を強いられてきました。しかし、ボールを膝の上の高さまで上げられる3Dドリブルならば、空間を使って相手の守備をかわすことができます。

清水美並選手

外国選手はリーチが長く、歩幅も大きいので、平面でリーチをはずすのは難しいんです。でも3Dドリブルで、ボールを浮かしてスティックの上を抜いていけば、最短距離で相手を振り切れます。またサークル内では、相手ディフェンダーは自分の足にボールがあたると、「キック」という反則をとられるので、意識的に足元を守ろうとスティックを低く構えてきます。そんな時に相手の意表をついて、3Dドリブルでスティックの上をねらうのはとても有効なんです。

世界の強豪チームも恐れる清水選手の3Dドリブルの秘密

国際ルールが緩和されて、膝よりも上の高さにボールを上げることできるようになったのは、2016年のリオ五輪後のこと。反則によってプレーが中断する回数を減らし、観客がよりプレーを楽しめるようにすることが目的です。実は、このルール変更が日本代表「さくらジャパン」の追い風になりました。手先が器用な日本の選手は、スティックの扱いが上手く自在に動かすことができるため、「さくらジャパン」は、膝の上の空中でボールを操る3Dドリブルを積極的に導入しました。その中で最も高いテクニックを身につけたのが、清水選手なのです。

世界の強豪国も3Dドリブルの習得に力を入れています。それでも清水選手が世界屈指と評価されるのは、清水選手にしかできないテクニックがあるからです。その一つが、スティックを持つ手の位置。一般の選手は、スティックの動きを安定させるためスティックを短く持ちますが、清水選手は、スティックを長く持っても正確にボールを操ることができます。

清水美並選手

野球のバントのようにスティックを短く持つとスティックは安定しますが、どうしても前かがみの姿勢になって、ヘッドダウンしちゃうんです。そうすると視野が狭くなって相手が近づくのがわからなくなってしまいます。でも、スティックを長く持つとルックアップできて視野が広がるので、相手の選手との距離が把握できて、自分が仕掛けたいタイミングで仕掛けられます。また、一定のリズムでボールを上げると、相手も手を出すタイミングを合わせやすくなるんですが、スティックを長く持つことで、リズムを変えたり、回り込んだりするプレーもやりやすくなるんです。

清水選手にしかできないテクニックがもう一つあります。それは、ボールを浮かせるときのスティックの使い方です。ホッケーでは、スティックの片方の面、平らな面でしかボールを扱えないため、一般の選手は手首をくるくると回してスティックを回転させながらボールを操りますが、清水選手はスティックを回転させずにボールを操るのです。

清水美並選手

違いはスティックのかぶせ方です。普通は、スティックをくるくると回転させることで、ドリブルに左右の動きを加えて相手をかわすんですが、このやり方だとスティックを回転させるときにどうしてもボールがスティックから離れてしまうんです。そこで、私はスティックを回転させないことにしました。これだと常にボールがスティックに貼り付いた状態なので連続的な動作ができます。この状態からパスもできるし、ドリブルもできるわけです。相手のディフェンダーから「いつボールが離れるのかわらない」と言われることがあるんですが、このテクニックを身に着けたことで3Dドリブルが一層効果的になりました。

オリンピック連続5大会出場となる東京大会で悲願のメダル獲得を目指す「さくらジャパン」は、2018年のアジア大会で格上のインドを破って初優勝するなど、その実力を急速に上げています。その秘密兵器となっているのが、清水選手の3Dドリブルなのです。世界屈指と評される3Dドリブルを武器に世界の強豪にどう挑むのか、清水選手、そして日本代表の活躍に期待が膨らみます。

                   
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