読み込み中です...

2019年5月29日(水)

あえて男子に例えてみた!永里亜紗乃が選ぶなでしこの注目選手

2019年6月7日(金)から開幕するFIFA女子ワールドカップ2019。日本代表選手も現地に出発し、いよいよ女子サッカー熱が高まってきました。

え?なでしこジャパンの選手をよく知らない?
そんな人のために、元なでしこジャパンの永里亜紗乃さんに注目の選手を解説してもらいました。

永里亜紗乃(ながさと・あさの)

1989年1月生まれの元サッカー日本代表。ポジションはFW。神奈川県立厚木北高等学校、日本女子体育大学出身。2013~2015年ドイツでプロサッカー選手として活動。主な日本代表歴として、2008年 FIFA U-20女子ワールドカップ出場、2011年 FIFA女子ワールドカップ・アジア最終予選出場 同年ロンドンオリンピック予選出場などがあり、2015年 FIFA女子ワールドカップ カナダ大会では実姉の永里優季選手と史上初の姉妹同時出場を果たした。現在、NHKサッカー中継の解説を担当。

――それでは早速ですが、現在のなでしこジャパンで永里さんが注目している選手を教えていただけますか?

永里亜紗乃さん(以下、永里):……忖度抜きでいいですか?(笑)

――もちろん、大丈夫です!

注目1 ゲームを作るバランサー MF 籾木結花

永里:注目選手の一人目は、MFの籾木結花選手(日テレ・ベレーザ)です。

小柄なイメージですが、試合ではその的確な予測でチームを引っ張っていく選手です。中盤でプレーしつつ、自分でシュートまで持っていくこともできるバランサータイプですね。

周りを活かすのはもちろん、ダイレクトプレーも多い選手なので、個人でもコンビネーションでも力を発揮できる彼女は重要な選手のひとりだと思います。広い視野を活かしてボールをさばくプレーが得意という点も含め、男子選手でいうと柴崎岳選手(ヘタフェ/スペイン)に似ていますね。

左利きであることを武器に、右利きの選手とは違ったリズムで攻めるプレーも注目ポイントです。

ちなみに私が籾木選手とはじめて会ったのは彼女が中1くらい。当時はまだ子どもみたいにかわいくて、犬みたいな……“よしよし”したくなる感じでしたね(笑)。

注目2 影からチームをコントロールする DF宇津木瑠美

永里:次にMFの宇津木瑠美選手(シアトル・レイン/アメリカ)。男子にたとえると長谷部誠選手(フランクフルト/ドイツ)のようにチーム全体を支え、人のために走れる選手ですね。誰かの穴埋めやフォローができるというか。

目立ったプレーをするわけではないのですが、相手の攻撃をいつも止めていたりだとか。チームの頼れるお母さん的ポジションという意味で、澤穂希選手に似ているような気もします。

籾木選手と宇津木選手はどちらもチーム全体を支えるプレーヤーですが、宇津木選手はアメリカで活躍しているので海外選手の速さにも慣れていますし、グラウンドをダイナミックかつ広く使います。ショートパスで崩すというなでしこの良さが活きるのは、宇津木選手の精度の高いロングボールがあるからこそ、ともいえますね。

注目3 スピードで切り込むドリブラー FW横山久美

永里:期待を込めて、3人目はFWの横山久美選手(長野パルセイロ)を挙げます。スピードにのったドリブルがすごく得意で、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、たとえるとしたら堂安律選手(フローニンゲン/オランダ)のような。テクニカルなドリブルで試合を引っかき回すようなプレーをします。

2017〜2018年ドイツ(フランクフルト所属)でプレーしていたときは向こうのダイナミックさに慣れていたので「そこから打って入るの!?」という豪快なシュートがありました。そんな思い切りのいいプレーに注目してほしいですね。

ただ日本に帰ってきてからは日本らしいサッカーに慣れてしまったのか、決定率がやや下がってしまったのが気になります。ここでもう一段階進化して、ワールドカップで活躍してほしいなと思います。

注目4 バランスを崩さないマルチプレイヤー FW小林里歌子

永里:FWの小林里歌子選手(日テレ・ベレーザ)にも注目です。プレースタイル的には大迫勇也選手(ブレーメン/ドイツ)でしょうか。オールラウンダーで、万能なタイプです。ポストプレーができて、裏にもいける。FWの中でもマルチなプレーヤーです。飛び出しも上手ですし、誰と組んでも自分を活かせる選手だと思います。

――いずれは大迫選手のように“小林半端ないって!”と言われる可能性も……。

永里:ぜひ期待したいですね~。誰と組んでも自分を活かせる選手なので。今、年齢を重ねるごとに波にのっているなというイメージです。

注目5 チームをまとめる守備の要 DF熊谷紗希

永里:やはりキャプテンの熊谷紗希選手(リヨン/フランス)の活躍には期待したいですね。若いときから代表に入っていたので、キャプテンらしさがだんだんと出てきました。

特長としては、とにかくカバーがうまいです。DFの中でも173センチと一番背が高いし、守備範囲が広い。前にもプレッシャーをかけにいけるし、隣の選手の裏もカバーできます。

それこそ、フィジカルの強さを活かして活躍する吉田麻也選手(サウサンプトン/イングランド)みたい。いっそ、あのくらいの勢いでチームを鼓舞してほしいですね。全体の動きを見ながら、大きな声を出して指示を出すとか。欲を言えば吉田選手ばりにヘディングをしてほしい。もっとパワープレーが見てみたいなという気持ちがあります。

注目6 鋭い状況把握力とスタミナの持ち主 DF鮫島彩

永里:DFで注目してほしいのはやはりさめちゃんこと、鮫島彩選手(INAC神戸レオネッサ)ですかね。前回のワールドカップくらいから運動量とクロスの精度を上げていますし、経験からくるブレーの予測もできています。鮫島選手は例えるというより、もう長友佑都選手でしょう!(ガラタサライ/トルコ)っていう。というのも長友選手のようにスタミナがあって、機動力が高いんです。運動量もありますしね。また、ベテランだからこそゲーム全体を読む力があり、落ち着いて状況を判断できる選手です。

注目7 技術と反射神経の良さを兼ね備えた守護神 GK山下杏也加

永里:GKなら山下杏也加選手(日テレ・ベレーザ)ですね。若干の無理やり感はありますが、男子に例えると中村航輔選手(柏レイソル)のような身体能力の高さと反応の良さをもっています。

あとは、とにかく足が速い!GKって、高くジャンプするために強い脚力を持っているんですよ。私がドイツに行ったときもGKが一番足が速かったくらい。彼女は高校までFWだったので足元の技術もうまく、落ち着いているのでDFにも安心感を与えていると思います。

注目8 安定感のある守備で猛攻を食い止める GK平尾知佳

永里:あと、GKでもう1人。初メンバー入りの平尾知佳選手(アルビレックス新潟)です。シュミット・ダニエル選手(ベガルタ仙台)のように飛び出せる範囲が広いのが特徴です。クロスボールへの反応もいいですし、思い切りの良さがちょっと似ているなと思いました。

先日のドイツ戦でもすごく調子が良かったので、ワールドカップでも期待したいです。

なでしこジャパンの注目ポイントと課題

――永里さん注目の選手を教えていただきましたが、今度はチーム全体としての注目ポイントを教えてください。

永里:まず世界で通用する日本の良いところは、細かくパスを繋いで相手を崩せるところです。数人の選手が関わって相手の攻撃を崩すというのは、海外の選手にはなかなかできないですし、ボールのタッチは日本の選手が一番うまいですね。ダイナミックさは海外の選手に負けてしまいますが、繊細で優しく繋げるというのは日本人ならではの特徴です。リフティングひとつにしても、日本人はボールの扱いがとてもうまいんですよ。

――日本らしいパスワークが見どころということですね。逆に、永里さんが感じている日本の課題は何ですか?

永里:細かく繋いで崩す、その前の段階が抜けてしまっているなと感じます。自分たちの武器を活かせる状況をつくるための戦略がないというか、偶然的にチャンスが来ないと力を発揮できないように思えます。

――チャンスを待っているだけの状態では安定して勝てないということですよね。チャンスを自ら作れないのは戦略の問題ですか?それとも経験の問題?

永里:どちらもありますが、前者が大きいと思います。相手ありきのスポーツなので、事前に相手のことをしっかり研究しておかなければいけません。

どう攻めるかをある程度チームで共有するのが普通ですが、今は多分個人の判断に任せているのではないでしょうか。今は行き当たりばったりになってしまっている印象ですね。戦略がしっかりしていれば勝てる実力はあると思います。

今大会は接戦に!日本はベスト4に食い込めるか?

――最後に、今回のワールドカップ全体の注目ポイントを教えてください。

永里:今回は結構接戦になると思います。一般的にはアメリカが強いイメージですが、他のチームもレベルアップしているので実力は拮抗しています。

――ちなみに、今の日本はどのくらいのポジションにいるんですか?

永里:それ言っちゃいますか!?(笑)ええと、世界でみるとベスト10以内にはいて、ベスト4に入れるかどうかの瀬戸際ぐらいだと思います。

ベスト4以上を目指すとしたら、今は偶然が重なればいけるんじゃないかな……という感じです。

――先ほどお話していただいたように、しっかり戦略を立てて戦えるようになればベスト4以上も……。

永里:いけると思います。世界で通用する実力を持った選手はそろっているので、期待したいですね!

世界トップレベルで活躍しているなでしこジャパン。FIFA女子ワールドカップ2019でも見どころがたくさんありそうですね。普段あまり女子サッカーを観ないという人でも、この機会に選手それぞれの個性に注目しながら、なでしこジャパンを応援しましょう!

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事