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2019年7月10日(水)

ラグビーの気になる話(33)チームの合い言葉は"グローカル"

ワールドカップを目指す日本代表候補の宮崎合宿も終盤に入ってきました。この合宿で、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが重視したのが結束力を高めることです。

チームのおよそ3分の1を占める外国出身の選手たちをどう融合させていくかを大切なテーマに掲げました。そこで生まれたのが「グローカル」という聞き慣れない言葉でした。

様々なルーツを持つ選手たち

ラグビーでは、国籍の有無に関わらず、一定の条件を満たせば代表の資格を得ることができます。宮崎合宿に集まったメンバーも、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、トンガ、フィジー、サモア、韓国、それに日本と合わせて8つの国にルーツを持つ選手たちで構成されました。

ジェームス・ムーア選手

合宿中には、南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニ選手とオーストラリア出身のジェームス・ムーア選手の2人に、日本代表の資格を取得したという知らせが届きました。こうした海外出身の選手の存在が、チーム力強化の一翼を担っています。

ジェームス・ムーア選手

ほっとしています。日本のためにプレーできることになって、安心しましたし嬉しいです。


私も日本語が多少話せますし、日本の選手も英語が多少話せますので、コミュニケーションはうまくいっています。チームの雰囲気は良く、最善を尽くすつもりです。

グローカルは環境づくりから

この多様な選手をまとめていくために、チームが掲げたのが「グローカル(Glocal)」です。国際的という意味の「グローバル」と、地方や地元を表す「ローカル」を掛け合わせた造語で、海外出身の選手と日本で生まれ育った選手が融合することを表しています。

ジョセフヘッドコーチと選手たちが話合い、チームの合い言葉になりました。「グローカル」を浸透させるために、ジョセフヘッドコーチは、まず環境づくりから取り組んでいました。

宿舎の食堂

その一例が、宿舎の食堂にあります。

往年の名選手たちの写真 (左上)

入り口近くの柱に、過去の日本代表の成績やレジェンドとされる往年の名選手たちの写真と紹介文が張られています。選手たちに日本代表の歴史を感じてほしいと作られました。

さらに、日本刀や茶器など、日本の文化を感じられる装飾品を目に見える場所に置き、毎日、選手の目に触れさせることで、日本代表としてプレーする意味を強く意識させたり、日本への思いを強めたりしてもらおうというのです。

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ

チームとしての大義名分をつくることで、結束力を高めるのが狙いです。日本国籍ではない選手も、この国に対してつながりを持ち、自分もその国の一員として戦うんだという思いを持つために、視覚的に高揚感を与えるようなディスプレーをしています。


過去に、どういう選手がいて、どういう成績を残してきたかを知ることで、チームへの愛や日本代表のジャージへの愛が生まれると思うので、そういう様な仕掛けを常に考えています。

グローカルはグラウンドでも

「グローカル」を意識した取り組みはグラウンドでも見られました。スクラム練習の前に行われる首の筋力トレーニングでは「1、2、3、4」とかけ声をかけながら首を上げ下げしていきます。

ここで、長谷川慎コーチが「次はヴィンピー」と南アフリカ出身のヴィンピー・ファンデルヴァルト選手にかけ声を出すように指示しました。

ヴィンピー・ファンデルヴァルト選手

すると「イエン、トゥイエ、スリー…」と南アフリカの公用語であるアフリカーンス語で、数え始めたのです。さらに、次に当てられたフィジー出身のアニセ・サムエラ選手はフィジー語で、トンガ出身のヴァルアサエリ愛選手はトンガ語でかけ声を出しました。

選手たちがそれぞれの国の言葉で数を数えながら練習に取り組んでいました。それぞれの選手の文化を意識させたり、興味を持たせたりすることで、選手どうしの会話のきっかけにしてほしいと続けられていました。

長谷川慎コーチ

オフの過ごし方も性格も違うのは当たり前というのをみんなが理解していて、それでもチームが離れていかない様に考えさせるようにしている。


日本人の良いところを外国人も吸収するし、外国人の考え方の良いところは日本人も共有してグローカルなチームになっていきたい。

多様な考え方と文化を持ち寄って、ひとつにまとまり始めている日本代表。「グローカル」という合い言葉のもとに、どう結束を高めていくか、注目していきたいと思います。

鈴木俊太郎

スポーツ番組部ディレクター 2007年入局。札幌局を経て、12年からスポーツ番組部。ラグビーは前回のワールドカップも現地取材。

                   
※NHKサイトを離れます

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