読み込み中です...

2019年8月1日(木)

"風を読み、操る達人" セーリング470級 "オカホカ"ペア

風の力で大海原を滑走する艇を操縦してフィニッシュの順位を競う競技、それがセーリングです。東京五輪のセーリング競技には、ウインドサーフィンや全長4~5mのヨットを1人または2人で操る種目など合わせて10種目がありますが、日本人選手で最もメダルの期待が高いのが全長4.7mのヨットを2人で操る競技「470(ヨンナナマル)級」です。男子“オカホカ”ペアの岡田奎樹(おかだ けいじゅ)選手(1995年生まれ)と外薗潤平(ほかぞの じゅんぺい)選手(1991年生まれ)は、2018年夏、神奈川県の江の島で行われたワールドカップで優勝するなど世界大会で上位に食い込む実力者、世界トップレベルの「風を読む力」と「風を操る力」を持つ達人です。

雲と波を見て風を読む岡田選手

岡田奎樹選手(左) 外園潤平選手(右)

セーリングは2〜4個のブイが置かれた海上のコースで行われます。コースの距離や形はその日の風や波の状態によって変わりますが、風下からスタートして風上に設置された複数のブイを周り、風下のゴールラインでフィニッシュします。風上に向かってヨットをジグザクに進める技術と横風を受けながらまっすぐ進める技術、そしてヨットの後方から受ける風をコントロールする技術が求められます。風の力だけを頼りにヨットを進めるため、「風を読む力」と「風を操る力」を競う競技と言っても過言ではありません。

“オカホカ”ペアのうち、主に「風を読み、操る」のは、ヨットの後方に乗ってメインセール(帆)と舵取りを担当する「スキッパー」の岡田選手です。その力が特に問われるのはスタート直後。セール(帆)に風を受けて進むヨットは、風上に向かってまっすぐ進むことはできないため、「タック」と言われる方向転換を繰り返しながらジグザグに進みます。刻々と変わる風の強さや向きに対応しながら、どのタイミングでヨットの方向を変えるのか、「スキッパー」岡田選手の腕の見せ所です。

岡田選手

レース前に海の近くを歩いて、遠くの雲の状態とか海上の波の大きさなど見て、コース付近でどんな風が吹いているのかを予想します。出航前にしっかりイメージトレーニングしてから出航していますが、陸で想像していた通りにはなかなかいかないのが現実です。海上に出たら想像していた風の向きが変わってしまうこともよくあるので、臨機応変に対応出来るようにいろんなパターンをイメージして戦略を考えています。

ヨットの傾きを調整する外薗選手の「ハイクアウト」

ヨットの前方に乗っている外薗選手は、小さなセール(帆)の操作とヨットの傾きを調整する「クルー」の役割を担います。強い海風を受けてヨットがひっくり返らないよう、風向きと反対側に体重をかけてバランスを取る「ハイクアウト」という動作姿勢は、「クルー」を務める外薗選手の最大の見せ場、風の力に負けない強靭(じん)な肉体が必要です。

外薗選手

「ハイクアウト」は、ヨットの外に全身を出して海面すれすれの状態を維持する動作姿勢ですが、ひとレースの時間は1時間弱、1日に4〜7レースをおこなうので、かなりの筋力が必要となります。風の強い時は「ハイクアウト」などをしてヨットの傾きを調整しますが、逆に風が無い時は体の重さでヨットを揺らして風を起こすこともあるんですよ。「クルー」には、風があってもなくても強い筋力が求められるため、毎日の筋トレが欠かせないんです。

“難攻不落の海” 江の島 自国開催のメリットを生かせるか

セーリング競技の舞台は、神奈川県藤沢市の「江の島ヨットハーバー」です。実はこの競技場は、風向きが刻々と複雑に変化するという特徴があります。起伏に富んだ湘南の地形に加え、高さや向きの異なる建物がたくさんあるからです。さらに大会期間中は台風のシーズン。大きなうねりのある波が南からやってくる場合もあり、海上の状態は地元の人でも海に出てみないと分からないといいます。真夏の江の島は、攻略が難しい“難攻不落の海”なのです。

外薗選手

僕たちは江の島をベースに練習をしているので、海外の選手と比べて江の島の特徴をつかんでいると思います。スタートから風上のマークに向かう前半で遅れを取っても、追い風で走ることが得意なので後半で挽回できると思います。地の利を生かして、外国の選手を引き離してメダルをねらいます。

岡田選手

自分が得意な海面、そこですごい練習をしてきているので自信もありますが、最後はコロコロと変わる条件に対して臨機応変に対応する応用力が勝負を分けます。
大自然に素直に潔く向き合うこと、それができれば金メダルも見えてくると思っています。

岡田選手と外薗選手の“オカホカ”ペアは、舵取りの決断を下す「スキッパー」の岡田選手の方が、「クルー」の外薗選手よりも5歳も若いという珍しいペアですが、緊密なコミュニケーションとチームワークには定評があります。セーリング男子「ヨンナナマル(470)級」、江の島の海を知り尽くした2人のメダル獲得に期待がかかります。

(写真・文)東京オリンピック・パラリンピック実施本部スタッフ

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事