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2019年7月9日(火)

"鍛え上げられた体と一糸乱れぬオールさばき"ボート競技の魅力

「クルー」と呼ばれるこぎ手が時速20km超のスピードで水上のコースを駆け抜ける「ボート」。一糸乱れぬオールさばきは“究極のチームスポーツ”の象徴として、青春映画やドラマで度々描かれます。

オリンピックの正式種目としての歴史は古く、ヨーロッパ諸国やアメリカ、オーストラリアなどの国々がメダリストを毎回輩出しています。2016年からボート日本代表のナショナル・スポーツ・ディレクター(以後NSD)を務めているフランス出身のギザビエ・ドルフマンさんにオリンピックのボート競技の見どころを聞きました。

時速20km超で水上を駆け抜けるスピード感

スライドするシートに座り、足は固定された状態で前後運動を繰り返しながらこぐ

ボート競技はオールを使って水上を駆け抜ける速さを競うスポーツ、オリンピックでは2,000mのコースで争われます。よく似た競技のカヌーは、上半身の力で1本のパドルをこいで前に進みますが、ボートは進行方向に背を向けて後ろ向きに進みます。両足は靴で固定されたまま、前後にスライドするシートに座って膝を曲げたり伸ばしたりしながらオールをこぎます。

ギザビエ・ドルフマン 日本代表NSD

ギザビエ・ドルフマン 日本代表NSD

私が知っている限り、ボートは数ある競技の中で最も難しいスポーツです。こぐ動きは体の筋肉の95%を使う全身運動で、レースの中盤1,000mを過ぎた辺りで体力はほぼ消耗しきってしまいます。そんな状態でゴールまで戦い抜かなければならない、過酷なスポーツなんです。

ボート競技には、1人が2本のオールを使う「スカル」と、1本のオールを両手で操る「スウィープ」があり、東京オリンピックでは男女それぞれ7種目が行われます。手足の長さがストロークの大きさに直結し、体格の大きな選手が圧倒的に有利です。

このため、日本は体重制限があって、世界の選手と互角に戦える「軽量級ダブルスカル(2人乗り)」でオリンピックに挑戦してきました。これまでの成績は男子が6位、女子は9位が最高です。

ギザビエ・ドルフマン 日本代表NSD

日本代表の女子軽量級は、かなりのレベルに仕上がってきています。ただこのカテゴリーは世界的に実力がかなりきっ抗しているので、厳しい戦いとなります。東京オリンピックではベストを尽くせるよう選手育成に励んでいます。

競輪選手並みの太ももとオールさばきのテクニック

協力:法政大学体育会ボート部

時速20~22kmに達するスピードの原動力は、太ももを中心にした下半身の筋力です。選手は水上での実戦練習のほか、陸上で徹底的に筋力トレーニングを繰り返します。

エルゴメーターでのトレーニングの様子(写真提供:日本ボート協会)

「エルゴメーター」と呼ばれる、ボートをこぐ動きを陸上で再現できる器具などを使って必要な筋力を鍛え上げていきます。ボート選手の太ももは競輪選手並み、脚の力をオールに伝える背筋や腕の筋肉も鍛え抜かれ、上半身は見事な“逆三角形”です。

両腕を使った巧みなオールさばきも見逃せません。ボートのオールさばきは、大きく3段階。

まず、オールの先端部分のブレードを水中に垂直に入れる「キャッチ」。

次に「ドライブ」。脚を伸ばし、腕を引きつけながら水中のオールを一定の深さでこぎます。

そして、水中からブレード(オールの先端)を抜いた後、平行に回転させ「キャッチ」の位置に戻す「フォワード」です。

水と空気の抵抗を最小限に抑えながらこぐテクニックが求められます。

ボート日本代表 ギザビエ・ドルフマンNSD

ギザビエ・ドルフマン 日本代表NSD

ボートでぜひ見てほしいのがオールさばきです。ブレード(オールの先端)がいかに水をつかみ、水中に切れ込んでいくかを見るのはおもしろいと思います。特に漕ぎ手が何人もいる種目だと、皆のブレードが一体となって動くパーフェクトな動きが見られますよ。

小柄な日本代表の選手が、“鍛え抜かれた肉体と一糸乱れぬオールさばき”で世界の強豪に挑む「軽量級ダブルスカル(2人乗り)」。悲願のメダル獲得をかけた挑戦から目が離せません。

                   
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