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2019年7月17日(水)

中日・柳裕也「3年目の進化の秘密は」~担当記者が語るキラリと光る活躍シリーズ⑱~

中日の柳裕也投手が3年目で大ブレイクを果たしています。ドラフト1位での入団から2年間でわずか3勝と苦しんだ右腕は、なぜここまで急成長を遂げたのか。

鳴り物入りもケガに苦しむ

柳裕也投手

まさかここまで勝てるとは、自分でも想像していませんでした。

プロ野球ドラフト会議 柳投手と森監督(当時)

前半戦で、リーグトップに並ぶ9勝をあげた柳投手はこう話します。2016年のドラフト会議で大学ビッグ3の一角と称され、2球団競合の末にドラフト1位で中日に入団した柳投手。

中日―DeNA (2017年)

即戦力と期待されましたが、過去2年間は、右肩などのけがに苦しみ、わずか3勝に終わっていました。

柳裕也投手

とにかく悔しさしかないシーズンを過ごしたので、今シーズン絶対にやってやろうという気持ちは強かった。

去年秋のキャンプが転機

阿波野秀幸投手コーチ

その柳投手に転機が訪れたのが、去年秋のキャンプです。監督をはじめ、首脳陣が大きく入れ替わりスタートしたキャンプで、新たに就任した阿波野秀幸投手コーチから「2段モーションで投げてみたらどうだ」と言われたのです。

柳裕也投手

はじめは遊びのつもりでブルペンで投げてみたら意外としっくりきたんです。


自分の中で投げるまでのリズムがよくなったことで、結果的に体重移動がスムーズになり、ボールが力強くなった気がします。

阪神とのオープン戦に先発した柳投手 (2月26日)

一度上げた左足をいったん止めて、再び上下させる新しいフォームで、オープン戦で結果を出し、開幕ローテーションの座をつかみます。

シーズン中も進化

中日―ヤクルト ピンチを招いた柳(17)のもとに集まる中日ナイン (5月4日)

それでも順風満帆とはいきませんでした。3月、4月は2勝負けなしでスタートしましたが、5月最初の登板となったヤクルト戦で、10本のヒットを打たれ、8失点。

しかしこの試合が柳投手のさらなる進化のきっかけになりました。試合後、首脳陣から言われた『持ち味の緩いカーブをもっと投げろ』いうことばがヒントになったのです。

柳裕也投手

緩いボールは投げるのに勇気がいるんですが、投球の幅を広げるためにも割合を増やしました。

柳投手はバッターの打ち気をそらすため、特に右バッターへの初球や2球目にカーブを増やしたといいます。

さらにこの頃から、大きく縦に曲がるスライダーを持ち球に加えました。ボールの軌道やスピードに新たなバリエーションを増やすためでした。

柳裕也投手

もともと自分の持ち球は、カットボールやチェンジアップなどストレートと同じ軌道から変化するボールが中心でしたが、スライダーは自分の持ち球になかった変化をするのでバッターの目線を変えられる。


球速もカーブとカットボールの間で有効だと思いました。

ヤクルト―中日 (5月25日)

ここから柳投手の快進撃が始まります。5月25日のヤクルト戦に勝利すると、そこから6連勝。

割合を増やしたカーブや新たな持ち球、スライダーの効果で三振の数も増えました。今やチームのエースとも呼べる存在にまで成長しています。

同期 笠原の存在も刺激に

笠原祥太郎投手

もうひとつ柳投手の躍進を支えているものがあります。同期入団で同い年の笠原祥太郎投手の存在です。実は開幕前のある日、2人はそろって与田剛監督から呼ばれました。

与田監督は「笠原に開幕を任せる。柳は3試合目を頼む。2人でチームの軸になって欲しい」と話したといいます。

与田剛監督

同期の2人に切磋琢磨しながらチームを引っ張って欲しいという与田監督の思いが込められていました。2人は与田監督の言葉に応え、ともにローテーションを守っていましたが、4月末に笠原投手が不整脈の症状を訴え離脱。手術を受けることになりました。

そのとき、入院した笠原投手のもとに真っ先に見舞いに行ったのが柳投手でした。「暇だったから行っただけです」と話しますが友人であり、よきライバルでもある笠原投手を思いやる優しさが表れた行動でした。

柳投手は、笠原投手について「特別、ライバルという感覚ではないし、メディアの皆さんが期待するような熱いものはないですよ」と笑いつつ、こう話しています。

柳裕也投手

笠原が勝ったら、俺も勝とうという気持ちになります。


病気は仕方ないことですが、自分が活躍していれば笠原にも刺激になると思うので勝ち続けたい。

"心優しき右腕"の今後の躍進にも期待

6月21日、ナゴヤドームで「ガールズシリーズ」と銘打って行われた試合。ファン投票で「イケメン神セブン」が発表されましたが、そこに柳投手の名前はありませんでした。

中日―日本ハム (6月21日) 柳投手(中央)

この日の試合、7回1失点で勝ち投手となった柳投手。

お立ち台で「『心がイケメン神セブン』を来年作ってもらえれば、1位になれると思います」と茶目っ気たっぷりに話す姿が印象的でした。

柳裕也投手

自分自身、シーズンを通して投げた経験がないのでどうなるか分かりませんが、とにかく自分が投げる試合は、全部勝つつもりでいきたいです。

進化する投球術に加え、優しい心を併せ持つ右腕の今後の躍進に、さらなる期待が膨らみます。

福島康児

平成27年入局。広島県福山市出身。中日担当1年目。元高校球児としてプロ野球の奥深さを感じながら取材に奮闘中。

                   
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