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2019年6月19日(水)

東京五輪マラソン"カリスマランニングコーチ" 金哲彦が託す夢!

2020年7月24日に幕を開ける東京オリンピックのメインスタジアムとして、数々の競技が行われるオリンピックスタジアム(新国立競技場)。プロ・ランニングコーチやマラソン解説者として活躍している金哲彦さんは、スタジアムがある千駄ヶ谷や神宮外苑エリアに対して、なみなみならぬ思い入れがあるそう。前回の東京オリンピックが開催された1964年生まれでもある金さんに、国立競技場の思い出と東京オリンピックに寄せる期待を聞きました。

神宮外苑は地球1周するぐらい走ったホームコース

1985年箱根駅伝に出場したときの金さん

― 金さんにとって、国立競技場や明治神宮外苑はどんな場所ですか?

金哲彦さん

国立競技場は、日本選手権やインカレが行われていた「憧れの大舞台」。初めて走ったのは1982年。早稲田大学競走部の1年生だった私は、早慶戦の5000mに出場しました。オープン種目でしたが、なんと、当時日本最速の瀬古利彦さんと同じスタートラインに立ったのです。

私は、自己新記録を大幅に更新する14分31秒で、1年生としてはまずまずの記録でした。一方、瀬古さんの記録は13分台、なんと1周抜かれました。瀬古さんが背後から迫った瞬間、インコースを開けろ!と声が飛び、とてつもない速さで駆け抜けていきました。当時の日本トップレベルの走りで、いまでも通用するぐらいのスピードです。36年たったいまでもあの時のことは鮮明に覚えています。

金哲彦さん

神宮外苑は、いまでも地面の感覚になじんでいて、目をつぶっても走れる感じがするホームコース。1周1.3kmが自分の中に刻み込まれていて、走るとその日の調子を知ることができます。カーブのところに格子があり、それが目の中でどういう速さで流れていくかによって、自分がどんなスピードで走っているかわかるんです。だから、2017年にウルトラマラソンに挑戦したときも、ここで50km走を行いました。社会人になってから走った距離も合わせると、おそらく地球1周を超えているでしょう。

市民ランナーにも走りやすい神宮外苑

▲いちょう並木(写真提供:明治神宮外苑)

― 金さんにとってかけがえのない国立競技場や神宮外苑は、市民ランナーや一般の人にとってどんな場所だと思いますか?

金哲彦さん

フラットなコースで道幅が広い神宮外苑では、市民ランナーが走っているのをよく見かけます。アップダウンのある赤坂御用地の周りは、都心とは思えないほど緑が多く、走りに集中できます。皇居や代々木公園にも近く、いろいろなコースや練習メニューを作れる、ランニングには絶好のエリアです。市民ランナーをここでトレーニングすることもあります。

走らなくても、散策するだけで楽しめる見どころが多いですよ。聖徳記念絵画館から青山通りに向かって続く約300mのいちょう並木は、黄金色に染まる秋はもちろん春夏秋冬の美しさがあり、絵画館にはパリを感じさせる雰囲気が漂います。いちょう並木からはオリンピックスタジアム(新国立競技場)も見えますよ。

▲聖徳記念絵画館(写真提供:明治神宮外苑・聖徳記念絵画館)

金哲彦さん

桜の名所として知られる新宿御苑は、美しい庭園や月替わりで御苑を彩る季節の花が見事です。新宿側から訪れる人が多いのですが、千駄ヶ谷門は千駄ケ谷駅から歩いて5分ほど。あまり知られていませんが、国立競技場や神宮外苑とは意外に近く、ここも国立競技場が見えるスポットです。

▲新宿御苑 千駄ヶ谷門

金哲彦さん

勝利の神様・東郷平八郎をまつる東郷神社は、箱根駅伝など大事なレースの前には必ずお参りした思い出の場所。自分自身や大切な誰かのために、訪れてみるのもよいのではないでしょうか。

世界の走りを体感し、日本を豊かにする転機に

―東京オリンピックのマラソンのコースや見どころについて教えてください

金哲彦さん

東京オリンピックのマラソンは、オリンピックスタジアム(新国立競技場)をスタートし、競技場のゲートをくぐってフィニッシュ。これぞ“ザ・オリンピックマラソン”です。最終種目に決まっている男子マラソンで、トップで駆け込んでくるのが日本人だったら、これほどうれしいことはないですね。

▲マラソンコース概要

金哲彦さん

このコースは、オリンピックのために設計された新しいもので、30km過ぎに一度皇居を折り返すのがポイントです。おそらくここから勝負どころになるでしょう。終盤は上り坂で、難所は40km過ぎ。富久町西の交差点を左折したあとの外苑西通りの上り坂です。とはいっても、市ヶ谷から四谷見附までの坂よりは傾斜がゆるいので、逆転や失速はそれほどないかもしれません。

コース以上に勝負を左右するのは、当日の気象条件。雨で気温が上がらなければスピードのあるアフリカ勢が有利。しかし、マラソンには厳しい蒸し暑さになったら、わかりませんよ。猛暑に強い日本選手が、メダルに食い込んでくれるのではと大いに期待しています。

金哲彦さん

2020年のマラソンコースは、網の目のように発達した地下鉄を利用できるので、何度も声援を送ることができます。目の前で世界の走りを体感する、その感動によって自分も走りたいという強いモチベーションが芽生えるでしょう。走ることはその人を幸せにします。だから、走る人が一人でも増えれば社会も豊かになるのです。2020年は、その大きな転機になってくれると期待しています。

金哲彦

1964年福岡県北九州市生まれ。早稲田大学時代は4年連続で箱根駅伝の5区「山登り」のスペシャリストとして出場。区間賞を2回、1984年、1985年の優勝にも大きく貢献する。卒業後はリクルートでランナー、コーチ、監督として活躍。自らも目指したオリンピックには、選手育成や解説者として関わり、現在はマラソン・駅伝解説者、プロランニングコーチとして活躍中。「走る意味 命を救うランニング」ほか著書多数。

                   
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