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2019年5月22日(水)

サニブラウン『世界一への確かな歩み』「いだてん」たちの”つぶやき” -第6話-

陸上担当の記者やディレクターが発信する「いだてん」たちの“つぶやき”。今回は、男子100メートルで日本選手2人目の9秒台となる9秒99をマークしたサニブラウン アブデル・ハキームだ。

あのウサイン・ボルトよりも若い20歳での9秒台。アメリカの強豪・フロリダ大学で成長を続ける若武者にとって「世界一」の目標は、決して夢物語などではない。

「見違えたようにいい」今シーズン

米大学地区選手権 100メートル決勝 9秒99を出したサニブラウン選手

9秒台を出したレースから溯ること2週間あまり。私たち取材クルーは、サニブラウンが所属するフロリダ大学でインタビューを行っていた。質問に、ひとつひとつ丁寧に答えてくれたサニブラウン。そのことばには確かな自信がみなぎっていた。

サニブラウンは、去年5月に右足太もも肉離れのケガを負った。100メートル・200メートルの連覇がかかった日本選手権を欠場するなど、その後はリハビリに費やしてシーズンを終えた。

サニブラウン選手

ケガ自体は1か月ちょっとくらいで治ったが、そこからリハビリを始めてという感じだったので完治までにはけっこう時間がかかった。

苦難のシーズンだったことは確かだが、その期間には大きな意味があったという。数々の金メダリストを育てたフロリダ大のホロウェイコーチに聞いた。

ホロウェイコーチ

この期間に彼は自分の体をより理解して、自分の体に気を使うようになった。


栄養の大切さやウエイトトレーニングがどれだけ重要か分かってきたようだ。そして、アメリカでの生活に慣れることもできた。

ケガ明けのシーズンとなることし。サニブラウンは確かな手応えを得て、シーズンに入っていたのだ。

サニブラウン選手

去年よりは体の仕上がり具合や体の調子などはほとんど見違えたようにいいので、その面に関しては去年より進歩したのかなと思う。

理想とするレースプラン

男子60メートル予選のレースで6秒54 (3月9日)

9秒台を生み出した大きな要因のひとつが、レース序盤の力強い加速だ。今シーズンは、3月に室内の60メートルのレースで日本記録に並ぶ6秒54をマーク。もともと200メートルに強く、後半型のレースを得意とするサニブラウンにとって、この進化は大きな意味がある。理想のレースプランを聞いた。

サニブラウン選手

どのレースにしろやはり最初の加速が後に響いてくるので、そこでしっかりスピードに乗れないとではそのレースのパターンが変わってくる。


いいスピードを積み上げて中盤、後半につなげていけられるようなパターンが組めれば。

今シーズンに向けては特に「スタートから序盤の30メートルをどう走るか」に重点を置いてトレーニングを積んできたという。

もちろんまだ発展途上ではあるが、この課題克服が「負ける気がしない」という中盤から後半にかけての走りをさらに力強いものにさせているのだ。

超エリート集団のフロリダ大

アメリカでの取材で感じるのが、サニブラウンが過ごすフロリダ大の充実した環境だ。ホームグラウンドの陸上競技場は写真判定の機器をはじめ最新の設備を備える。アメリカンフットボールのスタジアムは9万人を収容する超巨大なものだ。

フロリダ大のチームは、陸上もアメフトも野球もすべて「ワニ」を意味する「ゲーターズ」と名付けられ、広大なキャンパス内にある池には本物のワニもいた。

皆さんご存じだろうか?「ゲーターズ」というチーム名に似た有名なアメリカのスポーツドリンクのことを。実はこのドリンク、フロリダ大のアメフトチームのために開発されたもの。だから「GATOR」+「ADE」。「ADE」は「レモネード」のように果実系の飲み物につく言葉で、まさに「ゲーターズ」のための栄養補助ドリンクなのだ。

米大学地区選手権 100メートル決勝

話しを元に戻すと、強豪のチームにはおのずと世界中から若い才能が集まってくるもので、もちろんサニブラウンもその1人だが、フロリダ大は彼以外も超エリートの集まりだ。サニブラウンが9秒99をマークしたレースで10秒02で2位だった20歳のチームメートはナイジェリア出身。

110メートルハードルには、今シーズン世界最高タイムの13秒07をマークしている選手もいる。日頃からこうしたレベルの高い選手たちと切磋琢磨できる練習環境。この最高の設備と環境こそが成長を加速させている。

サニブラウン選手

練習環境から設備までしっかり整っている。すべての面においてアスリートの為のサポートがしっかりしていたので、この大学を選んだ。

目指すのは「世界一」

9秒台を出した直後、「そのうち出るかなと思っていた」と言ってのけたサニブラウン。その目が見据えているのは、世界の頂点にほかならない。東京オリンピックへの思いを聞いた。

サニブラウン選手

東京でオリンピックというのが全然想像できないが、地元である限りはやはり出てみたいとは思う。


表彰台に立ってどんな眺めなのかなというのは気になるが、今は焦らずやることをやって、行けるところまで行きたい。

ホロウェイコーチ

彼は才能豊かな若い選手。9秒9を出せば決勝に行くことができるが彼にはそれが可能。私の目標は9秒8を出してオリンピックでメダルを取らせることだ。

取材の最後に東京オリンピックへのキーワードは何かと尋ねると、少し考えたあとに「その時を楽しむ」と答えてくれた。

サニブラウン選手

一瞬一瞬を楽しんで生きて行ければなと。練習してて楽しいことほとんどないので、きついから(笑)。


でもその先に、試合で気持ちよく走れたら楽しいから頑張ろうかなと思う。

楽しみのためにきつい練習を乗り越えてきたサニブラウン。次に日本で見られるのは、6月の日本選手権。その時が、今から楽しみでならない。

サニブラウン選手のメッセージ(動画)

山本脩太

スポーツニュース部記者。平成22年入局。高知局・広島局を経て現所属。ピョンチャンオリンピックではスキー担当。中高時代は陸上部。中学では1500mから始めたが、高校卒業時には400mの選手になっていた。

                   
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