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2019年7月29日(月)

44年ぶり五輪出場の"おりひめジャパン"とは?

侍ジャパン、なでしこジャパン・・。数ある日本代表の愛称ですが、「おりひめジャパン」を知っていますか?1年後に迫った東京オリンピックで、1976年のモントリオールオリンピック以来、44年ぶりの出場を果たすハンドボールの女子日本代表のことです。「球技と格闘技の融合」とも呼ばれるほど激しい競技で、接触、衝突は当たり前。キーパーを含め、7人の選手が攻守入り乱れて相手ゴールを目指します。

激しさゆえに、女子といえども生傷は絶えません。「おりひめジャパン」のキャプテン、原希美選手もあざや突き指は日常茶飯事。28歳の「おりひめ」は、「ふだんの生活では、生足を出せませ~ん」と嘆きます。お茶目な原選手も、コートに立つと鋭い目つきに一変。44年ぶりにつかみ取った絶好のチャンス、東京オリンピックにかける意気込みをちょっとまじめに聞いてみました。

接触OK! 相手をぶっ飛ばせ

「次の行為は許される。相手の体に接触」。日本ハンドボール連盟が出している競技規則には、「許される行為」という項目があります。規則上は、「接触」ということばが使われていますが、実際にハンドボールを目にすると、「衝突」の方がしっくりきます。

「球技と格闘技の融合」とも呼ばれるだけのことはあって、試合ではぶつかり合いが当たり前。キャプテンの原希美選手は、このぶつかり合いに絶対の自信を持っていると言います。

高校1年生から年代別の代表に選ばれ続け、今では代表でも攻守で最も激しいポジションを担っています。特に、ディフェンスでは、最もぶつかり合うことが多くなる、ゴール正面のポジションを守ります。原選手が、そのディフェンスのおもしろさを乙女らしく教えてくれました。

原希美選手

格闘技要素も入っていて、すごい楽しいスポーツ。当たるのは結構好きで、負ける気がしないので、自分があたりにいって逆に相手にダメージを与えたい。


ハンドボールをやっている人は、みんなアザだらけ、けがだらけ、突き指だらけ、だと思います。

でも、女子選手の間では、突き指に関しては、左手の薬指だけは絶対守りたいと話しています。

原希美選手

“結婚指輪”が入らなくなってしまいますから…。

代表選手が3人もいるのに…

そんな原選手が、ふだんの練習を行っているのは、クラブチーム「三重バイオレットアイリス」がある三重県鈴鹿市です。取材に訪れてみると…。バイオレットアイリスには、原選手を含め3人の「おりひめ」がいて、練習中は、華麗で、激しいプレーに圧倒されるのですが、練習が終わると、チームの選手全員が体育館に座り込んで、熱心に床を拭いていました。

日本代表選手みずからが、雑用を行っているのは、いったいなぜなんでしょうか?

ハンドボールで使用するボールは、女子が直径18センチ。一般の人でも、ちょっと手が大きい人や握力に自信がある人ならば、つかむのはそう難しくありません。

松やに

ただ、激しいプレーのなかで、ボールをつかみやすく、そして自在に操れるよう、粘着力の高い松やにを使ってプレーします。そのため、ボールは真っ黒。

毎日掃除しないと、体育館の床も汚れてしまいます。なので、練習後は、選手たちが掃除をしていたのですが、もう1つ、なんとしても体育館をきれいに使わなければならない理由がありました。練習場所に使っているのは、地元の高校から借りている体育館。

原選手が所属するクラブチームは、資金力に乏しく、専用の体育館は持っていないのです。この体育館も、練習後に掃除することを条件に、ようやく借りることができたといいます。

原希美選手

身体的にも精神的にもきつい部分があって、慣れるまではすごい時間かかりました。


しっかりと結果を出してこの環境で戦えるんだっていうところを、ほかのチームには見せつけたいなと思いますね。

ラグビーだけじゃない!もう1つの世界大会

ことし6月、ラグビー元日本代表の五郎丸歩選手や人気グループ「嵐」の櫻井翔さんなどが出席するラグビーワールドカップのPRイベントが行われました。ラグビーワールドカップは、ことし9月から熊本や静岡、東京など全国各地で開催されます。ラグビー日本代表は、4年前のワールドカップで、南アフリカから歴史的勝利を挙げて以降、その注目度はうなぎ登りです。

一方で、ラグビーワールドカップの会場の1つになっている熊本県では、ハンドボール女子の世界選手権も開かれます。ただ、その盛り上がりはというと…。

原希美選手

ラグビーはワールドカップまであと何日というのをいろんなニュースで、取り上げられている。でもハンドボールもあるのにな、とすごい思う。


ラグビーの方が注目度が高くて、多分、日本中にハンドボールの世界選手権が熊本であるって知らない人たくさんいると思うんですよ。

原選手の地元は、宮崎県北部にある延岡市です。熊本県にほど近い延岡市の人たちに話を聞いてみましたが、たしかにハンドボールの世界大会について、そしてハンドボールそのものについても、認知度はいまひとつでした。

「ハンドボールの世界選手権は、全く知らないです」。
「ラグビーのワールドカップのことはよく知っているのですが…」。
「ハンドボールは、投げてゴールに入れるやつでしたっけ?サッカーの”手版”みたいな?」。

原希美選手

ほかのスポーツに比べ、まだまだ注目されてないとすごい感じていて、うらやましいと思います。


ハンドボールが、いま日本ではすごくマイナーなので、世界選手権は、注目してもらえる本当に大きなチャンスだと考えています。

小学生からの夢

今回、三重県に取材に行く前に、宮崎県延岡市にある、原選手の実家を訪ねて、お借りしたものがあります。

市立東小学校の卒業アルバムです。原選手は、「将来の夢」として、「ハンドボールの選手になってオリンピックで金メダルをとること」と書いていました。原選手は、内容は覚えていましたが…。

原希美選手

小学生の時に戻って、どういう気持ちで書いたのか、ちょっと知りたいですね。でもハンドボールが大好きだったから、こうやって将来の夢として書いたのだと思う。


小学生からの夢がずっと今まで継続していて、いま、その夢に向かってやっているのは、すごい幸せなことだなと思います。

小学生の頃の夢の半分、「オリンピック出場」は見えてきました。ただ、原選手が、今、こだわるのは「メダル」です。自国開催のオリンピックという大舞台で結果を残し、ハンドボールをメジャーにすることを目指します。

原希美選手

やっぱり、ハンドボールをメジャーにしたいです。世界選手権で結果を残せば、オリンピックでハンドボールを見たいという人も増えると思います。


ハンドボールの魅力や、おりひめの魅力を自分たちで発信して、結果が出ればさらに注目してもらえ、注目を集めることができれば、今、ハンドボールをしている子どもたちの未来、目標が広がると思います。

松井嚴一郎

平成29年入局。警察担当のかたわら県内のスポーツシーンを精力的に取材。大学時代はスポーツ新聞部に所属し、自校選手の取材に駆け回った。高校はハンドボール部。

                   
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