読み込み中です...

2019年8月31日(土)

アメリカ武者修行スイマー リオ五輪シンガポールに初の金メダル

2016年のリオデジャネイロオリンピック競泳男子100mバタフライで、シンガポールのジョセフ・スクーリング選手は、シンガポール勢として史上初の金メダルを獲得しました。13歳で単身渡米し、一心に水泳に打ち込んだ末の快挙でした。

スクーリング選手

最初に大会に出たのは4歳の時です。わずか25mのレースでした。メダルを10個ぐらいは取ったと思います。大会に出るのが大好きだったし、子どものころから負けず嫌いでしたからね。

母 メイさん

明るくて本当に手のかからない、いい子でした。泳ぐのが大好きでしたね

父 コリンさん

8歳のころ、朝の4時半に私を起こしたんです。「どうしたんだい?」と聞いたら「練習に行く」と言うのです。朝の4時半にですよ、普通じゃないですよね。そのとき、あの子が本気だとわかったんです。
息子が出た大会は全て記事になりました。私は毎年息子が目指すべきタイムを一覧にしました。アメリカの大会記録、マレーシア記録、シンガポールのジュニア記録、学校記録、自己ベスト。そして息子自身のそのときの目標タイムです。

スクーリング選手

さらに強くなるためにはトレーニングのレベルを上げる必要がありました。父の紹介で、フェルプス選手などアメリカのオリンピックチームと会う機会があり、その時にコーチを紹介してもらいました。僕はそのコーチの指導を受ける為にアメリカへ行くことにしました。
小さな国から来たので、不安はありました。アメリカに来たのも、親元を離れたのも初めてでしたので。正直、最初は嫌で嫌で仕方なかったですね。13歳だった僕は寮に入りました。後片づけをはじめ、身の回りのすべてを自分でやらなければなりませんでした。シンガポールでは、両親に甘やかされていましたからね。

初めてのオリンピックは予選敗退

スクーリング選手が初めてオリンピックに出場したのは、2012年のロンドンオリンピックでした。しかし、スタートの数分前、スクーリング選手のキャップとゴーグルが規定に違反していることがわかり、急きょ、代わりの物で試合に臨むことになったのです。
このことでスクーリング選手は大きく動揺しました。結果は予選敗退。オリンピック初挑戦は、自分の力を発揮できないまま終わりました。

スクーリング選手

万全の準備をしてきたのに、練習が無駄になってしまったと、がっかりしました。もう何もかもおしまいだと思ってパニックになりました。一度そうなると、何もわからなくなるんです。そこからすべてが崩れていきました。
これまで生きてきた中で、最も恐ろしい経験だったと思います。あの時、気持ちを切り替えて、やるべきことをやればよかったんですが。
それから半年間は、なかなかあの失敗を乗り越えられませんでした。「もう泳ぎたくない」そう思っていました。
今になってみれば、自分に一番足りなかったのは経験だったんだと思います。あの失敗があってよかったんです。おかげでアスリートとしても、人としても成長できました。心から水泳をやりたいのなら、前に進もうと自分に言い聞かせたんです。4年に1回、チャンスは来るのだから。

2回目のオリンピック

そして4年後、リオデジャネイロオリンピックの100mバタフライ。スクーリング選手は予選、準決勝と1位で通過。初めての決勝進出にシンガポール中が注目しました。
決勝のレースには、この種目オリンピック3連覇しているフェルプス選手の姿もありました。スクーリング選手は過去の弱い自分と決別し、強い思いで挑みました。

スクーリング選手

決勝に進出した選手全員と対戦したことがあったので、自信はありました。決勝直前の気持ちは今でも覚えています。不安や緊張、それに期待。いろいろな感情が入り混じっていました。4年間の積み重ねがあの一瞬にかかっていましたからね。

スクーリング選手は、オリンピック新記録の好タイムで見事に金メダル。4年前の挫折を乗り越え、世界一に輝きました。そしてそれは、シンガポールに初の金メダルをもたらす歴史的瞬間でした。スクーリング選手の偉業はシンガポール中に旋風を巻き起こします。

スクーリング選手

帰国した時のみんなの出迎えは、試合に勝った時よりも嬉しかったです。母国でたくさんの祝福を受けられて最高でした。
あそこまで歓迎を受けるとは思っていませんでした。前代未聞の出来事だったので大騒ぎになったんだと思います。これまで、シンガポールは、あまりスポーツの盛んな国ではありませんでした。今回シンガポールのスポーツ界に希望の光が見えたことで、多くの人が興奮したんだと思います。

※この記事はオリンピックチャンネルのVTRを再構成して制作しました。

NHKcompo_olch_L_02.jpg

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事