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2019年6月13日(木)

足で矢を射る"狩人" アーチェリー マット・スタッツマン

生まれたときから両腕がなく、足を自由自在に使って矢を射る、アーチェリー選手のマット・スタッツマン。初出場のロンドンパラリンピックでは、銀メダルを獲得し、一般(健常者)の大会でも全米ランキング8位に輝くなど、トップクラスの成績を収めています。

そんな彼のアーチェリー選手としての強みと、競技に劣らぬ熱意を見せるプライベートな趣味に迫ります。

左足で体幹を支え、右足で矢をコントロール

両腕がなく、背筋をきかせて、左足で体幹を支え、右足で弓を引いて矢をコントロールするマット・スタッツマン選手(アメリカ)。

アーチェリーの健常者の世界記録が720点中718点であるのに対し、スタッツマン選手の自己ベストは697点と、好成績を収めています(2017年10月時点)。

アーチェリー道具でも試行錯誤を重ねる

スタッツマン選手が使っているのは、矢を的に当てる補助をしてくれる道具がついた「コンパウンド(ボウ)」という弓です。

ロサンゼルス・アテネ五輪のアーチェリーメダリストで、今も現役の山本博選手は、スタッツマン選手に会った際、「俺だったら(リリーサーという道具を使って)口でやる」と伝えたところ、スタッツマン選手は「ロンドンのときは口でやっていたけれど、今は顎でやっている」と答えたのだそう。アーチェリー道具の使い方ひとつとっても、自分のスコアを上げるための試行錯誤を続けています。

「鹿狩り」の背景にあった家族への思い

スタッツマン選手が弓を構えるのは、競技のときでだけではありません。彼は、月に数回森へ出かけて「鹿狩り」をしています。


森の中の木に掛けられたハシゴを使って木の上に登り、鹿が近づいてくるのを待つスタッツマン選手。鹿が射程圏内に入ると口笛を吹き、振り向いた瞬間を逃さず矢を放ちます。獲物を仕留めるチャンスは、その一瞬だけ。一度でも矢を外してしまうと、鹿たちが警戒して逃げてしまうため、ただならぬ緊張感がありました。

彼が鹿狩りを始めたのは、不況によって営業職の仕事を解雇されたのがきっかけだったそう。「家族を飢えさせるわけにはいかない」と妻と子どものために食料を得るべく森へ出かけるようになったといいます。

熱意と技術で勝ち取った「車の免許」

スタッツマン選手のもうひとつの趣味が「車」です。車を買う時の決め手は「エンジン音」というマニアックさを見せるほど、無類の車好き。夢は「世界一のアーチャーになること」そして「世界一の車を作ること」だと話します。

タイヤ交換をはじめとする作業も、足で工具を扱い、器用にこなします。自身で車の改造も行うのだとか。

自ら車の運転もするスタッツマン選手ですが、右足でハンドル、左足でアクセルとブレーキを操作する彼の運転スタイルは、前例がなく、なかなか許可がおりなかったといいます。

それでもあきらめることなく、足だけで運転できることを証明しようと多くのテストにパスし続けたスタッツマン選手。その熱意と技術が認められ、2年かけて運転免許を取得したのでした。

アーチェリー競技はもちろん、趣味においても一切の妥協を見せないスタッツマン選手。今後の活躍からも目が離せません。



※この記事は以下の番組から作成しています。
2017年10月28日放送
「超人たちのパラリンピック アーチェリー選手 マット・スタッツマン」
内容は放送時のものとなります。

                   
※NHKサイトを離れます

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